グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第296話 たくさんのお見舞い

 

ロウの部屋

 

「・・・・んん・・・・。」

 

体のだるさを感じながら

ロウはゆっくりと目を開けた。

 

「あ・・・! ロウさん、目が覚めましたか?」

 

「ダーリン・・・よかったぁ。

 具合、大丈夫?」

 

「はぁー。ホッとしたべ・・・。あんた

 すごいうなされてたよぉ。」

 

「倒れちゃったの覚えてる?

 突然ばたんってなったんだって!」

 

目を開けると、ロウの顔を

智花、香ノ葉、花梨、みちる、ゆかりが

心配した顔で見ていた。

 

「倒れた・・・たしかそうだったような・・・。」

 

「気絶したって連絡が来たときは、

 どうなるかと思ったけど・・・体力が

 落ちたところに、風邪ひいたみたいね。」

 

「・・・・風邪?」

 

「眠っている間に、執行部のお医者さんに

 診てもらったわ。季節の変わり目だったり

 色んな要因はあるけど・・・過労だって。

 安静にしてたらよくなるから。それまでは

 おとなしくして・・・ロウ君?」

 

「これが・・・風邪だと?」

 

ロウの体は驚きからなのか震えている。

 

「・・・そういえば、風邪ひいたこと

 ないって、言ってたような・・・。」

 

心配していたみちるが少し驚いた顔で

ロウを見る。

 

「私も、もう少し様子を見ていたいんだけど・・・

 他にも体調を崩している学園生が多くて

 戻らなきゃいけないの。幸い、4人が

 落ち着くまで見てくれるっていうから、

 安心してね。でもなにかあったら、すぐ

 私を呼ぶこと。わかった?」

 

「うん! ゆかりちゃん、ありがとう!」

 

「ん、でぇんと任せてけろじゃ。」

 

「ロウ君も、みんなを頼ってね。多分、

 起き上がるのも辛いだろうから。

 それじゃ、あとはよろしくね。」

 

「うん・・・。」

 

ゆかりは部屋から急ぎ足で出て行った。

途端に、ロウは眠りについた。

 

「・・・ダーリンが倒れたの、ウチの

 せいかもしれん・・・。」

 

「え、どうして?」

 

「ウチ、ダーリンの姿を見ると、いても

 たってもいられないんよ・・・。しつこく

 したせいかもしれんなぁって・・・。」

 

香ノ葉の表情が暗くなる。

 

「そんな! そんなことで熱出したり

 しないよ! 月に何回もクエストに

 行ったり、この前もさ・・・その、

 間ヶ岾を倒して、ちょっと緊張の糸が

 切れただけだよ!」

 

「・・・寝た?」

 

花梨はロウの顔を覗き込む。

 

「うん・・・。」

 

智花は不安そうにロウの顔を見る。

 

「ほらほら! 辛気臭いのは、わがねじゃ。

 あんたまでそったら顔してては、よくなる

 もんもならねえすけ。おら、ロウの服

 洗濯してくるすけ、見といてね。」

 

ロウの服を手際よくカゴに入れていく。

 

「一に看病、二に薬って言うすけ。

 くよくよしてねえで、な? おらんどに

 できること、いっぱいあるっきゃ。」

 

「うん・・・。」

 

カゴを抱え、花梨は部屋を出た。

 

「どしたん? 花梨ちゃん、荷物持って

 出てったけど・・・。」

 

「ロウさんの服、洗濯するんだって。」

 

「え! せ、洗濯?」

 

「それって・・・下着も!?」

 

「ふぇ!? し・・・」

 

智花の顔が少し赤くなる。

 

「う、うん・・・多分、下着、も・・・?」

 

「ウチも洗う・・・!」

 

香ノ葉は急いで花梨のあとを追った。

 

「あ、行っちゃった・・・。」

 

「・・・そ、そうだよね。恥ずかしがって

 なんかいられないよね。ロウ君には

 たっくさんお世話になってるもん!

 頑張って看病するからね!」

 

そう言うみちるの顔も少し赤い。

 

「・・・とは言ったものの、どうしよっか。」

 

「みんなでここにいても仕方ないし・・・

 順番を決めて、やることを書き出して

 おいて、後でじゃんけんしよっか。」

 

「・・・なるほど! 確かに効率的だ!

 じゃあ、最初は・・・台所を使うから

 片付け。次は買い物・・・」

 

「やっぱり、おかゆは作るよね?」

 

「こ、これはじゃんけんしないで、

 花梨ちゃんに任せよっか・・・。」

 

 

 

 

 

数分後

 

寮の廊下

 

4人のじゃんけんの結果、

智花は掃除をしていた。

 

「外で掃除かぁ・・・ちょっと残念かも・・・

 あ、ダメダメ。ちゃんと清潔にして

 おかないといけないんだから。」

 

箒を握る手に力が入る。

 

「えっと、最初は私と香ノ葉ちゃんで途中で

 交代・・・。・・・ロウさん、きっと

 いろんなことが重なっちゃったせいだよね。」

 

小さくため息をつく。

 

「時間が進みだして、もう止まらない・・・

 私も気を引き締めないと。えい、えい、おー。」

 

「・・・・ぁ・・・の・・・」

 

「ひゃ!」

 

不意に後ろからした声に智花は飛び上がって

驚いた。振り向くと、ありすと

クレイジープリンセスが立っていた。

 

「あ、あれ、ありすちゃん? どうしたの?」

 

「・・・ろう・・・さ・・・たぉれたって・・・。」

 

『おうおうおう! 少年が倒れたってマジか!?

 ありすがすげー心配してんだ!』

 

「・・・ぉ、人形・・・! めっ・・・しー・・・。」

 

「お医者様に診てもらったから、大丈夫だよ。

 まだ熱は下がってないけど・・・。今は

 薬が効いてるみたいで、眠ってるの。」

 

『・・・いや、いつかはこうなると思ってた

 けどよ。急だったなー。』

 

短い腕を組みながらつぶやく。

 

「はぁ・・・はぁ・・・あの、ロウ君が

 風邪だって・・・大丈夫なんでしょうか!?」

 

エミリアが息を切らせながら

駆け込んでくる。

 

「あ、エミリアさんも・・・えっと、

 風邪というより、過労で・・・」

 

「ロウさんがインフルエンザとノロを

 併発したと聞いたのですが!」

 

今度は紗妃がやってきた。

 

「酷ければ入院を・・・。」

 

「あわわ、氷川さん! ち、違います、

 インフルエンザではなくて・・・」

 

「ね、ねえねえ。お兄さん入院するって・・・。」

 

今度はノエルが心配そうにやってくる。

 

「ひえぇ!?」

 

「あのあの、ロウさんが倒れたって本当

 ですか!? とても難しい病気だと

 聞いて・・・その、いてもたっても・・・。」

 

不安そうな顔をした萌木が里菜と

ともにやってくる。

 

「み、みなさん! 少し落ち着いてください!」

 

「み・・・し、しず・・・ぁぅ・・・。」

 

次第に多くの生徒がやってきて、

ロウの部屋の前は大混雑となる。

 

『おい、お前ら! 病人の部屋の前でそんな

 騒ぐなって・・・うわっ、押すな押すな!』

 

「それで、ロウ君の具合はどうなんですか!?」

 

「じゅ、順番に説明しま・・・きゃ!

 えと、お医者様に診てもらったところ

 ・・・お、押さないでくださ・・・きゃ、

 きゃー!」

 

 

 

<智花、説明中>

 

 

 

「・・・というわけで、疲労です! 大きな

 病気ではありません!」

 

もみくちゃにされながら、

なんとか智花は説明を終える。

 

「そ、そうだったんですね・・・ウワサを

 そのまま信じちゃいました。」

 

「誤った情報のせいで、こんなに人が

 詰めかけてしまうなんて・・・私の方から

 正しい情報をアナウンスしておきましょう。」

 

エミリア、紗妃は申し訳なさから

頭を下げる。

 

「みんなが心配なのはよくわかるんですが・・・

 あんまり大勢で看病しても、ロウさんの

 負担になるだけだから・・・今回は

 私たちに任せてください!」

 

「チラッとでも顔見るのはダメか?」

 

心配そうに里菜が尋ねる。

 

「う、うぅ・・・それで安心するなら・・・と

 言いたいところだけど・・・それだけでも

 みんながやったら結構なストレスになると

 思うから。」

 

「・・・確かに。病気の姿をかわるがわる

 見られるのは嫌ですよね。」

 

「私は寮の入り口にいる人たちを学園に

 帰しましょう。みなさん、解散です!

 詳しいことは私から説明しますので!」

 

「もう少し元気になったら、またお見舞いに

 来ますね。」

 

「お役に立てることがないか・・・本で

 調べておきますね。」

 

「・・・ぁ・・・ぇと・・・」

 

『ありす、オレっちたちも戻ろうぜ。

 邪魔にならねえようにさ。』

 

「・・・ぁぃ・・・そぇ、でわ・・・。」

 

来ていた生徒たちが続々と帰っていく。

 

「はぁ・・・ロウさんって、やっぱりすごいなぁ・・・。」

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