グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第265話 仲直り

「くそ・・・どこ行った?」

 

周りをきょろきょろしながら、

ロウはイヴを探す。

 

「いや待て・・・適当に探すんじゃ

 だめだ・・・こういうときは・・・・・おっと。」

 

ぶつぶつ言いながら探していると

ロウはだれかと肩がぶつかる。

 

「・・・・す、すみません・・・。」

 

「いや、こっちが見て・・・・あっ。」

 

ロウは驚きの声を上げる。

無理もない。ぶつかったのは

探していたイヴだったからだ。

 

「・・・また・・・あなた、ですか。」

 

「この間もこうだったな。まあ、

 ちょうどいい。ちょっと付き合え。」

 

「・・・何を・・・。」

 

「いいから来い。んな真っ青な

 顔して歩かれると面倒なんだよ。」

 

そう言って、ロウはイヴの手をつかむ。

 

「ただの寝不足です。気にしないでください。」

 

「いいから来い。」

 

 

 

 

<ロウ、イヴ、移動中>

 

 

 

 

「このまま私といても、何もありませんよ。

 ・・・それとも・・・また、あの子と

 何か企んでいるんですか?」

 

嫌そうな顔をロウに向ける。

 

「何の話だ。」

 

「ごまかそうとしても、わかります。園内で

 あの子と会ったんでしょう? そして、

 私の居場所を、あの子に教えようとしているんでしょう。」

 

「いいや?」

 

デバイスの画面を見せ、ノエルと

連絡していないことを証明する。

 

「・・・ですが、ここにはいるつもりなんですか?」

 

「まあな。それくらいはいいだろ?」

 

「・・・もういいです。好きにしてください。」

 

「わかってくれればいいんだ。」

 

二人はベンチに座る。

 

「・・・・・あの子は・・・」

 

「ん?」

 

「あの子は、家族で集まるのを機に、私と

 対話するつもりでしょう。話し合いといえば

 聞こえはいいですが、自分の意見を一方的に

 通そうとしてくるのは、話し合いではありません。」

 

「んで、今も逃げ続けるわけか?」

 

「・・・!」

 

ロウの思わぬ言葉に、イヴは

キッと睨む。

 

「・・・傍目には、ただひたすらに妹を

 拒絶しているように見えるのでしょう。」

 

声が少し震え始める。

 

「なんのためにそうしているか・・・

 とやかく言われる筋合いはない。だって、

 他人じゃないですか、みんな、みんな。」

 

どんどん震え始める。

 

「他人に私のやっていることが・・・

 わ、わかるはず、ないです・・・だって、

 もう、私にだって・・・・・っく・・・う・・・。」

 

イヴの目から涙がこぼれ始める。

 

「す、すみませ・・・頭の中が、

 ぐちゃぐちゃで・・・み、見ないでください。」

 

睨んでいたはずのイヴが顔をそらす。

 

「・・・なあ、イヴ。本当にそれでいいのか。」

 

「・・・・・・。」

 

「それに、今の言葉は妹が死んだ俺を

 暗に揶揄してんのか?」

 

「! そ、それは・・・」

 

「お前らなら、まだ間に合う。」

 

「・・・ロウ、さん・・・。」

 

「お前は、俺みたいになるなよ。」

 

そう言うロウはひそかに、

デバイスでメアリーにメッセージを送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「こっちにもいない・・・。」

 

時間は少し、戻り、ノエルは園内に

いるはずのイヴを探していた。

 

「・・・あ、メアリーさん!」

 

メアリーを見つけ、駆け寄る。

 

「メアリーさん、お姉ちゃんに会いませんでした?」

 

「・・・ああ、さっき会ったぜ。」

 

「ほんと!? どこにいたんで」

 

ピリリリ

 

イヴの居場所を聞こうとしたところに

ノエルのデバイスが鳴る。

 

「・・・電話だぜ。」

 

「す、すみません・・・出ます。もしもし・・・

 お母さん? どうしたの?」

 

電話の相手はノエルの母親だった。

 

「・・・え? お姉ちゃんが? 救護室?」

 

「さっき、体調不良で運ばれた。身元証明は

 アタイがした。学園と家に連絡がいってる

 はずだ。・・・救護室からはとっくに出てったぜ。」

 

「そうだったんだ、メアリーさんが・・・

 ありがとうございます。・・・え?

 ど、どうしたのお母さん!?」

 

電話口の母親の様子がおかしいようで

ノエルは慌て始める。

 

「う、うん・・・・と、とりあえず落ち着いて・・・

 え? 夢・・・って、それ・・・うそ・・・

 ・・・っ・・・!」

 

母親の言葉を聞いたノエルは

泣き始める。

 

「!? お、おい・・・。」

 

「・・・ふえぇぇぇん・・・・。」

 

「なんだ急に・・・落ち着けって・・・。

 これじゃアタイが泣かしたみてーじゃねーか・・・。」

 

「ぐしゅ・・・ご、ごめんなひゃい・・・。」

 

涙をごしごしと拭う。

 

「びっくりして、つい・・・。」

 

「びっくりしたのはこっちだぜ。

 ったく・・・。」

 

呆れながら、メアリーは仕事に

戻ろうとする。

 

「あ! 待って、メアリーさん、お姉ちゃんの

 居場所!」

 

「さすがに移動してるだろ。自力で探せよ。」

 

「お姉ちゃんと早く話したいんですぅぅ、

 ひっく、お願い・・・うえぇ・・・。」

 

また涙が流れ始める。

 

「あー、泣くな泣くな、なんなんだよ!

 ったく、こういうメンドクセェ役割は

 いつもロウだろうが・・・・・ん?」

 

メアリーのデバイスが鳴る。

 

「・・・おい。」

 

「え・・・?」

 

「ロウからだぜ。」

 

そう言ってメアリーは、デバイスの

画面をノエルに見せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ・・・はあ・・・!」

 

人ごみをよけながら、ノエルは

走っていた。

 

「あ・・・お兄さん!」

 

「やっと来たか。あそこにいるぞ。」

 

ロウが指さした先には、

疲れた様子で座っているイヴがいた。

 

「お姉ちゃん!」

 

「・・・!? ノエル・・・どうして・・・。

 あなた、ロウさんと組んで・・・」

 

「違うよ! お兄さんは、あたしたちが

 話し合いできるように・・・」

 

「話すことなんて、ない・・・!」

 

そう言って、ノエルから離れようとする。

 

「あ・・・待って!」

 

「はぁ・・・はぁ・・・。」

 

「待ってったら!」

 

イヴの手をしっかりとつかむ。

 

「は、放しなさい!」

 

「やだ! ぜったい放さない!」

 

「・・・いつの間に、そんなに足が速く・・・。」

 

「最後に追いかけっこして、もう何年

 経ってると思ってるの? お姉ちゃんがずっと

 勉強を頑張ってきたように・・・あたしは

 いろんな部活で助っ人してたんだよ!」

 

「・・・そう・・・だから・・・? それで、

 あなたは私と同等だって言い張るの?」

 

「聞いて、お願い!」

 

つかむ手がぎゅっと強くなる。

 

「あのね、お母さんからさっき、電話が

 あったの。お父さんとお母さんがね、

 二人とも・・・・・お姉ちゃんとあたしが

 死ぬ夢を見たんだって・・・。」

 

「・・・え?」

 

「何度も何度も見るんだって。お母さん、

 取り乱して泣いてた。・・・あたしも

 見るよ。お姉ちゃんは?」

 

「・・・私、は・・・」

 

答えづらそうに顔を伏せる。

 

「お願い・・・大事なことなの。お母さんも

 お父さんも、あたしたちのことが心配で

 それで、今日こうしてみんなで会おうと

 思ったんだって。」

 

つかんでいた手をゆっくりと放す。

 

「あたし、冬樹の名前は嫌い。でも・・・

 やっぱりうれしいの。お父さんとお母さんが

 あたしたちのことを、大切な家族だと思って

 くれてたことが。あたしも、そう。

 ・・・・・お姉ちゃんは?」

 

「・・・・・私、は・・・もう、自分でも

 わからない。自分がどんな想いで・・・

 ずっと一人でいたか・・・。それでもう、

 わからなくなっちゃった・・・あなたのことが

 大切だったはずなのに・・・。」

 

イヴは優しく、ノエルの顔に手を添える。

 

「・・・ごめんなさい・・・ノエル・・・。」

 

「謝らないで! そんなの、あたしだって

 同じだよ! ・・・ごめんなさい。あたしが

 わがままだったから・・・。」

 

「・・・ぅっ・・・くっ・・・

 ノエル・・・ノエル・・・。」

 

イヴはノエルをそっと抱きしめる。

 

「・・・ねえ、お姉ちゃん。もうすぐ

 家族が揃うよ。だから・・・ちゃんと

 みんなで話をしよう。」

 

ノエルもイヴを抱きしめる。

 

「みんな同じ気持ちだって、わかったんだもん。

 一人でなんとかしようとしないで。そんなの

 さみしすぎるよ。あたしも一緒にいるんだから・・・。」

 

「・・・はあ・・・あなたにかけっこで

 負けて、口でも負かされるなんて・・・。

 本当に・・・かっこ悪いわ。こんなの・・・。

 ・・・・ロウさんには、絶対に内緒にしてね。」

 

イヴはしーっと人差し指を

立てながら、にっこりと笑う。

 

「・・・うん・・・うん・・・!

 お姉ちゃん・・・あたしのお姉ちゃん・・・!」

 

「・・・ま、見てるけどな。」

 

二人の様子をロウは物陰から見ていた。

 

「時間かかりすぎなんだよ・・・。」

 

そうぼやきながらも、にやりと笑う。

 

「・・・クエスト終わったら、墓参りにでも

 行くか。なあ、ユウ。」

 

 

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