グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
アメリカ
NASA
「とゆーわけでNASA! アメリカ!
うひょー! アイウォンチュー、フォー
ユーエスアーミー!」
「な、なにそれ・・・。」
テンションの高い自由に
少しひいている月詠。
「魔物との戦いが激化して、軍人を募集した時の
サムおじさんのセリフっす!」
「サムおじさんって誰よ!」
「えーっと、ほら、コレっす。アメリカっていう
国を擬人化したキャラっす。」
自由は自分のデバイスを見せる。
「あ! 見たことある!」
「でしょ?」
「・・・ここがケープカナベラル・・・。
マスターが夢に見た宇宙に行けるのかしら。」
「さあて、簡単にいくかどうか。」
騒ぐ二人を横に、ロウは首をコキッと鳴らす。
「私は交渉に行ってくるわ。万が一のために
あなたたちに同行してもらったけど・・・
何も起こらなければ、観光していていいわ。」
「はい。展示室を見学しています。」
「ロウ! 我とともに来い!」
ミナがロウの手をつかむ。
「ともにアメリカの陰謀を暴くのだ!」
「なんだよ陰謀って。」
「・・・え? その、あれだ! アメリカ政府は
宇宙人の存在を隠している! けいそ生物が
いるのに、それを我らに知らせていないんだ!」
「珪素生物は存在が証明されていないわ。」
「それは・・・アメリカの陰謀だから! ほら、
アイツも言ってるだろ?」
「? あいつ? 誰だ?」
「ジェイス・カルマンだ!」
結希は交渉のため、重役たちが集まる
部屋の前に立っていた。
「・・・宇宙に・・・けれど、今は私達にしか
通用しない事情でしかない。NASAにして
みれば、グリモアは急に表れた横槍。許可なんて
しないのが当たり前。私にもその気持ちは
よくわかる。・・・誰かを押しのけて、
割り込むことになる。」
僅かな緊張を隠すように大きく息を吸う。
「少しでも力を緩めたら、論破されてしまう。
・・・誰かを押しのける覚悟を持たなければ・・・。」
発射場
「うおー、すげー・・・ロケットでっか!」
自由は巨大なロケットを限界まで
見上げる。
「こ、こんなのが飛ぶの!? うそでしょ!?
すっごい重いでしょ!?」
「燃料むっちゃ積むって話っすよ。てか・・・
でっか! こんなのが今噴射したら、自分ら
丸焦げっすよ!」
「なんでそんな怖いこと・・・・・・つ、ツク、
展示室に行く!」
逃げるように発射場から離れていく。
「ええー・・・噴射なんかしないっすよー!
待ってくださいよー!」
「・・・・・。」
部屋に通された結希は周囲を
一通り見た。
「マッタはいないの? これまで彼女と
交渉していたのだけれど。」
尋ねると、いないことが伝えられる。
「事情は知らないけれど、なら、あなたが
窓口ということでいい? では改めて、
こちらの要望を伝えるわ。」
ゆっくり息を吸う。
「私立グリモワール魔法学園は、宇宙へ行きたい。」
展示室
ロウ、ミナ、卯衣は展示を見て回っていた。
「・・・間ヶ岾の言葉の中に、宇宙に行けという
ものがあった。宇宙に行けば、私たちが
間違っていたことがわかる、と。」
「奴の言葉が正しければ、の話だがな。
苦し紛れの可能性はある。」
「けれど、私達は真実を知らなければならない
・・・というのがマスターの考えよ。」
「だが、問題は今回の交渉だな。向こうが
そう簡単に行かせてくれるとは思えねえ。」
「・・・そうね。何事もなく進むはずがないわね。」
「サーヴァント! アートフィシェルハート!
この碑文にはなんと書いてあるのだ!」
二人のもとにミナが駆け寄る。
「ああ・・・最初に作られた宇宙服だとよ。」
「なんだと! これ・・・とっても重そうだぞ!」
「宇宙空間は無重力だから重くていいの。
それよりも、万が一にも空気漏れが
ないように、頑丈に作られているのよ。」
「なるほどー・・・・・あ! わ、我は
そのくらい知ってるぞ!」
「ええ。わかっているわ・・・・・」
卯衣が何かに気づき、周りを警戒する。
「・・・部長、ロウ君。」
「どうした、卯衣。」
「見学はここまでみたい。戦闘準備を。」
「ったく、結局これか・・・。」
思わず、大きなため息が出る。
<ロウたち、移動中>
「ロウ・・・ちょっと愚痴っていいかしら。
叫びたい気分なの。」
「へいへい。」
ロウは指で耳をふさぐ。
「どーしてツクたちの行くところに魔物が
出てくるのよー!」
心からの叫びが響き渡る。
しかし、魔物は何も気にせず、
ゆっくりと歩いている。
「だが、やるしかねえだろ。」
「・・・そうね。いつものことだしね。
こうなったら、徹底的に倒してやるわ!
軍師ツクの力、思い知りなさい!
ミナ! 卯衣! ツクの指示に従って」
「我こそはミナ・フランシス・シルフィアンド・
ウィンドスピア! 最強の疾風の魔法使いだ!
けいそ生物め、覚悟しろ!」
「データ捕捉。岩石でできているように見える
けれど、霧の魔物。珪素生物を模倣したものと
考えられる。殲滅します。」
指示を待たず、二人は魔物に向かっていった。
「あ、ちょっと・・・待ちなさいよ!
待って!」
「ひー・・・。あ、いたいた。もう外
大変っすよ。」
すでに疲れた様子で自由がやってくる。
「一人でやるのめんどく・・・いえ、
命からがら逃げてきました。」
「変わらねえな、お前は。」
「自由・・・アンタ、ツクの指示に従って
戦ってくれる・・・?」
「え? ああ、別にいいっすよ。楽だし。」
「・・・そ、そうよね! 才能あふれるツクの
指揮で戦うわよね!」
自由の肩をつかんで揺さぶる。
「・・・? 妙に必死っすね。」
「まあいい。さっき結希から連絡が来た。」
ポケットからデバイスを取り出す。
「今回の任務は、完全防衛だ。ここNASAの
施設を一つも破壊させないことだ。」
「はぁ? クソゲーでもやらない条件設定っすよ!」
「ここが破壊されたら、肝心の宇宙に
行けなくなっちまうだろ。まあ、展示室は
まだ壊れても問題ないらしいが・・・。」
「せっかくだから、全部守るの! それでこそ
グリモアの魔法使いよね!」
「すっげーめんどくさい・・・あー、お嬢とかにも
来てもらえばよかったー・・・。」
「・・・そういうわけで、グリモアの
魔法使いが防衛に手を貸すわ。」
NASAの防衛を行うことを説明する結希。
そのことを宇宙に行くための
交渉に利用するのかと問われる。
「いえ、これは交渉材料ではないわ。NASAの
防衛はこちらにも利益がある。というより、
ここが壊されたら困るの。宇宙に行ける
可能性が潰えるから。」
眼鏡をくいっと上げる。
「・・・さあ、始めましょう。何も心配は
いらない。グリモアの魔法使いは強いわ。
必ずここを守り抜いてくれる。だから
心配しないで。」