グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第29話 遊佐鳴子の興味

学生寮

 

 

ピピピ! ピピピ!

 

「・・・ん・・・。」

 

くそねみぃ・・・。

 

乱暴にデバイスを

手に取る。

 

「・・・クエストか・・・・ったく・・・。」

 

いやそうにゆっくりと

ベッドから出る。

 

「・・・・。」

 

冷蔵庫からブラックコーヒーを

取り出し、勢いよく飲む。

 

「さて、行くか。」

 

 

 

 

 

 

 

正門

 

「ったく、おせえ・・・・。」

 

少し早く出たせいで、

時間が空いてしまった。

 

「ん?」

 

ふと顔を上げると、

フードを被った生徒が見ていた。

 

「なんだ、西原か。」

 

「ええ。どうもロウさん。」

 

ゆっくり頭を下げる。

 

「んで? どうかしたのか?」

 

「あ、いえいえ、

 こちらをお渡ししたかっただけです。」

 

「?」

 

紫色の石を手渡される。

 

「なんだこれ。」

 

「アメジスト、魔除けの石です。」

 

「・・・魔除け? なんだ、

 今日にでも死ぬとかか?」

 

冗談っぽく言う。

 

「・・・・。」

 

図星なのか下を向く。

 

「・・え、まじか?」

 

「い、いえ、死相が出ているんです。

 それは、お守りであるとともに

 警告であるとも捉えていただければ

 結構です。」

 

「・・・そうか。・・・・まだまだ

 死ぬわけにもいかねえしな。」

 

ぼそっとつぶやく。

 

「ロウさんはこれからクエストですね?

 では、ゆえはこれで失礼します。」

 

若干ふらふらしながら

教室に向かっていった。

 

「・・・死相ねえ・・・。」

 

「ふふふ、待たせたかい?」

 

後ろから声をかけられる。

 

「おせえぞ、遊佐。」

 

現れたのは報道部部長

遊佐鳴子だった。

 

「少し準備に手間取っただけだよ。」

 

「・・・そうか、で、いったい

 何を企んでるんだ?」

 

「ははは、会ってそうそう失礼だなぁ。

 何も企んでないよ。」

 

両手を挙げて微笑む。

 

「君を一度くらい独占しようと

 思っただけさ。それに、今は少し

 学園から離れたほうがいいだろう。」

 

「・・どういうことだ。」

 

「第7次侵攻から科研や魔導書、いろんな

 ことがあっただろ?」

 

「魔導書・・・ああ、あれか。」

 

先日、学園の地下から

開けない魔導書が発見されていた。

 

「だから、リフレッシュのために

 いつものクエストに行こうと思ってね。

 まあ、これを期に仲良くしようじゃないか。」

 

手を差し出す。

 

「・・・ああ、だが、信頼する気はねえ。」

 

渋い顔で握手する。

 

「ふふ、わかったよ。」

 

 

 

 

<ロウ、鳴子、移動中>

 

 

 

 

「いや~しかし、やっと君と

 組むことができたよ。」

 

「? そんなに時間がかかるのか?」

 

「自覚がないんだね? 君の体質は

 それだけ重宝されてるんだよ。でも、

 体質だけで1人の男子に女子が群がるとは

 思えない。」

 

「はっきり言うな。てか、

 結局何が言いたいんだ?」

 

軽く肩を回す。

 

「報道部部長としては興味をそそられるんだ。

 君は、あの虎千代が評価しているしね。

 つまりは、このクエストは君への取材も

 かねているんだよ。」

 

「なんとも釈然としねえが・・・。」

 

「それに、このクエストは僕好みなんだ。」

 

「なんだ、何か出るのか?」

 

「ああ、・・・最近、森のはずれから赤ん坊の

 泣き声がするって噂があった。」

 

「?」

 

何の話だ?

 

「調べてみると、いるはずない赤ん坊が

 いるらしい。おそらく、幽霊の類だろう。」

 

「・・・お前本気で言ってるのか?」

 

「はは、そうだった。君は神すら

 信じてなかったんだったね。」

 

「当然だ。ったくなに話すかと思ったら

 幽霊なんているわけ」

 

「・・・おい、ロウくん。前・・・。」

 

「あ? ・・・・・!!」

 

2人の前に

巨大な人間の赤ん坊が現れた。

 

「・・・まじかおい・・・。」

 

「よし、行くよ!」

 

炎の玉を何発も作り、

赤ん坊にぶつける。

 

大きなうめき声をあげながら

赤ん坊は霧散した。

 

「いや、ごめん。いいタイミングで現れてね。」

 

「霧散した・・・・霧の魔物か?」

 

「そう、魔法が効いたからね。」

 

「? だが、お前の話は・・・。」

 

「え? ・・・・く、はははは!!

 さっきの話は僕の作り話だよ。

 ついさっき考えた。」

 

「・・・・。」

 

ゆっくりと鞘から刀を抜く。

 

「今ここでバラバラにしてやる・・・!」

 

「ふふ、悪かった悪かった。」

 

「ちっ・・・・!

 『ROOM』!」

 

「・・やっぱり気づいたかい?」

 

「ああ・・・。『切断(アンビュテート)』!」

 

勢いよく刀を振る。

 

すると、2人の背後に

いつの間にか迫っていた赤ん坊を

真っ二つに切り裂く。

 

「次はお前だ! 遊佐ぁ!!」

 

「まあまあ、悪かったって言ってるじゃないか。

 そうだ、少し落ち着いてきたし、取材させて

 もらえないかい?」

 

「次はねえと思え。」

 

近くにあった岩に腰掛ける。

 

「さて・・・何から質問しようか。」

 

手帳を取り出す。

 

「・・・よし、じゃあ単刀直入に聞こう。」

 

「なんだ?」

 

「佐藤一という男を知ってるかい?」

 

手帳に挟んでいた写真を見せる。

 

「・・・いや、見たことも聞いたこともないな。

 そいつが何かしたのか?」

 

「実は第7次侵攻の二日後、廃ビルでその男の死体が

 発見されたんだ。」

 

「・・・なに?」

 

おっさんめ・・・何やってやがる・・・。

 

「で、君と南くんはその廃ビルに侵攻の時

 近くにいたはずだ。何か変わったことはなかったかな?」

 

「・・・さあな。銃声がしたぐらいか。」

 

「ふむ、やはりそうか。」

 

もはや取材ってか取り調べだな・・・。

 

「実はこのクエスト前に南君に話を聞いてきたんだ。

 君、銃声がしたとき一緒にいなかったそうじゃないか。」

 

「・・・で?」

 

「僕は、風紀委員がにらんだ通り君が彼を

 殺害したと思っているんだ。」

 

「証拠がないな。俺はたしかにあいつと一緒には

 いなかったがそれがイコール俺が撃ったとは

 ならない。そうだろ?」

 

「・・・確かにそうなるね。じゃあ、もう一つ

 聞かせてほしい。」

 

ロウに顔を近づける。

 

「君が風紀委員に見張られていることは?」

 

「ああ、気づいている。侵攻のあとから

 交代制で向こうは尾行している。」

 

「へえ・・・? 気づいてたのかい?」

 

「気配には敏感でな。」

 

「そうか・・・じゃあ、風紀委員に

 少し忠告をしておこう。君は

 相当用心深いって。」

 

「悪いがそうしておいてくれ。

 ・・・・よし、そろそろ行くぞ。」

 

腕を回し、立ち上がる。

 

「そうだね。そろそろむこうも

 しびれを切らしたようだ。」

 

2人の周りに

4体の赤ん坊が現れる。

うち1体は3体より何倍もでかい。

 

さぁて・・・・。

 

「『ROOM』!」

 

「さあ、行くよ!!」

 

巨大な赤ん坊以外の

赤ん坊を雷によって霧散させる。

 

「『切断(アンビュテート)』!」

 

ロウは巨大な赤ん坊の腕を

斬りおとした。

しかし、赤ん坊はそれを

拾い上げ、元の位置にくっつけた。

 

「ちっ・・・。」

 

「へえ、その技自分で切った個所を

 戻せるんだね?」

 

「弱い魔物なら切られたら消えるはずだがな。

 人間やある程度強い魔物になると

 自分で引っ付けられる。・・・だが。」

 

刀を魔物に向けると

刀に紫色の雷が走る。

 

「『ラジオナイフ』!!」

 

赤ん坊の左腕を切断する。

 

赤ん坊は腕を戻そうとするが

腕が滑り落ちる。

 

「『ラジオナイフ』で切れば数分間は

 くっつけることはできない。」

 

「へえ・・・面白いね。」

 

「これで終わらすか。『ラジオナイフ』!!」

 

残った腕と足を切ったあと、

体を真っ二つにする。

赤ん坊は唸り声をあげ

消えていった。

 

「これで終わりか。さて、帰る。」

 

「そうしよう。あとは正規の軍隊が調べてくれる。

 チェックするのは仕事の漏れ・・・そして、

 ヒントを探しているんだ。」

 

「ヒント?」

 

「ああ、魔物の正体につながるものを・・・ね。」

 

にやりと笑う。

 

「僕の目的はそれだよ。魔物はある日突然

 現れるようになった。なぜ? いかにして?

 とても魅力的な謎だと思わないかい?」

 

「確かにそうだ。」

 

「自然のものとも人工的なものとも

 考えにくい。ではその答えはいったい何なのか・・・

 ・・・もうこの辺にしておこう。」

 

「そうしてくれ。」

 

2人は学園への帰路についた。

 

・・・それにしても

誰が佐藤を・・・・?

 

「ああ、あと。」

 

「?」

 

「君に人気のある理由がわかったよ。

 体質だけじゃなく、そこから少し

 にじみ出る人の好さだ。」

 

「少しねえ・・・。」

 

・・・あんま喜べねえな。

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