グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第280話 秘密を知ること

ロウの部屋

 

「・・・そう。間ヶ岾に、あなたの魔法が

 効かなかった・・・。」

 

部屋の主が不在の中、梅とジェンニは

話していた。

 

「あなたの話を聞いた限りだと、別に

 実力不足じゃないよ。元々広範囲の

 魔物を一気に倒す方が向いてるんだから。」

 

「・・・でも・・・。」

 

「周りのタイコンデロガは一掃したんでしょ?

 仕事は果たしたわ。」

 

「・・・ぼく、どうなる?」

 

「どうなるって?」

 

質問の意図がわからず、梅は

首をかしげる。

 

「テロリスト、たおした。ぼく、かえる?」

 

「・・・コッコの人たちはそれを望む

 でしょうね。あなたをヘクセライ・シューレに

 入学させたいでしょうし。」

 

「・・・そう・・・。」

 

梅の言葉で、顔が暗くなり、伏せる。

 

「・・・グリモアに入学したい?」

 

「うん!」

 

グリモアの言葉で、一気に顔が明るくなる。

 

「だよねぇ。友達できたみたいだしね・・・

 向こうでも友達はできるよ?」

 

「・・・・・・。」

 

「ごめんごめん、そのためには今の友達と

 別れなきゃいけないもんね。・・・私から

 動くのはルール違反なんだよね。だから・・・

 ジェンニ。ここに残りたいなら、自分で

 なんとかしなさい。」

 

「・・・ぼくが?」

 

「お父さん、説得してみなさい。本当にここに

 残りたいなら・・・きっとわかってくれる。」

 

「・・・うん、わかった。」

 

「あと、学園の友達にも相談してみるといいよ。」

 

「うん! いってくる! モイッカ!」

 

「モイッカー。」

 

ジェンニは駆け足で部屋を出て行った。

 

「・・・強くても、自由ってわけじゃないんだよね。

 始祖十家ほどメンツを気にする集団も

 そうそうないだろうしねぇ。頑張ってね、ジェンニ。」

 

 

 

 

 

 

保健室

 

「・・・ええ。異常はないわよ。でも・・・」

 

ゆかりはベッドに横たわった

絢香を心配そうに見る。

 

「大きなショックを受けてるみたい。あんまり

 キツい聞き方はやめてね。如月さん。」

 

「こっちだってショック受けてるっての・・・

 えっと・・・」

 

「絢香・・・まだ寝てたほうが・・・。」

 

起き上がる絢香を純が支える。

 

「ううん。大丈夫。如月さんも来たし。

 それに、これは話しちゃったほうが

 楽になると思うから・・・。如月さん、

 ごめんなさい。先に純ちゃんに、あたしの

 魔法のこと、放します。」

 

「・・・これからの話を聞くってんなら、

 魔法の説明は必要だけど・・・・・・・・・鳴海純。」

 

「な、なにさ。」

 

「私は常々、世の中には知らなくていいこと

 なんか1つもないって思ってる。でも、

 聞いたら今まで通りに生きられなくなる

 ことはあるわ。一度知ったら引き返せないわよ

 ・・・それだけ。」

 

「・・・脅かさないでよ。もう十分

 怖いんだから・・・。」

 

そう言う純の手が少し震えている。

 

「もし、このまま部屋を出ていけばきっと・・・

 絢香の秘密について、何も知らないままで

 いられる。でも、それはただ取り繕って

 いるだけ。だから・・・聞かせて。」

 

「・・・うん。話すよ。」

 

 

 

<絢香、説明中>

 

 

 

「お、お待たせしてすみません~!

 ・・・あれ? ・・・鳴海さん?」

 

慌てた様子の心が入るのと

入れ違いに、目に涙を浮かべた純が

出て行った。

 

「・・・・・。」

 

「こんな日が来るって、心のどこかで

 わかってたんです。でも、怖かったんです。

 ・・・ほんの少し、すっきりしてる自分が

 いて、そんな自分を嫌いになりそうです。」

 

「私が何を言っても説得力ないだろうけど・・・

 ノータイムで気にしてないっていう方が

 異常よ。それだけの力だもの。」

 

「・・・ありがとうございます。

 励ましてくれて。」

 

「ただ事実を述べてるだけだから。」

 

「でも、心の声がそう言ってます。」

 

「・・・は、始めるわよ。」

 

少し恥ずかしがり、髪を掻く。

 

「アンタには悪いけど、こっちの用が

 優先だからね。」

 

「はい。わかってます。純ちゃんにはきっと・・・

 時間が必要だから。その結果、純ちゃんが

 どうするかはわかりませんけど・・・

 私には、さっきの言葉だけで十分です・・・。」

 

「えっと・・・あの・・・す、すみません・・・。」

 

気まずそうに恐る恐る心が話しかける。

 

「時間通りよ。謝る必要はないわ。」

 

「あ、あの・・・わたしの魔法の説明を

 しますね。今から、皇さんの体に

 コードを接続します・・・。」

 

「コードを接続?」

 

「いい痛くないですから! すみません!

 先に言うべきでしたよね! それで、

 えっと・・・ごめんなさいぃ~!」

 

「え・・・? な、なにが?」

 

「・・・すみません、取り乱しました。」

 

取り乱した表の心に代わり、

裏の心が説明を続ける。

 

「私がコードを挿すと、あなたが間ヶ岾から

 聞いた『声』・・・それをテキスト及び

 音声として出力することができます。

 間ヶ岾の言葉は一切信用できません。

 ですから、むき出しの本音である心の声・・・

 それをあなたから引き出す。それが私の魔法です。」

 

「わかりました。お願いします。」

 

「ただし、私はあなたの全てを見ます。間ヶ岾の

 情報を探すために。あなた自身ですら、

 気づいていない全てを見ることになります。

 それでもいいですか?」

 

絢香は少し目を閉じ、ゆっくり開け、

覚悟した表情になる。

 

「平気です・・・まさか、私が心を読まれる側に

 なるなんて・・・お手柔らかにお願いしますね。」

 

「わかりました・・・では、落ち着いたでしょう

 から・・・・・・・は、は、始めますぅ・・・

 すみません、覗かせていただきますぅ・・・。」

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