グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
「はぁ、はぁ・・・どうにか、倒せたようですね。」
姫たちは、どうにか魔物を撃退した。
「刀子! 自由! 念のため、近辺に魔物が
いないか確認をお願いします。」
「随分無茶するな・・・。」
そう言いながらロウは姫の魔力を
回復させる。
「・・・あ、ありがとうございます・・・。
・・・・・。」
姫はロウの目をじっと見る。
「何だよ?」
「・・・あなたの目は・・・真っすぐです。
なのになぜ、あんなことを・・・。
・・・・・?」
姫の視界が一瞬揺らぐ。
「・・・今、揺れましたか?」
次第に揺れが大きくなっていく。
「! こ、この揺れは・・・まさか地震!
こんな時に!」
「いや、この揺れ・・・・・まさか・・・。」
「・・・・・!」
ふと見上げた梓が驚きで
目を大きく開く。
「ちょっと、服部さ・・・・・」
あまりの光景に、姫の言葉が止まる。
「くそ・・・とうとう出たな。」
「ま・・・まさ・・・か・・・・・
まさか・・・アレ・・・アレは・・・!
ム・・・サ・・・・シ・・・・・。」
3人の視線の先では、周りのビルより
はるかに巨大な魔物、ムサシが雄たけびを上げていた。
「・・・あ、あれ・・・でけぇ・・・。」
ムサシに気づいた律は腰を抜かす。
「な、なんだよアイツ! なんで・・・
なんで、あんなのまで出てくるんだよ!」
「・・・まさか・・・まさか・・・・あれが
ムサ・・・シ・・・? そんな・・・。」
姫はロウの言葉を思い出した。
『俺は警告したぞ。』
「そんな・・・本当に出るなんて・・・・・。
! か、彼はどこに・・・。」
ふと見ると、ロウと梓の姿がなかった。
「姫殿ぉ! すぐに撤退を!」
「あんなの倒すなんて言わないでくださいよ!」
「あの殿方を探してください!」
『こちら南、撤退中です!』
「撤退先は神凪神社です。」
梓は撤退しているほかの生徒
智花たちと連絡を取っていた。
『わかりました・・・。・・・・!?
子供が!』
そこで、通話が途切れる。
「・・・・・・未だに中心街付近に
いるということは・・・撤退しながら
避難誘導でもしてたんですかね。」
「おい、服部!」
「・・・ああ。あなた、いたんですか。」
「今の連絡、どこから来た!」
焦るロウは梓の胸倉をつかむ。
「な、なんですか急に・・・。」
「どこから、誰の連絡だ!」
「え・・・南、智花です。駅近くで
避難誘導していたようです。つまり・・・
あの、巨大な魔物が現れたところですね。」
梓は巨大なムサシを指さす。
「・・・そうか。」
ロウは梓が指さした方に歩き出す。
「待った! まさかムサシの所に行くつもりですか。」
ロウの前に立ち、止める梓。
「あの場所に行くことが、何を意味するか
知らないわけじゃないでしょう。それとも
あなたには、行かなければならないような
事情でもあるんですか?」
「話はそれだけか? お前がなんと言おうが
俺が行くだけだ。ついてこいなんて言う
つもりはねえよ。さっさと撤退しろ。
俺は・・・一人でも行く。」
「・・・どうしたんです、あなた。
さっきまでと様子が違いますよ。
余裕がなくなってます!」
「・・・『ROOM』・・・。」
青色のドームを出現させる。
「な、これは・・・?」
「『タクト』!」
「うぐ!」
梓の体を浮かせると、瓦礫の中に
押し入れる。
「邪魔してくれるなよ。もし邪魔するなら・・・
お前を殺してでも、俺は行く。」
「!」
「あの殿方が!? 刀子、捕まえてください!」
「承知!」
「今度はお前らか・・・。」
「はあ!」
刀子の薙刀をロウの刀で防ぐ。
「『シャンブルズ』!」
刀子の前からロウの姿が消える。
「!? い、いつの間に前に・・・!?」
刀子の近くの瓦礫と位置を入れ替えていた。
「なんて筋力・・・。魔力の充実だけで
あそこまで力強いとなると・・・
一体、どれだけの魔力が・・・。やっぱり
みすみす駅へ行かせるわけにはいきませんね。」
「うおおおお! 待てぇ!」
「支倉・・・!」
刀子は再び、ロウの前に立ちふさがる。
「それまでだ! これ以上先へは進ませんぞ!
拙者たちは市民救出より貴様を優先したのだ!
姫殿のお気持ちを考えれば、貴様が
中心街へ戻ることは断じて許さん!」
鋭い目をし、薙刀を構える。
「どうしてもというなら、拙者を
殺して進むがいい!」
「・・・・・・。」
ロウは足を止めず、刀を抜く。
「な、なぜ足を止めない・・・。」
刀子は少し後ろに下がる。
「そうまでして行かねばならぬというのか
・・・その目を見ればわかるぞ。」
「『ROOM』」
再び青色のドームを張る。
「な、なんだ・・・?」
「『
「く・・・!」
ロウが大きく刀を振ったのを見て、
刀子は急いで屈む。
「な・・・!?」
ドームの中に会った瓦礫や建物が
次々と斬られていた。
「ますます不気味な・・・! だが
致し方ない。足の一本、切り落としてでも
止めてくれる!」
「そんなことは不要です。」
梓がロウの背後に迫る。
「ちっ・・・! タク・・・ぐ!」
突如、ロウは座り込む。
(くそ、ROOMをでかく張りすぎたな・・・。)
「そこまでです。」
「うっ・・・・!」
梓はその一瞬の隙を見逃さず、
ロウを気絶させる。
「・・・南たちが逃げられるかわかりません。
しかし、あなたがあそこに行けば、
確実に死ぬ。それは確かです。」
ロウが持っていた刀を取り上げる。
「話はあとで聞かせてもらいます。今は
少し、気絶していてください。」
<梓たち、移動中>
「はぁ・・・はぁ・・・くそ!」
律は息を切らせながら、坂道を
上っていく。
「死んでねえ・・・チクショウ、生き残ったぞ!」
「律・・・律! ゴメン、律・・・!」
千佳の目から涙が溢れてくる。
「うち・・・アンタ置いて・・・に、逃げ・・・」
「うるせえ! そんなのどうでもいい!
それくらい怖かったんだろ!? 見ろ
千佳!」
律が指さした方向に鳥居が見える。
「神凪神社が見えてきたぞ! 街は
もう抜けたんだ! もう千佳が
怖がる必要なんてない!」
「・・・律・・・り・・・つ・・・。
ごめん、ありがとう・・・。」