グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第289話 裏世界、第8次侵攻

学園

 

ロウの部屋

 

「早! もう話したの!?」

 

「うん。ぼく、こっちがいい。だから

 でんわしました。」

 

ジェンニが家族に連絡したことに、

梅はかなり驚いていた。

 

「パパ。おこってた。」

 

「そりゃ怒るよ・・・。もう少しでジャンヌに

 根回しできてたんだけど・・・。」

 

「どうしたの?」

 

「ううん。なんでもない。偉いぞ。」

 

笑顔でジェンニの頭をなでる。

 

「・・・で、家族の人たちは納得してくれたの?」

 

「ううん。」

 

「そりゃそうだろうね。でもまあ、ジェンニは

 日本にいるからさ。実際にここにいるってのは

 強いから、もうちょっと粘れば・・・」

 

「くるって。」

 

「へ?」

 

「ヤパニ、くるって。」

 

「・・・マジで? えっと、お父さん?」

 

「ううん。みんな。」

 

梅の口が驚きで大きく開く。

 

「いちぞくみんな、くるって。」

 

「一族みんな・・・? こ、国際問題だわ・・・

 急がなきゃ・・・。」

 

梅の顔が珍しく、青ざめていた。

 

 

 

 

 

 

街中

 

ロウと紗妃が歩いていると

カシャっという音が鳴った。

 

「ひゃ・・・? い、今のは・・・」

 

「び、ビックリして思わずシャッター

 切っちゃったわ・・・。」

 

鳴らしたのは目を大きく開き、驚いている

夏海のカメラだった。

 

「まさか紗妃がロウとデートしてるなんて!」

 

「デデ、デートではありません!」

 

「ふむふむ。カフェで一休みしてきたあとね。」

 

「な!? なぜそれを・・・!?」

 

「ロウのポケットからレシートが出てる。」

 

「目ざとい奴だな。」

 

ロウはレシートを奥に押し込んだ。

その時だった。

 

「・・・・・ん?」

 

一瞬、地面が揺れたような気がした。

 

「ロウ、あんた何・・・・・」

 

また一瞬、地面の揺れる感覚がした。

 

「・・・あ!? ここ!? もしかして

 ここで起きるの!?」

 

「くそ・・・。」

 

「岸田さん! 先ほどの写真、すぐに消して・・・」

 

「あ! ちょっと、放してよ紗妃! このままだと

 また・・・待ってロウ! 今度こそ・・・!」

 

「無理だな。後のことは頼むぞ。」

 

「ロウー!!」

 

ロウは霧の中に飲み込まれていった。

 

「てか、なんでロウばっかりなのよ・・・。」

 

「ロウさん・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???

 

「・・・・い・・・・おい・・・。」

 

とぎれとぎれに誰かの声が聞こえる。

 

「ん・・・?」

 

「生きてるよな・・・おい、なんで

 寝てるんだよ、こんなとこで。起きろ・・・

 起きろって!」

 

「何だ・・・?」

 

地面に倒れていたロウはゆっくりと

起き上がった。

 

「お、起きたな。ケガ、してねえよな。

 どこの制服だ?」

 

どこかで聞いたことのある声だった。

 

「ああ、大丈夫だ。少し訳ありでな。」

 

「魔物に襲われたのか? よく無事だったな。」

 

ロウのあまり汚れていない制服を

見て言う。

 

「一応さ、あたし魔法使いだから。グリモアの

 生徒。」

 

「ああ、よく知ってる。なあ、音無律。」

 

「・・・え・・・アンタ・・・。」

 

突如自分の名前を言われ、目の前の人物、

律は驚いた。

 

「アンタ、なんであたしの名前知ってんだ?

 ・・・その制服、グリモアのっぽいけど

 ちょっと違うよな。」

 

「・・・・・。」

 

(くそ、無駄に鋭いな。)

 

じろじろと自分を見る律にロウは

心の中でぼやく。

 

「それに学園で、アンタみたいな男子、

 見たことないけど。」

 

「・・・そんなことより、今はここを

 離れた方がいいんじゃないか?」

 

「・・・まあ、それもそうだよな。

 ほら、こっちだ。」

 

 

 

<ロウ、律、移動中>

 

 

 

「! ちょ、ちょっと待て!」

 

「あ? なんだ急に・・・・・ああ、なるほどな。」

 

二人の近くに数匹の魔物が

辺りを見ている。

 

「・・・やべえなぁ・・・。」

 

頭を抱え悩み始める。

 

「・・・悪いんだけどさ、こっから一人で

 どうにかしてくれ。あいつらはあたしが

 食い止めるからさ。」

 

「いや、このまま行くぞ。」

 

「・・・いや、魔物ナメんなって。」

 

「魔力はどれくらいある?」

 

「もうあんまり・・・。」

 

「目閉じてろ。」

 

「は? 何を・・・」

 

「いいから早くしろ。」

 

「お、おぅ・・・。」

 

ロウは律の魔力を回復させた。

 

「・・・あれ? 魔力が・・・回復

 してる・・・? もしかしてアンタ、

 魔法使いなのか?」

 

「! 来てるぞ!」

 

近くにいた魔物が二人に気づき

走って近づいてくる。

 

「早く魔法使え! 声の魔法をな!」

 

「な、なんであんた、そんなことまで・・・くそ!」

 

魔法を使うため構える。

 

「もう逃げても間に合わねえ! もし死んだら

 アンタのせいだからな!」

 

魔法が何発も放たれ、魔物は霧散していった。

 

「はぁ・・・はぁ・・・くそ、こんなに

 魔法使ったの・・・初めてだ・・・。」

 

「回復した分一気に使うからそうなんだよ。」

 

そう言いながらも、また律の魔力を回復させる。

 

「・・・や、やっぱアンタが回復してくれた

 のか・・・。おかげで魔力は満タンだけどよ

 ・・・全力で撃ちまくって、マジで疲れた・・・。」

 

疲れから座り込む。

 

「・・・はあ・・・・・アンタ、何者なんだよ。」

 

「悪いが、言うわけにはいかねえな。

 少ししたら、とっとと行くぞ。」

 

「わけわかんねえ・・・でも、約束通り、安全な

 所まで連れてってやるよ。あたしも助かる

 可能性、高いっぽいしな。んで、ついでに

 ちょっと寄り道させてくれ。」

 

「寄り道? なんかあんのか?」

 

「途中ではぐれちまった友達がいるんだ。

 あたしはそいつを探してる。」

 

「友達ね・・・しかし・・・。」

 

周りを見ると、大きく荒らされた街の姿があった。

 

「なんでここまでやられてる・・・?

 何があった。」

 

「・・・アンタ、あたしの名前知ってんのに

 今起きてること知らねえって・・・本気か?」

 

「ああ、いろいろあってな。で、何が起きてるんだ?」

 

「・・・わかったよ。探しながら話してやるよ。」

 

律はゆっくりと立ち上がる。

 

「今は、第8次侵攻中だ。」

 

重く開かれた口から告げられたのは

衝撃の言葉だった。

 

「・・・くそ、なんてタイミングだ・・・。」

 

「?」

 

「いいこと教えてもらったな。こっちの

 情報も出そう。」

 

ロウは自分たちの世界のことを話した。

 

「・・・もう一つ世界があって、そこに

 もう一人のアタシがいて・・・で、

 アンタはそっちから、霧の嵐に巻き込まれてきた。」

 

ロウから聞かされたことを戸惑いながら口に出す。

 

「どうだ、信じられるか?」

 

「そう言われてもな・・・霧の嵐がそんなもん

 なんて聞いたことねえし・・・。」

 

「だから話さなかったんだが・・・まあいい。」

 

「なんか証明するもの、あんのかよ。」

 

怪しむ目でロウを見る。

 

「証明になるかわからねえが、お前が探してるのは

 誰かはわかっている。」

 

「! ・・・わかるか?」

 

「ああ。・・・・・間宮千佳だろ?」

 

「・・・わけわかんねえ・・・なんで知ってんだ・・・。」

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