グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
「・・・ごめんなさい。こんなはずれまで
連れてきてしまって。」
「気にするな。魔物の動きはどうだ?」
「ええ。2割ほどの魔物が、進路を変えた。
囮の役割は果たせた。」
ロウはデバイスで魔物の動きを確認する。
「なるほど、確かにな・・・。卯衣、
スピードを上げてくれ。」
「わかったわ。絶対に落とさないようにする。
信じていてね。」
「・・・本当に頼むぞ?」
<ロウ、卯衣、移動中>
「それで、作戦はできたんすか?」
「もちろんよ! よーく聞きなさい!」
そう言うと、月詠は大きく息を吸う。
「ずばり、ロウの魔力譲渡でタイミングを
合わせるの!」
「魔力譲渡のタイミング・・・?」
「よくわからんがダメな気がするぞ!」
作戦を聞いた自由とミナが顔をしかめる。
「アイツ、魔法の訓練っていったら魔力譲渡の
訓練が多かったのよ! いろんな魔法を
訓練してたツク達より、1つの魔法の精度は
高いはずよ!」
「魔力譲渡って魔法なんすか?」
「知らないけど、とりあえず魔法って
ことにしとくの!」
「まあ、確かにそれなら・・・。」
「全員に同時にやってもらうのよ!
ツクたちは魔力を感じた瞬間に魔法を撃つ!
そうすれば多分、合体魔法は成功するわ!」
「いっせーのせはいらないのか!?」
「補助としてあってもいいかもしれないけど、
気を取られるかもしれないから・・・
言うならロウ1人の方がいいわ。
・・・言わなそうだけど・・・ぷっ。」
『いっせーの』を言うロウを想像して
思わず吹き出す。
「うー、掛け声よりもずれが大きそう
っすが・・・ダメならその時は違う手を
考えればいいか。」
「これがダメだった時のプランは結希が
考えてるわ。ツク達は、今度こそ
成功させられるようにしましょう。」
「はあ・・・はあ・・・
その様子なら、作戦は決まってそうだな。」
上から卯衣と疲れた様子のロウが降り立つ。
「あ、卯衣! なんでこんなに時間が
かかったんだ!?」
「ロウ君に囮になってもらっていた。」
「囮!?」
「囮・・・どうりでそんなへろへろに・・・。」
「疲れているのは、私が最高速度で
戻ってきたから。」
「・・・マッハ!」
「そんなに速くないわ。」
「んで・・・作戦はどうなっている?」
服を整えながらロウは聞く。
「決まってるわ。ロウの魔力譲渡を合図に
魔法を撃つの。」
「・・・・・精度は、先ほどの掛け声より
落ちると考えられる。」
「ロウが一緒なら、できる気がするでしょ?」
「論理的ではない。けれど、不思議と納得できるわ。」
「のせられた・・・。」
「ええい! 合体魔法は我の必殺技なんだぞー!」
「ったく・・・『ROOM』!」
青色のドームが張られる。
「『シャンブルズ』!」
4人をロウの近くに並べる。
「・・・念のために聞いておきたいの
だけど。この中に、ロウ君に魔力を
譲渡されたとき、くすぐったい人はいる?」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
卯衣のからの問いにミナ、月詠、自由は
黙って顔を伏せる。
「おい、なんか言えよ。気にするだろ。」
「い、今そんなこと言わないでよ!
意識しちゃうじゃない! 早く!
ロウ、早くやるわよ!」
月詠は前方の魔物の群れを指さす。
「場所はあそこ! みんな、狙って・・・・・
ロウ!」
「『譲渡』!」
一斉に魔力譲渡が行われる。
「どーん!」
4人の魔法が重なり、巨大な風の魔法となる。
それが魔物を群れを飲み込み、次々と
霧散していった。
「・・・ひゃー・・・。」
「な、何、今の威力・・・。」
「ふ・・・ふ、ふははははは! これこそが
秘儀合体魔法だ!」
月詠、自由が驚くなか、ミナは
声高々に笑う。
「ロウ君の魔力譲渡が原因で、全員の魔法の
威力が上がっていたと推測される。
暴発しなくてよかった。」
「暴発してたらどうなってたんだ?」
「暴発しなかったから、それでいいわ。」
「まさか死ぬところでした!?」
『みんな、そこにいる? 今の魔法は?』
全員のデバイスに結希から通話が入る。
「全員で連携した結果だ。合体魔法でな。」
『そう・・・大部分の魔物が消滅したのは
それね。あと、エルベシア・マッタが
到着したわ。』
「遅!」
『彼女が遅れた理由について、話がある。
一度学園に戻るわ。』
「え、ええ!? もう帰るのか!?」
『私達は対処を迫られている。宇宙に
行く前に・・・ジェイス・カルマンの
怪文書をどうにかしないといけない。』
結希の声にわずかな焦りが感じられる。
「・・・ジェ、ジェイス・カルマンだと!?」
「誰? 新キャラっすか?」
「・・・なーんか聞いたことあるわね・・・。」
「・・・戻りましょう。マスターの口調から
交渉は失敗したと思われるわ。
・・・マスターは、宇宙に、行けない・・・。」
???
「待ってくれ・・・! おい!!
・・・・・くそ!」
暗い部屋の中である人物が
通話の切れた携帯電話を床に投げ捨てた。
「間ヶ岾の野郎・・・!」
苛立つように髪を掻いているのは、
天羽大地だった。
間ヶ岾と協力関係であったことが
周囲に漏れ、次々と離れてしまっていた。
「くそ・・・このままだと・・・・・・。」
その後も携帯が鳴り響くが、
大地は一切手に取らなかった。