グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
「・・・久しぶりだな。及川。」
「・・・・・大変お久しぶりです。天羽、さん。」
挨拶を終えると義人は
畳の上に座る。
「・・・あなたは1954年から73年に起こった
高度経済成長からこの国を支えてきた。
だが、2年ほど前にあなたには死亡説がささやかれ、
表舞台から姿が消えた。」
「・・・。」
「あの計画以降、あなたはなにをしてらっしゃったんですか?」
「ふん・・・どうせ、私のことを
調べているのだろう?」
「全く出てこないから言ってるんですよ。
それに、ある人物から連絡がありましてね?
あなた、旧科研に一体何を隠してたんですか?」
「・・・私の財産だよ。ほんの一部だがな。」
「・・・へえ。」
目つきが鋭くなる。
「それで、今日はなぜ俺を呼んだんです?」
「要件は2つだ。1つはロウのことだ。」
「あれがどうかしましたか?」
「私に謀反する動きを見せている。」
「そうですか。」
タバコを取り出し、火をつける。
「そこでだ、ロウの監視を貴様に頼みたい。」
「・・・お断りします。一応あの後のあいつの面倒を
見てきたんで。」
「・・・そうか、まあいいだろう。
別の人間にでも頼むとしよう。
そして、もう1つはある報告をしようと思ってな。」
「報告? なんです?」
「私の持っている財産の一部を霧の護り手に
寄付することにした。」
「!! ・・・天羽さん、さすがに
警察の前でテロリストに金をやったことを
報告しますか?」
加えていたタバコをかみしめる。
「貴様にはもう関係のない事だろう?」
「・・・話はそれだけですか?
なら俺はこれで。」
「・・・またいつでも来い。くくく・・・。」
そう言うとスクリーンの映像は途切れた。
「・・・。」
廃ビル 屋上
「・・・確かにそうだ。これは奴の
財産の一部だ。」
ロウが旧科研で拾った
旧一万円札をまじまじと見る義人。
「やっぱりそうか・・・。んで、そっちは
何か分かったのか?」
「ああ、まずお前にでかい報告があるとすれば・・・
・・・天羽と接触した。」
「!!」
驚きで目が大きく開く。
「まじか・・・。」
「ああ、あいつはあの部屋に財産のほんの一部を
隠していたのを認めた。それに・・・」
「?」
「奴はテロリスト、霧の護り手に加担してる。」
「霧の護り手だと? たしか、
魔物との共生を図る組織・・・だったか?」
「そうだ、あいつは資金の一部を寄付したと
警察官の俺に言いやがった。」
タバコに火をつける。
「そうか・・・。」
「こっちも引き続き探りを入れる。
・・・・あっ。」
「なんだ、急に素っ頓狂な声あげやがって。」
「いいや? ・・・くくく。」
口を押え笑い始める。
「? なんだよ。」
「そう慌てんなよ。まあ、近いうちにわかる。」
「??」
旧科研のクエスト 翌日
校門前
「おはようございます! ロウ君!」
騎士の恰好をした
生徒がロウのもとに来る。
「ん、おはよう。」
大きく欠伸をする。
「今回、一緒にクエストに行かせていただく、
エミリア・ブルームフィールドです。
よろしくお願いします!」
「ああ、よろしく。」
「・・眠そう、ですね?」
「そりゃ昨日もクエストだったしな。
眠いったらねえ。」
軽く伸びをする。
「す、すみません・・・。」
ペコリと頭を下げる。
「でも、最近あなたに対する評価が上がっているんですよ?」
「そうなのか?」
「ええ、侵攻前のクエストでドラゴン型を
倒したという噂も・・・。」
「・・・そうか。」
俺、あんまり倒してないが・・・
まあいいか。
「だから、引っ張りだこになる前に
ご一緒したかったんです。」
「なるほど、まあ納得した。」
「ああ、よかったです! ・・・それで、
今回の討伐対象ですが・・・洞窟の奥に住む、
コウモリだ、そうです。」
「コウモリねえ・・・。」
「転校して間もないから、ということでしょうか。
・・・腕試しにはちょうどいいと考えましょう。」
「ポジティブだな・・・まあ、楽になるなら
それでいいだろ。・・・・さて、そろそろ行くか。」
戦闘服になる。
「はい!」
「『シャンブルズ』!」
ロウとエミリアの位置を入れ替え、
エミリアの剣が魔物を突き刺す。
魔物はうめき声をあげ、
消滅する。
「ざっとこんなもんか。」
「そうですね・・・それにしても、
すごいです!」
「なにがだ?」
「魔力の受け渡しです。常に全力で
魔法が使えるのは初めてなんです!
南さんがやみつきになりそうというのも
わかる気がします!」
「そ、そうか・・・。」
若干引く。
「あ、け、決して変な意味では
ないんですよ?」
手を必死に振って否定する。
「わかってるよ。んじゃあ、もう少し奥に・・・
・・・!」
何かに気づき、周りを見る。
すると、近くの草むらから
騎士の姿をした何かが襲ってきた。
「!? あれって・・・!」
「魔物か? くそ!」
ロウは魔物の剣を
ギリギリでガードする。
「『
今度はロウが斬りかかろうとするが
刀の軌道をかわし、代わりに
近くの木が切断される。
「ちっ!」
ロウの攻撃をかわすと
魔物は草むらに再び隠れる。
「ヒットアンドアウェイってわけか・・・。」
「今の・・・コウモリではなかったですね。」
「くそ、どうなってやがる。」
刀を鞘にしまう。
「魔物の人型は珍しいんです。霧の魔物は
一般的に戦闘に適した姿になることが多いんです。」
「戦闘に適した・・・動物とかか?」
「そうです、生身の人間にはあまり
ならないんです。なのに・・・いったいどうして・・・。」
「なぜ・・・って言ったところでな・・・・。
それに関しては俺たちは専門外だしな。
とにかく倒すだけだ。」
目つきが鋭くなる。
「『ROOM』!」
張っていたドームをさらに広くする。
エミリアは迎撃できるように剣を構える。
「・・・!!」
再び魔物が飛び出す。
「『
突きを放つがかわされる。
「はぁ!!」
かわした魔物にエミリアが斬りかかる。
しかし、その攻撃もギリギリで回避し
三度草むらの中に隠れた。
「また躱された・・・。」
「魔物には思えないです・・・。
思考能力が発達しているように見えます。」
「大概の魔物は低いって聞いてたが・・・・
あれはどうにも違うようだな。」
刀を鞘にしまわず、構える。
「次こそは迎撃してやる。」
「はい、今度こそ。」
2人とも静かに待つ。
すると、魔物が飛び出す。
「くらえ。」
そう言うとロウは
刀を思い切り投げた。
魔物は回転しながら
刀を躱す。
「ならば・・・!!」
魔物の攻撃を
エミリアが受け止める。
ここだ。
「そこで抑えてろ!」
ロウは指をクイッとする。
すると、刀が浮かび、
回転し始める。
「『
回転した刀が
魔物を何度も切りつける。
「すごい・・・。」
魔物は大きなうめき声をあげ
消滅した。
「まったく、手こずらせやがって・・・。」
「これでは・・・もうコウモリのほうは
無理ですね。時間を取られすぎました。」
「いったん戻って報告だな。」
「はい!」
クエスト終了から数時間後
学園
「くそ・・・すげえ怒られた・・・。」
あの後、学園に報告したロウたちは
こっぴどく怒られ、つい先ほどまで
人型の魔物についての講義を受けていた。
「今日は戻って寝るとするか・・・。」
「あ、ろ、ロウさん!」
「ん? 南か。どうした?」
「え、あ、ほ、本日はお日柄もよく・・・。」
「? もう夕方・・・ってか
なんで急に他人行儀だよ。
なんかあったか?」
軽く肩に手をポンと置く。
「///あ、そ、その・・・・。」
(夏海ちゃんが変なこと言うから・・・!!)
ロウとエミリアがクエスト中
『ねぇねぇ、智花。
最近、ロウとどうなの?』
『///ええ!?』
「///な、なんでもないんです!」
「? ならいいが・・・。」
「//あ、こ、これから帰るんですか?」
「ああ。」
軽く欠伸をする。
「//ご一緒にしても、いいですか?」
「別に問題ない。」
そう言い、帰ろうとした。
そのとき、ロウの目は大きく見開いた。
「・・・・おっさん?」
「よっ。」
なぜかロウの前には
義人がいた。