グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
旧魔導科学研究所前
「まったく、面倒だな。」
かつては魔導科学研究所と呼ばれていた
建物にロウが立っていた。
「で、なんでわざわざこんなとこ来たんだよ。
宍戸。」
「旧科研の話は聞いてるわね?」
「ああ、以前魔物を洗脳してこっちサイドの
兵器にしようとして・・・。」
「そう、見事に失敗。」
ロウの後ろに白衣を着た
赤い髪の生徒が現れる。
「あんたたしか・・・。」
「彼女は、如月天。もとは
私と同じ科研にいた科学者よ。」
「よろしく・・とだけ言っておきましょうか。」
「んまあ、よろしく。・・・なんだ?
その背中の機械。」
天の背中の機械を指さす。
「これ? ふふん、これはね、
魔導科学の英知の結晶よ!」
「英知の結晶?」
「論より証拠よ。今に見せるときが来るわ!」
そう言いながら建物の
中に入った。
「・・・変わった奴だ。」
「あなたもよ。」
「その言葉、まんま返してやるよ。」
<ロウたち、建物の中へ>
「ぼろいもんだと思ったが
意外ときれいだな。」
なんか、妙に真新しいな・・・。
「・・・来るわ。」
3人の目の前に
巨大な犬の魔物が現れる。
「ずいぶんでかいな。」
「ここはまかせなさい。」
天が2人の前に立つ。
「う・・・はああ!!」
背中の機械から
魔法による攻撃が発射される。
「ぐ、ごほ、ごほ!!」
天がうずくまる。
「? どうした?」
「天、やっぱりあなた・・・。」
「う、うるさいわよ・・・・。」
ゆっくりと立ち上がり、先に進む。
「・・・どういうことだよ。」
「・・かいつまんでいえば、彼女は
魔法使いとして、覚醒していない。」
「なに?」
思わず声が上ずる。
「だが、覚醒してなきゃどうやって・・・。」
「それは、あの背中の機械、デウスエクスが
行っているのよ。」
天の背中の機械を指さす。
「あれで、覚醒すると開く体内の魔力の流れる場所
魔力腺を無理やり開けて魔法を放つ。」
「無理やり・・・てことは
あいつの体は・・・。」
「ええ、いずれはどうなるか・・・。」
軽くため息をつく。
「・・・ま、そんときはそんときだ。
どうにかなんだろ。」
そういい、ロウは奥に進む。
<ロウたち、移動中>
奥に進むロウたちの
前に再び犬の魔物が
3体現れる。
「ったく、次から次へと・・・。
『ROOM』!」
ドームを作り、
ロウと魔物3体を囲む。
「!? あんた、なにを!?」
「見てなさい。」
慌てる天を結希がなだめる。
「『
3体のうち、2体を
バラバラにし、消滅させる。
「そして・・・『シャンブルズ』!」
ロウが魔物の近くに
一瞬で移動する。
「『カウンターショック』!」
魔物に親指をつけ
そこから電撃を浴びせる。
魔物はバランスを崩し、壁にもたれかかり
消滅する。
「な、なにあれ・・・。」
「あれが彼の戦い方よ。」
「そういうことだ。」
ロウは2人の近くに戻る。
「俺はあのサークル内なら何でもできる。」
指をパキパキと鳴らす。
「・・・相変わらず、魔法使いは
何でありね・・・・。」
「んまあ、正確には魔法じゃねえが・・・・
そのへんは追々ってことで・・・・ん?」
「? どうしたの?」
魔物が倒れた壁に
ロウが近づく。
「・・・・いよっと!」
壁の一部を無理やり
ひきはがす。
そこには、黒い鉄のドアがあった。
「ドア?」
「・・・おかしいわ、そんな場所にドアが
あるなんて・・・。」
「・・・。」
ドアノブに手をかける。
「! カギはかかってないな。」
ゆっくりドアを開ける。
自動的に電気がついたが
部屋には何も置かれていなかった。
「なんにもねえな。」
部屋に入る。
すると、ドアが一人でにしまった。
「!!」
開けようとするが
なぜか開かない。
くっそ、どうなってやがる・・・・!
「ちっ・・・!」
周りを見て、出られそうなところがないか探す。
「ほんとになにもねえ・・・・ん?」
足で紙のようなものを踏む。
「・・・これは。」
くしゃくしゃになった
紙を広げる。
「・・・旧一万円札?」
ロウが拾ったのは
現在使用されていない紙幣だった。
「久しぶりだな。・・・ロウ。」
「!?」
自分しかいないはずの部屋から
老人の声が後ろから聞こえる。
ロウは恐る恐る後ろを向く。
「・・・お前は・・・。」
後ろにいたのは白い般若面を
した男だった。
「・・・・天羽・・・鉄舟・・・・!」
握っていた紙幣を力強く握る。
「変な面するようになったな。」
「・・・ふん、その口の利き方は
変わらないな。」
ゆっくりとロウに近づく。
「あんた、この部屋で何やってたんだ?」
「昔使っていただけだ。今はもう
私には関係ない部屋だ。」
「・・・何に使ってた?」
「・・・自分で調べるんだな。」
背中を向ける。
「油断したな。」
鞘から刀を抜き、斬りかかった。
しかし、鉄舟の体は刀をすり抜けた。
「!?」
「無駄だ。これはホログラムだからな。」
次第にホログラムが乱れ
鉄舟が消える。
「・・・くそ!」
地面を強く蹴る。
『お前には、何も変えられない。』
鉄舟の声が部屋に響いた。
「・・・。」
一体何をやっていたんだ・・・・。
「・・・おっさんに聞いてみるか・・・。」
そうつぶやき、旧一万円札を
懐にしまった。
「・・・てか、早く出ねえと・・・!」
ドアノブに手をかける。
「!」
・・・鍵のかかってる感触がない・・・。
なぜかドアが開いており、
ゆっくりと開ける。
「! ロウくん!」
結希が駆け寄る。
「ふう・・・あせったあせった・・・。」
頭をポリポリと掻く。
「まったく・・・早く行くわよ!」
天と結希は奥に進んだ。
「・・・・。」
ロウはドアを少しにらんだ後
2人についていった。
学園 寮
『おいおい・・・マジか、それ。』
クエストを終えたロウは
旧科研で起こったことを義人に
報告していた。
「ああ・・・奴があの部屋に
何を隠していたのか・・・・それを知りたい。」
『・・・ふふふ、それならちょうどよかった。』
「? どういうことだ?」
『な~に、すぐわかる。んじゃあ、もういいか?
ちょっと忙しくなる。』
「・・・ああ。」
義人は通話を切った。
「・・・さて。」
通話を切った義人は
広い和室に通されていた。
携帯をしまったところに
ふすまが開く。
「こちらへどうぞ。」
黒のスーツを着た男が現れる。
「・・・ああ。」
立ち上がり、男の
案内についていく。
男はある部屋の前で止まる。
「先生はこちらです。くれぐれも
失礼のないように。」
そう言うと、男は立ち去った。
「・・・・。」
ゆっくりとふすまを開ける。
部屋にはスクリーンがかかっており、
そこには般若面をした老人が映っていた。
「・・・久しぶりだな。及川。」
「・・・・・大変お久しぶりです。天羽、さん。」