グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
「おーし、テメーらキリキリ働けー。」
メアリーのやる気のない指示が飛ぶ。
「・・・ふあぁ、眠くなってきた。魔物を
全部やっちまったら起こせよ。」
地面に胡坐をかき、壁に寄り掛かる。
「なんでメアリーがやる気ないのよ。」
その様子に、月詠はため息をつき、呆れる。
「住民避難も完了。軍備も配備。オマケに
魔物の大部分は始祖十家サマのおかげで
排除済みだ。アタイがサボったところで
ラクショーなのは変わんねーよ。」
「何言ってんのよ!」
「守谷、少し落ち着け。」
月詠はメアリーに突っかかるが
エレンが宥める。
「エレン! だってメアリーが・・・。」
「私から言っておく。来栖と他の部隊員を頼む。」
「・・・わ、わかったわよ。何よ、もう・・・。」
「・・・メアリー。守谷に任せるなら
素直にそう命令しろ。」
月詠が離れたところで、エレンは
ため息をつきながら言う。
「誰もそんなこと言ってねーだろ。」
「これまでスポットで試してきたがNASAでの
話を聞くと・・・確かに、そろそろ守谷に
全て仕切らせていいかもしれん。私も
同じことを考えていたところだ。」
「何勝手に話進めてんだよ。テメーの勝手に
すりゃいいじゃねーか。アタイをダシに使うな。」
「フフ・・・今から守谷を本作戦の
最高責任者にする。何かコメントは?」
「・・・こっちが100%勝てる状況だ。
ヘマしたら覚悟しとけって言っとけ。」
「いいだろう。」
豫園
「あー。やっと来たべか。小蓮、明鈴!」
「ああ、よかった。待ちすぎて街に
行ってしまうところでしたよ。」
「・・・・・もち?」
花梨、ましろ、レナの三人が
安心した顔をして、待っていた。
「魔物はどこネ! ワタシが来たからには
もう終わりヨ! 覚悟するネー!」
「・・・なんだべ、小蓮・・・。」
やけに気合を入れている小蓮を
不思議そうに見る。
「あれ? あんた、ロウ。なんでここさ
来てんだ?」
「今回は連れてこられたんだよ。」
「万姫が連れてきたアル。」
「ごきげんよう、グリモアの皆さん。」
先ほどの様子からうって変わり、
丁寧にあいさつをする。
「いつも小蓮と明鈴が世話になってるネ。」
「あれまあ。あんたが万姫かぁ。よく二人から
話聞いてるよぉ。会えてうれしいべ。
おら、里中花梨だぁ。よろしくね。」
「む・・・里中・・・花梨・・・。
アナタが里中花梨か?」
花梨の顔をじっと見る。
「・・・ふむふむ。ではそっちがマシロで、レナ・・・。」
ましろ、レナの顔も見る。
「なるほど。こっちこそ話はよく聞いてるヨ。
小蓮の師だと。アナタの料理、一度
食べてみたいネ。」
「そったら褒められては恥ずかしいべ。
言うほど大層なもんじゃねえすけ。
まあ、戦ってたら腹も減るすけな。
おにぎりたくさん作ってあるすけ。
いつでも言ってけろ。」
「はいはい! ボクおなかすいた!」
「レナも! レナも!」
「あらあら、ではわたくしも。」
「ったく、こいつら・・・。」
料理部の三人、特におにぎりにすぐ
反応した明鈴にロウは呆れる。
「こらこら、まずは小蓮ば助けに行くべ。
飯は一回戦った後だべ。」
「「「は~い。」」」
「・・・アレが、日本の友人・・・。」
料理部が話しているところを
うんうんと頷きながら見る。
「ふーん・・・・・。・・・ロウ。」
「ん?」
「忘れてたケド、ワタシに魔力、ちょうだいナ。」
「はいよ。」
万姫の魔力を回復させる。
「料理部が何体討伐するか知らないガ・・・
数で負けるわけにはいかないネ。」
「ゴーレムちゃん、いってらっしゃ~い。」
あやせが作ったゴーレムが魔物の
群れに向かっていく。
「しかし・・・ホントに少ないのう。我ら
出なくともよかったんじゃないか。」
「あら~、ダメよ~。これからお世話になる
上海ですもの~。後で心行くまで楽しむ
ためにも、しっかり守らなくちゃ~。」
「小蓮さんと明鈴さんはロンドンを守るために
戦ってくれました。いえ、それだけでなく
騎士として、魔法使いとして。全力を尽くします!」
二人の言葉を聞き、ふぅっと息を吐く。
「真面目よのう・・・おや、シャルロット。」
「お待たせいたしました。遅くなって
申し訳ありません。」
慌てた様子でシャルロットがやってくる。
「お主、もう戻ってきとったんか。友人に
会いに魔法学園に行ったんじゃろ?」
「ええ。リアナには会えましたから。
皆さんとともに戦いますよ。」
「お主も真面目か。そんな戦力も必要で
ないし、茶でもしばいててえんじゃぞ?」
「いいえ。リアナも前線に赴きました。我ら
ヴィアンネの使徒は魔物を根絶すること
こそが使命ですから。それにまだ滞在は
始まったばかり。後日、会うことはできます。」
「・・・・まあ、お主がそれでよいなら
妾が言うことは何もないんじゃが・・・。
誰か一人、妾とだらけるヤツはおらんか?」
アイラは指をピンと立てる。
「どういうことでしょうか?」
「うむ。妾の第六感が長期戦じゃとビンビン
告げておる。このまますんなりと終わる
戦いではなさそうじゃ。」
「そう・・・ですか?」
シャルロットはアイラの言葉に
首をかしげる。現状、ここから苦しくなると
考えづらかった。
「妾とて、根拠などないわ。じゃが楽勝だからと
大雑把に戦っておると、思わぬところで
足をすくわれるぞ。なにせ人類はこれまで
魔物に負け続けてきたんじゃからな。」
「・・・じゃあ、私は魔法をあまり使わず
剣術で戦います。」
アイラの言葉を聞き、エミリアは
剣を抜く。
「魔物を倒すのに必要な、最低限の魔力に
抑えればいいのね~?」
「ホホホ、お主ら素直じゃの。気分がいいぞ。
・・・しばらく本の虫で体がなまって
おったところじゃ。妾も準備運動程度には
戦うとするか。」
魔物を前にアイラはにやりと笑った。