グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第288話 常套手段?

学園

 

生徒会室

 

「よく集まってくれた。」

 

今年卒業となる、虎千代、つかさ

鳴子、ましろが集まっていた。

 

「・・・一人、足りない気がするけど。」

 

「何?」

 

「誰でしょうか?」

 

「・・・・・。」

 

「・・・・・?」

 

鳴子はその生徒の名前を出そうとするが

なかなか出てこない。

 

「いや、僕の・・・勘違い・・・みたいだ・・・。

 おかしいな・・・誰かが足りない気がしたんだけど・・・。」

 

何度も思い出そうとするが、鳴子は

結局思い出せなかった。

 

「話を始めてもいいか?」

 

「ああ、いや、すまない。頼むよ。」

 

「勝手に人の処遇を決めて、何か

 申し開きでもするつもりか。」

 

きつい口調でつかさが詰める。

 

「・・・立場上、3月末でお前たちは学園生じゃ

 なくなる。」

 

「時間が繰り返さなければ、ね。」

 

「一年前の時点で、魔法に亀裂が入ったようだと

 南は感じていた。今年、時間が進む可能性は

 高いと思う。」

 

この言葉で全員の顔は険しくなる。

 

「では・・・第8次侵攻が?」

 

「それに備えて、アタシたちが学園に残るんだ。

 グリモアの戦力は、おそらく学園史上、

 今が一番高い。」

 

「同感だよ。奇跡のような布陣だね。特に

 裏世界と比べると、その違いは著しいよ。」

 

「裏世界で、人類は負けた。それを繰り返すわけには

 いかない。ムサシが現れ、壊滅的な打撃を

 負うのが風飛市と、この学園だ。ここを

 守るため・・・アタシは残る。お前たちにも

 やりたいことはあるだろうが、一年だけ時間をくれないか。」

 

3人に対し、虎千代は深く頭を下げる。

 

「・・・わたくしは・・・」

 

ましろがゆっくりと口を開く。

 

「北海道の復興に行きたいのです。」

 

「・・・知っている。」

 

「しかし、もう入隊の手続きはキャンセルして

 しまいましたから。第8次侵攻を乗り切れなければ

 復興も何もないですしね。もう心は決まって

 いますよ。学園に残って、戦いましょう。」

 

「ありがとう。遊佐は?」

 

「・・・まだ、夏海が霧の嵐の謎を解いていない。

 年が明けたのにね。」

 

そう言うと、鳴子はニヤッと笑う。

 

「それが僕にとって、最も興味を引かれる謎が

 この学園にある。外に出ていく理由がないよ。

 ジェイス・カルマンのこともあるしね。」

 

「お前らしい理由だ。」

 

虎千代はしょうがないなという感じで笑う。

 

「・・・つかさ。お前はどうだ? 南半球に

 行きたがっていたな。」

 

「私がどこに行こうが、貴様に断る必要など

 ないだろう。私を説得するつもりなら、

 どうして一つの名を出さない。」

 

「・・・・・。」

 

「第8次侵攻ではムサシが出現する可能性が

 あるのだろう?」

 

「阻止する。ロウをむざむざとムサシにさせるものか。」

 

「何もわかっていないのにか?」

 

「世界中の情報を集めている。コズミックシューターも

 協力してくれている。第8次侵攻までには、

 必ず見つけ出す。」

 

決意を秘めた目でつかさを見る。

 

「ならば私はいらんな。・・・だが、ヤツが、

 ロウがムサシになった場合・・・私が

 引導を渡してやる。そのために残る。」

 

「・・・つかさ、それは・・・。」

 

「非道と思うか? 私は情けのつもりだがな。

 私が速やかに命を絶てば、ヤツがもう誰も

 殺さずにすむのだ。」

 

「・・・まあ、それは最悪の展開だけどね。」

 

「そうならないよう、学園で一致団結するのでしょう?」

 

「私がやることは変わらん。ただ魔物を殺すだけだ。

 虎千代。貴様は貴様のやるべきことをやれ。

 他の学園生も同様だ。私もまた、ただ

 やるべきことをやるだけだ。」

 

「・・・・・・・。」

 

そう言い残し、つかさは生徒会室をあとにした。

 

「わざわざ言葉に出すなんて、アイツも不器用だな。」

 

「彼女の思考は独特だ。言ってくれなきゃ、

 真意がよくわからない。・・・協力して

 くれるってことでいいんだよね?」

 

「仕方ないから理由をつけて、学園に残って

 くれるということだ。ありがとう、つかさ・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて・・・これで終わりか。」

 

クエストの報告を終えたロウは伸びをする。

 

「そうですね。さあ、行きましょう。」

 

「? どっか行くのか?」

 

「・・・いえ、私は特にありませんよ?

 あなたがクエスト後にいつも行っている

 所に連れて行ってください。」

 

「お前そういうの行くのか?」

 

「もちろん! ロウさんはクエストが終わったら

 いつも遊びに行ってるじゃないですか!」

 

「悪いか?」

 

「そこまでは言いません。授業免除の権利が

 あるのですから。しかしあなたが女子生徒と

 どこに行っているのか・・・それをしっかり

 把握しておかなければなりませんから!」

 

ぐいっと顔をロウに近づける。

 

「まだ言ってんのかよ・・・。」

 

「本当はもっと早く知っておくべきでしたが

 ずるずるとこんな時期まで・・・。」

 

「ったく・・・。」

 

呆れ気味にため息をつく。

 

「こうして、一緒にクエストを請ける機会が

 あったのはちょうどよかったです。私に

 教えてくれますよね? 後ろめたいことがなければ!」

 

「仕方ねえな・・・んで? どこ行きたいんだ?」

 

「えっと・・・ですから、行きたいところは・・・。」

 

「俺も基本的にねえよ。相手に合わせるだけだしな。

 で、どうしたいんだ?」

 

「う・・・うーん・・・急に言われると・・・・・。」

 

紗妃はしばらく考え込む。

 

「・・・! な、何か軽く食事でもできるような

 ところ・・・でどうでしょうか!」

 

「飯か・・・まあ、腹は減ってるが・・・。

 俺が選ぶんでいいんだな?」

 

「選んでください! あなたが選んだところなら

 どこでもいいですから!」

 

 

 

<ロウ、紗妃、移動中>

 

 

 

 

カフェ

 

「・・・なるほど。おしゃれなお店ですね。」

 

紗妃は店内を見まわす。

 

「人少なくていいんだよ。コーヒーうまいしな。」

 

そう言って、コーヒーを一口飲む。

 

「そういえば・・・本当に相手に合わせて

 選んでるんですか?」

 

「まあ、そうなるな。なんか違ったか?」

 

「いえ、そういうわけでは・・・。

 ・・・すごいですね、本当に。」

 

「そうか?」

 

「本当にそう思います。あなたが入学してから

 もう長いですけど・・・たくさんの噂は

 聞こえてきますが、あなたが嫌いだとか

 困るだとか・・・そういうことはさっぱりないんですよ。」

 

「・・・・・そうか。」

 

再びコーヒーを飲む。

 

「・・・いつも違う女子と歩いているような

 人は、問題を起こすと思っていましたが・・・

 どうやら、私も考えを正さなければいけない

 かもしれません。」

 

「ずっと言ってたけどな。」

 

ロウはぼそっとつぶやく。

 

「もし、そうならば、うるさく追い回すのは

 やめようと思います。あなたのことを信じて・・・

 そして・・・もしよかったら、私も・・・

 ・・・・・はっ!?」

 

「どうした?」

 

急にしまったという表情をする紗妃。

 

「・・・な、なんということでしょう・・・

 まさかこうするのが・・・あなたの

 常套手段だとしたら!?」

 

「はあ?」

 

「女子にお店を選ばせて安心させ、心を

 開かせ・・・・・・・さ、先ほどの

 発言を撤回します! まだあなたは危ないです!」

 

「結局こうなるか・・・。」

 

心の中で舌打ちする。

 

「これからも、じっくり見させていただきます!

 何か問題を起こしたら・・・その時は、お覚悟を!」

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