グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第276話 暴露

「・・・モイッカ。」

 

ジェンニの魔法が放たれるが

間ヶ岾にダメージはない。

 

「・・・まがやま、ぼくのまほう・・・

 だめ・・・。」

 

「あまり下手に手を出すな。」

 

虎千代が合流する。

 

「ヤツの強さはタイコンデロガ並か・・・

 それを超えていてもおかしくない、ということだ。」

 

「・・・どうすればいいです?」

 

「タイミングを合わせて、どかんと強烈なのを

 くらわせるのがいい。精鋭部隊が戦闘を

 開始する。アタシたちはそこに参加するぞ。」

 

「はい。」

 

「会長!」

 

虎千代たちのもとに

絢香が慌てた様子を駆けつける。

その後ろには、絢香の様子に

困惑する純がいた。

 

「絢香! 待って、一体なんなのさ!」

 

「皇・・・何をしに来た? 一般生徒に

 間ヶ岾の相手はさせないぞ。」

 

「いいえ! 私が行かなきゃ・・・

 だって・・・」

 

「何言ってんのさ! アタシたちが戦っても

 足手まといだって!」

 

「だって・・・あたしにしかできないことが、

 あるんです。」

 

虎千代は目を閉じ、

しばらく考える。

 

「・・・わかった、来い。アタシが

 守ってやる。」

 

「はぁ!? ちょ、ちょっと会長!」

 

「純ちゃん・・・ごめんね。会長、

 ありがとうございます。」

 

「うぅ・・・意味わかんない・・・。

 なんでそうなるのよ・・・。」

 

 

 

<虎千代たち、移動中>

 

 

 

「っ! い、痛・・・」

 

間ヶ岾に近づくにつれ、

絢香は痛みから頭を押さえる。

 

「絢香!? 会長、絢香が・・・!

 始めっから無茶だけど・・・まだ何も

 されてないのに!」

 

痛みでふらつく絢香を純が支える。

 

「やっぱり戻ろう、絢香! 強い人たちに

 任せておけばいいじゃん!」

 

「だ、ダメ・・・あたしが、間ヶ岾の

 心を・・・こころ・・・を・・・」

 

「皇、よせ。」

 

「・・・・・こころ・・・?」

 

絢香の魔法を知らない純は

首をかしげる。

 

「・・・純ちゃん・・・これまで黙ってて

 ごめん・・・。あたし・・・間ヶ岾の、

 心の声を・・・聞かないと・・・。」

 

「ロウ君! 待って、ロウ君!」

 

虎千代たちの横をロウと七撫が通る。

 

「あ、ロウ! アンタ隠れてるんじゃないの!?」

 

「・・・少し、いろいろあってな。」

 

「で、でも、ちょうどよかった! 絢香を

 止めてよ! なんかおかしいんだよ!」

 

「・・・・・。」

 

純の言葉を聞きながら、ロウは

間ヶ岾を睨む。

 

「・・・わりぃが、それどころじゃ

 なくてな。」

 

ロウは間ヶ岾のもとに向かう。

 

「ちょっとってばぁ!」

 

 

 

<ロウ、七撫、移動中>

 

 

 

「・・・おぉ、ロウ君! 話を聞きに

 来てくれたのか・・・?」

 

「『ROOM』! 『シャンブルズ』!」

 

間ヶ岾の周囲にドームを張り、

近くの瓦礫と自分の位置を入れ替える。

 

「・・・!」

 

「『カウンターショック』!」

 

親指を当て、間ヶ岾に電撃を浴びせる。

 

「ぬぅ・・・ふん!」

 

「『抗菌武装(カーテン)』! ぐああ!」

 

間ヶ岾の攻撃に合わせ、ロウは

バリアを張るが、壊され、吹き飛ばされる。

 

間ヶ岾はロウに近づこうとするが、

その前に七撫が立ち塞がる。

 

「そこをどきたまえ、浦白君。君も

 一時期、霧の護り手にいたのだ。

 殺すのは気がひける。」

 

「その言葉、ぜんっぜん信じられません!

 ロウ君への怪しい呼びかけをやめてください!」

 

「怪しい? 怪しいというのか? 共生思想は

 れっきとした思想体系だ! 魔物の出現と

 ほぼ同じ歴史を持つ!」

 

吹き飛ばされたロウが近くの

瓦礫と入れ替わり、間ヶ岾と

対峙する。

 

「人々が魔物を恐れ殲滅思想を生み出したのと

 同様に・・・魔物との友好を模索するという

 考えもまた、人間の一側面なのだ!

 本来ならば、霧により魔法の力を得た君たちは

 共生思想であるべきだ! 人類を超えた力を

 得ておきながら、まだ人類でいたがるのか!」

 

「・・・くっ・・・・。」

 

「ごちゃごちゃと・・・! 『切断(アンビュテート)』!」

 

強化魔法をかけ、間ヶ岾を

切ろうとするが、わずかな切り傷がつくだけだった。

 

「ロウ君・・・君なら理解できるはずだ。

 共生思想の素晴らしさを・・・。」

 

「何・・・?」

 

「霧は、脆弱だった我々を一段階上位の

 ステージに引き上げた・・・! 君たちの

 ような頑健な体と、物理を超越した

 夢のような力をもたらしたのだ!」

 

「魔物は、人を殺します!」

 

「それは貴様らが魔物を殺すからだ!」

 

「!? なんだと・・・?」

 

「私には分かる、全てが分かる!」

 

自らの腕をまじまじと見る。

 

「貴様ら殲滅派がこの300年間、いかに

 不毛な争いを続けてきたのかがわかる!

 結論から言おう! 今日にいたるまでの

 犠牲は・・・貴様ら殲滅派が原因だ!」

 

「・・・なんですって・・・!」

 

「魔物が人間のみを襲う理由は、人間のみが

 魔物を襲うからだ。魔物が生まれる原因は、

 貴様らが魔物に対して殺意を抱くからなのだ!」

 

 

 

 

 

 

研究室

 

「浦白! そいつが言ってることなんか

 気にするなって! 口がうまいのは

 前からわかってたことだろ!」

 

騒ぐ望をよそに、天と結希は

間ヶ岾の会話を録音していた。

 

「演説のどこからどこまでが本気なのか、

 全然わかんないわね。」

 

「間ヶ岾のヤツ、あの口ぶり・・・まさか、

 マジでなにか知ってるのか・・・・?

 ・・・! やべ、気をつけろ! 周りの

 魔物がなんか成長してるぞ!」

 

望は慌ててキーボードを操作する。

 

「間ヶ岾が何かやってんだ! アイツ、

 魔物になっても喋ってるし・・・

 霧に侵されただけじゃないぞ!」

 

 

 

 

 

 

「・・・だそーですが、霧が体内に

 入らないのに、どーして魔物になるんでしょ。」

 

「そ、それはわかりませんが・・・

 喋っているのも事実ですし・・・。」

 

風子たちは風紀委員は近くの

魔物を掃討し、間ヶ岾の様子を窺っていた。

 

「氷川。ウチらも精鋭部隊のおーえんに

 行きましょ。JGJが来てくれたおかげで

 なんとか手が空きましたからね。」

 

「は、はい・・・間ヶ岾を捕らえなければ・・・。」

 

「・・・あれを捕らえる、ねぇ・・・。

 まったく、アンタさんは風紀委員の

 鑑ですよ。」

 

 

 

 

 

「・・・ロウ君。君は選ばれし者だ。

 『霧の切れ端』たる男だ。あちらの世界では、

 その責務をしっかり果たしたではないか!」

 

「・・・あちら・・・? 裏ってことか?

 ロウは裏にはいないはずだろ・・・?」

 

「あまり耳を貸すな。いいことはないぞ。」

 

「・・・・・・。」

 

事情を聞かされていないエレンと

メアリーは間ヶ岾の言葉に首をかしげる。

 

「あちらを裏と呼ぶな! クズどもが!

 ・・・・そうか、この学園の者は

 知らないのか!」

 

「! い、いけない! 会長、間ヶ岾を!」

 

「無論だ!」

 

虎千代は間ヶ岾に攻撃を仕掛けるが

傷一つつかない。

 

「・・・なんだ・・・ああ、生徒会長かね。」

 

「アタシが相手をしよう! 覚悟するがいい!」

 

「ほほう・・・そうやって出てきたという

 ことは・・・彼が始祖十家に狙われた理由を

 しっかり説明していないみたいだな。」

 

「はあああ!」

 

間ヶ岾に喋らせないように、

連続で攻撃を仕掛ける。

 

「ククク、焦るな。もう心配はいらない。」

 

間ヶ岾は息を大きく吸い込む。

 

「諸君! 私がロウ君を迎えに来たのは・・・

 彼が! 私と同じ、霧の切れ端に選ばれた

 からだ! あちらの世界で・・・君たちが

 『裏』と呼ぶ世界で現れたムサシ!

 彼こそが、そのムサシなのだよ!」

 

 

 

 

 

 

「・・・はぁ?」

 

「なにそれ。」

 

事情を知らない望と天は

呆れている。その横で結希はため息をついた。

 

「・・・・・やられたわね、会長。」

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