グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
夜
ロウの部屋
「・・・えっと・・・ふんふん・・・
あとは保温と・・・」
みちるはデバイスを見て頷いている。
「ん? 松島、何見てるべ。」
「これ? ゆかりちゃんが送ってくれたの。
ロウ君を診断してくれたお医者さんの
アドバイス。今の症状送ったら、
これからよくなるだろうってさ。」
「そうかぁ。だば安心だっきゃ。ロウ?
・・・おらんど、いなくても大丈夫そう?」
「ああ。今日寝れば、完全に回復だな。」
軽く肩を回す。
「また熱が上がったらすぐ呼んでね!
いつでも大丈夫だから。深夜でも早朝でも!」
「おらも大丈夫だ。電話でもいいし、
もあっとでもいいすけ。」
「大丈夫だってのに・・・。」
「そうかもしれないけど・・・心配なの!
あ、そうだ。飲み物とゼリーと・・・
みんながくれたお見舞い品も置いとくね。」
ロウの枕元に次々と置いていく。
「松島。あんたも早く帰って休まねえと。
明日も授業があるすけ。」
「わかってる・・・わかってるけど・・・
あ、あとちょっとだけ! 次に薬飲んで
ロウ君が眠るまで・・・それまでは・・・。」
「・・・ああ。だば、それまで一緒に
いるべか。ロウ。おらんどがいるすけ。
安心して休んでけろじゃ。」
「ったく、心配性な奴らだな。・・・なら
すぐにでも治さないとな。」
翌朝
「・・・・・。」
ジェンニは寝ているロウを
じっと見る。
「ぺたっ。」
ロウの額に手を当てる。
「・・・ぱらね、ぴあん・・・。!」
足音に気づき、物陰に隠れる。
「おはよう、ロウ君。入るよ?」
みちるが部屋に入ってくる。
「具合はどう? ちょっと熱測らせてね。」
「ほれ。」
すでに測り終えた体温計を差し出す。
「・・・あ! すっかり下がってる!
安心したぁ~・・・。」
「大丈夫だって言ったろ? 念のため
今日は休むが、みちるは学園に
行かなきゃならないんだろ?」
「うん・・・朝一で訓練があってさ。
でも、何かあったら連絡してね。すぐ
戻ってくるから。絶対だよ!」
バタバタとしながら、みちるは
部屋を出る。その数分後・・・
「ダーリン。起きてる? ウチやけど・・・。」
香ノ葉が静かに入ってくる。
「ああ、起きてる。」
「ダーリン! 顔色、良くなってる! ウチも
休まないと倒れるから、涙をのんで帰った
けど・・・部屋に帰ってからも、ずっとずっと
心配しとったんよ。」
元気そうなロウを見て、安堵の表情を浮かべる。
「桃、持ってきたから食べてな。切って
あるからすぐ食べられるんよ。」
「ああ、悪いな。」
「食べる? あーんする?
夜いられへんかったし、たっぷり・・・」
ヴー! ヴー!
香ノ葉のデバイスが鳴る。
「・・・うっ。授業サボるなって、
風子ちゃんから釘刺されたんよ・・・。」
「なら、早く行ってこい。今度は紗妃
あたりからかかってくるぞ。」
「・・・うん。でも、よかった。ダーリンの
顔見て、ウチすっごく元気でたわぁ。
授業終わったらまたすぐ来るさかい、
待っとってね。」
そう言って、香ノ葉が部屋を出ようとする。
「ああ、ちょっと待て。ジェンニ、お前も出ろ。」
「そうやえ。治りかけが一番うつりやすいんやから。」
「んぁ・・・! ば、ばれました・・・。」
香ノ葉がジェンニを捕まえる。
「せんぱい。ぴだ、ふおるた・・・。」
シュンとしながら、香ノ葉と一緒に
出て行った。それから数分後・・・。
「ロウさん、智花です。お加減はいかがですか?」
今度は智花が入ってくる。
「よう、智花。」
「あ・・・おはようございます。みちるちゃんから
熱が下がったって連絡があって・・・・・
どうしても様子を見ておきたくて・・・
来ちゃいました。」
「おかげさまで、この通りだ。」
「よかった・・・夏海ちゃんも怜ちゃんも、
ロウさんのこと、心配してたんですよ。
そ、それに私も・・・」
「ん?」
「ずっとロウさんがよくならなかったら
どうしようって・・・。」
そう言う智花の目は少しうるんでいる。
「だから・・・安心しました・・・
本当に・・・。」
「・・・そうか。心配かけたな。
だが、もう大丈夫だ。」
「しっかり休んで、また元気に登校して
きてくださいね。ロウさんがいない
学園は・・・すごく・・・さびしいですから。」
目をこすりながら、智花は顔を
見せないように部屋を出た。
「・・・・・。」
「ロウ、起きてるべか? 開けるべよ。」
次は花梨が入ってくる。
「お、すっきりした顔してるべ。ぐっすり
眠れた?」
「・・・・・?」
ロウは一瞬、苦しそうに頭を押さえる。
「ロウ?」
「・・・いや、なんでもねえ。
俺の気のせいだ。」
「大丈夫か? さっき智花とすれ違ったけんど、
ちょっと涙ぐんでたべ。」
「いろいろ心配したって、懇々と言われたよ。」
「よっぽど心配だったんべなぁ。あんたも
罪な男だべ。ふふふ・・・。」
「罪? ・・・まあ、その、いろいろ
迷惑かけたな。」
「あっはは! そったらこと、だーれも
迷惑なんて思ってねぇべよ。」
花梨はロウの言葉を笑い飛ばす。
「あんたはさ、知らねえだろうけど・・・
看病に来たあれんど以外も、みーんな
看病させてくれって大変だったべ。」
「そんなにか・・・。」
「全員相手にしてたら、またあんた
倒れちゃうじゃよ。でも、そのくらいね、
大切に思ってるすけ。ちょっとは
甘えてほしいべ。」
穏やかな笑みをロウに見せる。
「おらだって、あんたに頼ってもらえたら
嬉しいすけ。」
ぐぅぅぅ・・・・。
ロウの腹が元気よく鳴る。
「ほら、お腹は正直だっきゃ。」
「・・・だな。」
「朝ごはん、食べる? お粥以外のもの、
食えそうか?」
「ああ、大丈夫だ。」
「おらは今日もいるすけ。あんたの
好きなもん、作ってあげる。
なんでもわがまま言っていいすけな?」