グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
汐浜ファンタジーランド
この日は、クリスマスの時期が
近いため、色とりどりのイルミネーションが
ランドを彩っていた。
「うわぁ~! キレイなのだ、ピカピカ
なのだ~!」
その景色を見た明鈴は目を輝かせる。
「ヘイ、遊びに来たんじゃねーぞ、
チャイナガール。」
「えー? ちょっとぐらい平気アル。
おいしそうなにおい・・・。
サンタさんは、楽しそうにしてたほうが
いいと思うのだ。」
「まあ、んな恰好してればな。」
ロウ、明鈴、メアリーは見回りクエストの
ため、ここに来ていた。また、明鈴、メアリーは
サンタ服を着ている。
「ロウ、お前まだ着替えてねーのか。さっさと
サンタになってこい。すぐにブリーフィングだ。」
「ああ。少し野暮用があってな。
すぐに・・・・ん?」
「おい、どこ見て・・・」
二人は顔見知りを見つける。
ノエルがベンチに座っていた。
「フユキだー! えーっと・・・ノエルの
ほう? おーい、ノエルー!」
明鈴はノエルに駆け寄っていく。
「明鈴ちゃんに、お兄さん・・・
メアリーさんも?」
「アタイは先に行ってるからな。あっちの
通用口集合だ。早く来いよ。」
メアリーはめんどくさそうな
顔をしながら、歩いていく。
「もしかして、今日汐ファンでクエストなの?」
「うん! お客さんが楽しめるように、
サンタさんするのだ~♪ ノエルはお客さんで来たの?」
「う、うん・・・。」
少し不安そうに、目を伏せる。
「・・・実は、これから家族で会うんだけど・・・
久々だから、緊張しちゃってさ・・・あはは・・・。」
「? なんかあるのか?」
「それか・・・恥ずかしいとか?」
「ううん、恥ずかしいとはちょっと違うん
だけど・・・・・もしよかったら、みんなと
一緒にいてもいい? 緊張をほぐしたくて・・・。」
「いいぞー! ロウもいいよねー?」
「別にいいけどよ・・・仕事あるだろ。」
「うう~ん・・・それじゃ、代わりばんこで!
クリスマスだもんな。みんなで楽しくすごそう!」
「ありがとう、明鈴ちゃん、お兄さん。
・・・・。」
お礼を言ったノエルの顔はまだ少し曇っていた。
「ん~、いい匂い! チュロス、焼き立て
なのだ~♪ はい、ロウの分!」
明鈴は買ってきたコーヒー味の
チュロスを手渡す。
「ん、サンキュ。」
「こっちは、ノエルの分!」
「・・・あ、ありがとう。・・・でも今、
あんまりおなかすいてなくて・・・。」
「え? どっか具合悪いアルか?
・・・じゃあ、ボクが食べてもいい?」
「食い意地ばっかか。」
「じょ、冗談なのだ! ロウ、ヘンな顔
やめるアル!」
本当に思っていたのか、慌てて否定する。
「昨日、あんまり眠れなかったの。
嫌な夢見ちゃってさ・・・。」
「そういえば、あまり顔色がよくないみたい
なのだ。心配になっちゃうアルよ。」
「・・・怖い、夢・・・・。・・・ねえ、
お兄さん。聞きたいことがあるの。」
「なんだ?」
ノエルはロウの服の袖をぎゅっと握る。
「お兄さんは、裏世界に行って、グリモアの
生徒と会ったことがあるんだよね?」
「まあな。」
「そこに、お姉ちゃんとあたしはいた?」
「・・・・・さあ、どうだったか。」
「・・・言いにくいことなのかな。」
「なんでそんなこと聞くの?」
明鈴は軽く首をかしげる。
「最近、同じ夢を見るんだ。多分・・・
裏世界の、あたしたちの・・・。」
「裏世界の夢・・・?」
「うん。お姉ちゃんとすれ違ったまま
第8次で・・・・・。」
夢の光景が頭の中に浮かぶ。
「・・・お兄さん、どうしよう。
第8次侵攻って、いつ?」
「いや、そこまでは・・・。」
「あたし、こっちでも仲直りしないまま、
死んじゃうの?」
徐々に、目に涙が浮かぶ。
「・・・っ、うぅ・・・いやだ・・・。」
「ノエル・・・。」
「・・・そんなの、いやだよ・・・お姉ちゃん・・・。」
「・・・・・・・! 明鈴、お前
休憩行ってこい。ここは俺がいる。」
「・・・う、うん・・・。」
「・・・はい、それじゃ、到着は遅くなるんですね。」
少し前に、来たイヴは
母と電話をしていた。
「ノエル・・・は、まだ合流してないです。」
少し気まずそうに答える。
「・・・ホテルで? ノエルと一緒に・・・?
ゆっくり休めるように、っていうのは、
嬉しいですけれど・・・」
一瞬、体がくらっとする。
「その・・・時間が空いてしまうし、手持ち無沙汰
なので・・・お父さんとお母さんが到着
するまで、私はいったん学園に戻っ・・・
・・・・うっ・・・。」
またくらっとしたため、
近くのベンチに座る。
「・・・ごめんなさい、なんでもないです。
ちょっと寝不足で。・・・わかりました。
体調管理、気を付けます。・・・はい、
ホテルで待ってます。」
母との電話を切った。
「・・・ぅ・・・・頭、が・・・。」
イヴの視界は暗くなり、
その場に倒れてしまう。
「ココアと、アイスと、ステーキ串・・・
あ! ポテトも買おうかな?」
明鈴は次々と食べ物、飲み物を買っていく。
となりのメアリーは呆れていた。
「テメーはさっきからウロチョロしてんな・・・。」
「休憩だからいいのだ。ロウが見回り
してくれてるよ。ノエルが元気ないから
食べさせてあげるアル。」
「元気ねーヤツがそんなに食えるのかよ・・・。
・・・ん。」
少し離れた場所で、人がざわざわとしていた。
「救護室のあたりが騒がしいな。」
「急病人みたいだね。でも、スタッフの
手際がいいアル。さっすが夢の国なのだ~!」
「テメーもスタッフだろうが。・・・一応
行ってくるぜ。変なことが起きてんだったら・・・」
人ごみを軽く覗き込む。
「・・・・あ。」
メアリーの顔が一瞬険しくなる。
「どしたの? ボクも行く?」
「いや、テメーはいい。さっさとそれ
持ってけ。」
「わ、そうだね! アイス溶けちゃう!」
アイスを押さえながら、明鈴は駆け出していく。
「・・・姉のほうも来てたのか。何やってんだ、
こんなとこで倒れるなんてよ・・・。」