グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第278話 切れ端とは

「くそ・・・!」

 

成長が止まらない間ヶ岾に

ロウたちは焦る。すると・・・

 

「ロウ君!」

 

「! 七撫、どうした?」

 

「私を学園の屋上に移動させて!」

 

急ぐ様子で屋上を指さす。

 

「屋上? 何する気だ?」

 

「間ヶ岾を止めなきゃ・・・私が、

 けりをつけないと!」

 

「・・・急いだほうがいいな・・・。

 『ROOM』!」

 

屋上が範囲に入るようにドームを張る。

 

「『タクト』!」

 

近くの瓦礫を屋上に移動させる。

 

「『シャンブルズ』!」

 

 

 

 

 

 

屋上

 

「・・・お、おぉ・・・これは・・・。」

 

下にいる間ヶ岾をアイラが観察していた。

 

「人が魔物に・・・ムサシに・・・こんなところに

 答えがあるとは・・・ん?」

 

急に青色のドームが張られる。

すると瓦礫が置かれたところに

七撫がいきなり現れる。

 

「おぎゃあ! お、お主どこから

 現れとるんじゃ!」

 

「ありがとう、ロウ君・・・。」

 

七撫は下にいる間ヶ岾を見る。

 

「あっ、おい待て。何をするつもりじゃ。」

 

「私が、間ヶ岾の肩に乗って、直接

 顔を攻撃します。」

 

「馬鹿もん! そんなんでいけるなら

 苦労はせん!」

 

「ですが、メノコ姉さんがそうしろって

 言ってます。」

 

サボテンのメノコが同意するように

体を跳ねさせている。

 

「なに、メノコ・・・サボテンか?

 喋れるのか?」

 

「いいえ。でもさっき、メノコ姉さんが

 一瞬、人の姿に戻りました。その時、

 私には聞こえた。間ヶ岾の頭部には・・・

 何かがあります・・・!」

 

そう言うと、七撫は柵を乗り越え、

下へと飛び降りる。

 

「おい待て! ああクソ、あれでは・・・

 ええい、ままよ! 間ヶ岾はどうせ

 止めねばならんのじゃ!」

 

アイラも七撫に続いて、下に飛び降りる。

 

「死なせんぞ、間ヶ岾! 悪行の罰として

 人類を救う贄となれ!」

 

 

 

 

 

 

 

「り、理解が追いつかん・・・これは

 ムサシか?」

 

「ムサシ・・・ムサシか・・・。」

 

成長を続ける間ヶ岾を見て

つかさはニヤリと笑う。

 

「ククク。ちょうどいい所にきた。まだ

 あの光景が目に焼き付いたままだ・・・!

 裏世界の大垣峰の戦いを忘れる前に、

 ムサシを殺すことができるとは!」

 

「待て、つかさ! 間ヶ岾は生かして

 捕らえ・・・」

 

「! あれは・・・」

 

ロウが間ヶ岾の頭上の何かに気づく。

 

「ファイア!」

 

エレンの掛け声とともに、間ヶ岾に

攻撃が始まる。

 

「攻撃・・・間ヶ岾の気を引くためか・・・。」

 

「なるほど・・・ロウ、魔力をくれ。

 こうなったら、東雲と浦白に任せるぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

「メノコ姉さん! これでいいんだよね!?

 姉さんの言う通りにすればいいんだよね!?」

 

「どうすればよい! はよせんと

 振り落とされるぞ!」

 

動く間ヶ岾になんとかしがみついている。

 

「この命令式を組み上げてください!

 私が組んでいる命令式です!」

 

「命令式?」

 

七撫が組んでいる命令式を

アイラは素早く確認する。

 

「ああ? なんじゃこの魔法は!」

 

「早く!」

 

「だぁ! わかったわ、やってやるわ!

 このままじゃとムサシ誕生じゃ!

 こうして、こうして・・・・・。」

 

「メノコ姉さん、一緒に・・・!」

 

間ヶ岾の上に魔法陣が浮かび、

間ヶ岾の体を光が包み込む。

 

「やああああ!!」

 

「オォ・・・オオォ・・・な、なんだ、

 何が起きた! 体が、私の体が!」

 

「何だ? 一体何が・・・? ・・・!

 『シャンブルズ』」

 

七撫とアイラを安全に着地させる。

 

「ロウ君!」

 

「東雲! 何をした!」

 

虎千代は二人に駆け寄る。

 

「妾もよくわからん。じゃが・・・ムサシ化を

 止めるための手がかりになるやも・・・。

 しかし、なんだったんじゃ、今の魔法は・・・。」

 

間ヶ岾の体に徐々にひび割れていく。

 

「グ・・・ガァ・・・体が崩れてゆく・・・。

 何故だ! 何故だ! 魔物の強靭な肉体が

 いともたやすく・・・ぐ、ぐぐ・・・

 そんな方法があったとは・・・。」

 

「皆さん! 間ヶ岾を確保してください!」

 

紗妃を始めとした風紀委員が

間ヶ岾の周りを取り囲む。

 

「間ヶ岾。今からあなたと契約を行います!

 ここには、あなたの命を狙っている者が

 大勢いる・・・このままだと死にます。

 そのために、私の魔法を受け入れてください!」

 

「・・・このままでは死ぬ・・・?

 ククク・・・好きにすればいい。」

 

間ヶ岾は地面に倒れこむ。

 

「あなたは法の裁きを受けなければなりません!

 罪を償うことから・・・逃げないでください!」

 

「・・・この体の崩壊を見たまえ。どちらにしろ

 もう助からんね。・・・ロウ君。」

 

「! ま、まだロウさんを・・・」

 

「なんだ。」

 

ロウは間ヶ岾の喉元に刀の切っ先を向ける。

 

「遺言くらい聞いてやる。」

 

「・・・君は夢を見る。そこで君に助けを

 求める者がいる。その声に応えるがいい・・・。

 そして、真実を知るのだ。それが、私達の

 ・・・霧の切れ端としての、使命なのだ・・・。」

 

「・・・霧の切れ端ってのは、そもそも

 何なんだ? 死ぬ前に、きっちり答えろ。」

 

「・・・霧の切れ端とは、霧に選ばれた者・・・

 霧の使者として、人類と霧を繋ぐ者・・・

 そのために、何者にも殺され得ぬ強靭な

 肉体・・・すなわち、ムサシ・・・。」

 

「!」

 

『ムサシ』という言葉で虎千代の眉が

ピクッと動く。

 

「ムサシの体を与えられた者・・・それが

 霧の切れ端・・・ロウ君、君だ・・・。」

 

「・・・霧には、意思があるのか? 霧は

 明確な意図を持って、アタシたち人類を

 攻撃しているのか!?」

 

「・・・ククク・・・やはり殲滅派は傲慢だ。

 被害を受けているのは自分たちだと、臆面も

 なく主張できるのだから。もう一度

 考え直すがいい。全てを逆転させるのだ。」

 

間ヶ岾の手足が崩れ始める。

 

「霧の魔物のいる意味を。君たちが魔法を

 使える理由を。魔物が取る姿の意味を。そして、

 宇宙へ行け・・・。」

 

「宇宙だと?」

 

「そこに答えがある。そして思い知るのだ。

 自分たちがいかに愚かなことをしてきたかを。

 300年続く戦いを引き起こしてきたのは

 自分たち殲滅派だったのだと・・・!

 フフフ・・・ハハハ、見ろ!」

 

間ヶ岾の体が霧状に消えていく。

 

「私の体が霧に還る! 私は真の共生を

 達したぞ! 真に魔物と理解しあえた最初の

 人間となった!」

 

目を見開き、雄たけびに近い

笑い声をあげる。

 

「一度、霧を化した後、私の意志が残るのかは

 わからんが・・・これから霧の魔物として、

 君たちの死にゆく様を見ていてやろう。

 第8次侵攻・・・そこが、人類の分岐点だ・・・。」

 

そう言い残すと、間ヶ岾は霧となって、消滅した。

 

「間ヶ岾が・・・消えた・・・。」

 

「体が残っておらん・・・なんということだ・・・。」

 

「体、ですか?」

 

「霧に侵されて魔物になった者は、死んだ後に

 骸が残るのじゃ。」

 

「・・・骸・・・。」

 

「? どこに行くんじゃ?」

 

「ちょっとな。」

 

アイラの言葉を聞いたロウは

コロシアムの方へと向かう。

 

「まあ、ともかく、間ヶ岾の体は消えた。

 つまりヤツは・・・霧の魔物そのものに

 なったということ。」

 

「・・・東雲、浦白。疲れているところ

 悪いが、生徒会室に来てくれ。間ヶ岾の

 消滅とともに、他の魔物も消えた。戦いは

 終わりだ。・・・理解できないことだらけだ。

 一通りわかったことを確認したい。」

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