グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
「そうか・・・では、もし魔物が出たら
日中で共同戦線を張ろう。」
「我が学園の連中に戦い方を教えて
くれたら助かるネ。」
「あー! 万姫、あんなとこにいたネ!」
「わ! ホントだ! 小蓮の言った通り、来てるアル!」
「げっ・・・。」
小蓮の声で思わず万姫は顔をしかめる。
「ん? ああ、そうか。あの二人とお前は
親友だったな。」
「はぁ!?」
「・・・?」
万姫の反応に虎千代は首をかしげる。
「言うに事を欠いて誰と誰が親友なのヨ!?」
「そーヨ! この年中ドヤ顔女、見てるだけで
ムカムカしてくるネ! カイチョも
気をつけないと、すーぐに自慢話してくるからネ!」
「自慢できるものが何もないアナタは
気の毒ネー。そういえば、北海道の貸し
まだ返してもらってないガ?」
「フン! 万姫が泣いて謝るくらいの物あるヨ!
おみそれしましたってドゲザする姿が
今から楽しみヨ!」
「あーあ、老師がこんなところで口げんか
始めたら、また怒られるのだ。」
二人の口げんかに明鈴は
いつものことのように呆れている。
「・・・あれが周万姫の素なのか?」
「昔っから、小蓮と話すといっつもあんな
感じなのだ。久しぶりに会ったけど、
全然変わってないアル。」
「そうか・・・あれが素か・・・。まあ、
いいか。雀、確かお前は留学の手続きのため
学園に行くんだったな。面倒なことは
最初に片付けてしまおう。行くぞ。」
「らじゃアルー。」
夜
人民広場
「・・・やはり魔物が出現するのか。」
虎千代はため息をつく。
その日の夜、万姫の想定通り
魔物襲来の一報が届いた。
「西の方は私にやらせろ。邪魔をするなよ。」
「つかさ・・・。ああ、頼んだ。
・・・街を壊すなよ。」
「それは相手によるな。」
にやりと笑い、つさかは魔物討伐に向かった。
「ったく、あれも相変わらずか。」
「ロウ、体調はもう大丈夫か?」
「問題ねえって言ったろ。」
「そうか・・・。今回は、お前も楽が
できると思う。準備が万全だからな。」
「・・・移動して、また魔物の襲撃・・・。
そして、そこには・・・」
ロウはある一つの可能性を考えた。
「なあ、これまでの魔物の襲撃、
俺が原因ってことはないのか?」
「馬鹿を言うな。」
ロウが口にした可能性を虎千代は
首を振って否定する。
「確かに戦闘中、お前に向けて動くことがあるが・・・
それは戦闘が始まって、時間が経ってからだ。
もっと細かく言うと、魔物がお前を肉眼で
認識してからだ。少なくとも、今の時点で
お前を狙っているというの考えられん。」
そう言うと、虎千代はロウの肩に
手を置く。
「あまり自分を責めるな。裏世界の第8次侵攻も
一人でどうなることじゃない。全てを
救おうとすると永遠に苦しまなければ
ならなくなるぞ。」
「・・・そう、だな。」
「・・・とりあえず、今回はアタシたちに
任せて、ゆっくりしていろ。お前の体質は
相変わらず重要だが、今やそれだけが
お前の価値じゃない。お前が築いてきた
ものが、この戦いでわかるだろう。」
「待たせたネ。やっと戦闘が始まったヨ。」
二人の元に万姫がやってくる。
「足が遅かったおかげで、街に着くまでに
かなり数を減らせたネ。」
「ロンドンの戦いでは、街中で発生した
魔物も多くいた。気を抜かないように
するとしよう。ではアタシは持ち場に行く。
全力を尽くす。」
そう言い、虎千代は魔物の討伐に赴く。
「・・・損得はあるのだろうケド、律儀な
人だネ。そういえばさっきは清ロ魔法学園
老師、周万姫ヨ。」
「ああ・・・相田ロウだ。よろしく。」
ロウは軽く頭を下げる。
「アナタのことは明鈴と小蓮からよーく
聞いてるヨ。浅梨と梅とジェンニと
ジェイソンからもネ。大人気じゃないカ。」
ロウの顔や体をジロジロと見る。
「どこかで会う機会があると思ってたケド、
いざ会ってみると・・・ふーん・・・・・
なかなかいい顔、してるじゃないカ。」
「ああ!? 万姫がロウを毒牙にかけようと
してるネ!」
「どくが?」
二人のもとに小蓮と明鈴がやってくる。
明鈴は小蓮の言葉に軽く首を傾げた。
「おっと。何しに来たカ、小蓮。もう戦いは
始まってるヨ。」
「それはこっちのせりふヨ! さっさと
行くヨロシ!」
「ああ、そうするネ。行くヨ、ロウ。」
「なーにを言い出すカ! アナタ、クニの
弟子がたくさんいるデショ!」
「実はさっき、天鎚砲を撃って魔力があまり
残ってないネ。この少年、世にも珍しい
体質と聞いてるヨ。道すがら魔力を
補充してもらえば、また元気に戦えるネ。」
「こーこーでー補充しておけばいいデショ!」
会ってそうそう、小蓮と万姫は
口げんかを始めてしまう。
「小蓮ー。魔物が街を壊す前に、早く行くのだー。」
「むぐぐぐぐ・・・。」
「明鈴は今の状況がよくわかってるネ。」
悔しがる小蓮を見て、万姫は勝ち誇り、
余裕の笑みを浮かべる。
「フン! ロウはちょっと前に体調悪く
してるネ。無理させないでヨ。」
「無理させるような戦いじゃないヨ。さ、
行くヨ。ロウ。」
万姫は持ち場に向かおうとする。
そのすぐそばを小蓮が追いかける。
「ちょっと小蓮、まだ何か用があるのカ!」
「何言ってるネ。こっちがワタシの受け持ちヨ。」
「はぁ!? 豫園はワタシの担当ヨ!」
「そんなの知らないネ!」
「ったく・・・。」
「はー・・・あ、ロウ。」
ロウが呆れているところに
ため息をつきながら明鈴がやってくる。
「なんか同じところで戦うみたいなのだ。
よろしくアル。」
「ああ、よろしく。てか、魔力切れそうって
話だったが、大丈夫そうだな。
・・・そういえば、天鎚砲ってなんだ?」
「万姫の魔法アル。ホラ、北海道でおっきな
魔物を・・・」
「北海道? ・・・あの時のか。」
北海道のクエストのことを思い出す。
「空からどかーんってやるの。ここに来る前、
遠くの魔物に撃ってるアル。アレって
すごい消耗するのだ。今、万姫の体に
魔力はほとんど残ってないアル。」
「・・・だとしたら、元気すぎないか?」
二人が話す間にも、万姫と小蓮は
ぎゃーぎゃーと口げんかしていた。
「やせ我慢してるのだ。小蓮がいなかったら
座り込んで動けないと思うよ。万姫って
小蓮の前だと強がるアル。」
「しかしまあ、お前もいろいろと大変だな。」
「けど、あの二人が喋ってるの、
うるさいけど、安心できるのだ。ロウ、
ケンカばっかりだけど、万姫のこと、よろしくね。」