グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
学園
報道部部室
「今のところ、ネットワーク上は平穏なものです。」
鳴子、心はウィッチの狙いを探るため、
ネットワークを監視していた。
「ウィッチは愉快犯的なところがあったけど、
目的は忘れちゃいなかった。IMFを破壊し、
NASAも破壊しようとした。」
「NASAを破壊しようとしたのは悪手だと
思いますが。あそこが間ヶ岾や彼女にとって
重要な施設だと、私たちに気づかせてしまった。」
「ウィッチの考えが浅はかだったか、それとも
罠か・・・最悪を考えると、ネットの監視は
必要だ。彼女がどんな時限爆弾を仕掛けているか
わからない。」
鳴子はパソコンの画面を見つめる。
「そこはご心配なく。たとえ彼女が死の間際に
魔法を発動したとしても・・・年をまたぐ前には
効果が切れているはずです。ウィルスの類なら
私の魔法で簡単に対処できます。」
「そう。だから僕がここにいる。」
「・・・?」
「技術的なことじゃ君には適わないけど・・・
暴露が行われた場合、対処するのは僕の
役目だ。」
「暴露・・・まさか・・・・・・
ろ、ロウさんのことですかぁ・・・?」
「もちろん、その可能性も含めて、だよ。」
不敵な笑みを浮かべる。
「手がかりは、間ヶ岾は真の共生を目指していた
ってことだ。ウィッチが仕掛けるなら、
それを台無しにするようなことじゃない。」
「・・・・・待ってください。」
操作する心の手が激しく動く。
「何かあったかい?」
「・・・・・・やられた・・・。間ヶ岾に
関連した情報に注目しすぎていました。
ノーマルマンズです。」
「・・・・・。」
予想していなかった名前に
鳴子は目を大きく開く。
「おやおや・・・意外なところから・・・。」
NASA
「・・・・・。」
結希は渡されたある文書を見ていた。
「これがNASAに・・・いつ届けられたの?
『切れ端と呼ばれる者たちについて』・・・
カルマン・・・ジェイス・カルマン・・・!」
「ノーマルマンズと関係があると噂される
ジェイス・カルマン・・・。」
鳴子は文書データをじっと見る。
「当代随一の陰謀論者。突拍子もない理論と
大胆な仮説でファンも多い・・・。
だけど・・・なぜ切れ端のことを・・・?」
「この文書・・・どうしますか?」
「とりあえずダウンロードして削除してくれ。」
「削除、ですか?」
「ああ。少しぐらい噂が立ってもかまわない。
この文書データに、何が入っているかを
確認しないとね。それまでは、ネット上に
存在されたら困る。全部、消してくれ。」
心は言われた通り、文書をダウンロードし
それを削除した。
「しかし、外部メディアのデータは
消せませんから、いたちごっこになります。」
「自動的に削除するような魔法はできないかい?」
「できますが、長くはもちません。」
「内容の検証ができる間だけでいい。頼むよ。
・・・・・まさか、ね・・・。」
ケープカナベラル
月詠の魔法によって、魔物が霧散していった。
「ふー・・・。卯衣。そろそろ米軍の本隊が
来る頃なんじゃない?」
「あと30分程度。」
「え! ま、まだそんなにかかるの!?」
「私達が戦闘を開始してから1時間42分
経過しているわ。」
「まだそれだけしか経っていないの!?」
「魔物がやけに固いな。このままだと
持つかどうか・・・。」
ロウは指をクイッと上げ、地面を隆起させ
魔物を足止めする。
「・・・ねえ、さっきの合体魔法って、
成功したら本当に一掃できるの?」
「全員の威力を合計したものの約3.25倍に
なると期待できるわ。」
「そんなに!?」
「ただしそれは完璧に合わせた場合。人間では
コンマレベルでの誤差が発生する。その場合、
威力は減衰するわ。」
「米軍が思ってたよりもずっと強いし・・・
もしかして、まだチャンスはある・・・?」
「私達がここを離れたら、10分程度で
突破されると考えられる。珪素生物は
とにかく頑丈。被害は少ないけれど、
倒すのも難しいわ。」
「・・・もう一度やりましょ。」
そう言い、月詠は扇子をぎゅっと握る。
「先ほどのように、失敗する可能性が高いけれど。」
「成功率を上げる方法を考えるのが軍師じゃない!
ツクに任せなさい!」
「・・・・そこまで言うなら、任せてみるか。
卯衣、翼出せ。ミナと自由と共有する。」
「直接行くの? もあっとで連絡すればいいじゃない。
ていうか、ロウの能力で・・・」
「ROOMは使えば使うだけ、俺の体力が
無くなる。それに・・・」
「ロウ君の場所を動かすの。そうすれば
魔物の侵攻は多少鈍くなるわ。」
「・・・・な、なんで・・・?」
事情を知らない月詠は首を傾げた。
「今、説明している時間はない。作戦を
開始しましょう。」
<ロウ、卯衣、移動中>
「えーと・・・あいとらすちゅー!
あいさぽーちゅー! びこーず頑張って
ください!」
「随分余裕そうだな、自由。」
「あ・・・。」
自由の近くにロウが飛び降りる。
「い、今の聞いてました?」
「ええ。」
「べべ、別にサボろうとしてたわけじゃ
ないっすからね! 自分の魔力はいざという
時に残しといて・・・米軍のみなさんの
ほうが自分より戦力高いじゃないですか!
だから自分は後方から支援するのが
一番いいかなと思いまして!」
早口で用意していたかのように
ペラペラ話す。
「まあ、そういうことならいいんじゃねえか?」
「あ、そうすか? ですよねー!」
「サボろうとしていたの?」
「へいへーい! そうやって油断させたところで
ぶっこんでくるのやめましょ!」
「魔力の回復は必要なさそうだな。」
「あ、いじめないでください! ほしいです!
ほしい!」
「ったく・・・まあいい。自由、少し話がある。」
<ロウ、説明中>
「合体魔法・・・やるんすか? できないっしょ。」
先ほどの光景が浮かび、
顔が暗くなる。
「月詠が今、方法を考えている。」
「それが見つかってないのにやるってのも・・・
まあ、やれというならやりますが。じゃあ
合流地点に行きますね。行ったり来たり
大変っすわ・・・。」
「よし、次行くぞ。」
<ロウ、卯衣、移動中>
「やはり合体魔法だ! 我らの力を合わせれば、
こんな魔物は一撃だぞ一撃! 321どーんが
だめなら・・・」
ミナは一人、掛け声について考えていた。
「いっせーの、せ・・・・・わんつーすりー・・・
うーむ・・・・・・」
「部長。」
近くに卯衣とロウが降り立つ。
「うわぁ! きゅ、急に現れるな!」
<ロウ、卯衣、説明中>
「・・・てことで、合体魔法、もう一度やるぞ。」
「指定の場所まですぐに来てちょうだい。
みんな向かっている。」
「ふははははは! やはり我が必殺魔法に
頼らざるを得ないのだな! 仕方ない!
疾風の魔法使いたる我が赴こうではないか!」
「待ってるわね。」
「これで全員だな。行くぞ!」
再びロウは卯衣につかまり、
空を飛ぶ。
「あ、う、卯衣! どこ行くんだ!
指定の場所ってどこ!? 待ってー!」