グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第306話 謎の声

豫園

 

「・・・な、なにネ! 急に地面から

 魔物が・・・。」

 

ロウたちにも、新たな魔物が出現していた。

 

「ロウ! アナタ、襲われてないネ!?」

 

「問題ねえよ。」

 

ロウはすでにROOMを使っており、

瓦礫で魔物を足止めしていた。

 

「小蓮! さっさとロウを連れて撤退するヨロシ!

 一度退いて、立て直す必要が・・・」

 

「その必要ないヨ。もう花梨が障壁で

 安全な場所作ったネ。明鈴とマシロが

 この辺りの魔物を倒してるネ。」

 

「なっ・・・グリモアではそれが普通なのカ?」

 

「アナタだってそうデショ?」

 

「ワタシは続けて戦えるガ、軍も清ロの

 学園生も想定外の事態で慌ててるヨ。

 ・・・・・・。」

 

ロウを含めた料理部の面々を見る。

 

「・・・経験の差カ。多くの戦いを乗り越えて

 きただけはあるネ。ロウ。アナタ、トラチヨと

 通信できるもの持ってるか?」

 

「なら、デバイスだな。ほらよ。」

 

ポケットのデバイスを万姫に投げ渡す。

 

「謝謝・・・トラチヨ。万姫ネ。

 我々は急に包囲された場合の戦闘経験が

 少ないヨ。少し足を引っ張るかもしれないガ、

 よしなに頼むネ。」

 

『よしなにとは、なかなか珍しい日本語を使うな。』

 

「梅から教わったヨ。」

 

『了解した。終わるころには腹が減ってるな。

 うまい店を教えてくれ。』

 

「アイヤー。全部回ったら腹が破裂するヨ。」

 

虎千代との通話を切ると、ロウにデバイスを返す。

 

「小蓮、ワタシはクニの連中に命令してくるヨ。

 ロウは返すネ。」

 

「最初からそのつもりヨ。さっさと行ってくるヨロシ。」

 

「口の減らない小娘だナ。」

 

 

 

 

 

上海市内

 

「・・・・・。おーい、ものどもー。」

 

魔物の出現がさらに増すなか、

アイラは気の抜けた声で歓談部の

メンバーを呼ぶ。

 

「はいはい、どうしたの~?」

 

「どうしましたか?」

 

「なんでしょうか! 早く倒さないと被害が・・・。」

 

「沖縄ん時と似ておらんか。」

 

「沖縄の時・・・?」

 

「というと、魔物が・・・。」

 

「わたくしたちがここにいるというのに

 無視をして歩いてゆく・・・。」

 

魔物たちの向かう方向を見て

シャルロットははっとする。

 

「・・・もしかして、ロウ様を狙って?」

 

「今しがた空を飛んでみたが、街中の魔物が

 一点に向かって進んでおるようじゃ。

 ヤツらの行く先に少年がおってもおかしく

 ないのう。」

 

アイラは魔物の動きをじっと見る。

 

「しかも何やら統制された動きに見える。

 狭い街中を行儀よく進んでおる。

 ・・・まさか、間ヶ岾が混じったからとは

 いうまいな?」

 

以前、霧となって消滅した間ヶ岾の

ことを思い出す。

 

「ヤツら一体一体に、霧に帰った間ヶ岾が

 まぎれておったら・・・うげぇ・・・キモイ・・・。」

 

「東雲さん! そうとわかれば、すぐに

 行かなければ!」

 

「そうじゃの。もう少し近い所で戦うとしようかの。」

 

 

 

 

 

 

アイラの推察通り、多くの魔物が

ロウたちのもとに集まっていた。

 

「わー! なんでこんなに魔物が押し寄せて

 くるのだー!」

 

「まもの、たくさん! レナ、たくさんたおす!」

 

そう言ったレナのおなかがぐぅ・・・と鳴る。

 

「うぅ・・・はらへり・・・。」

 

「花梨さん、ロウさん。これ・・・お気づきですか?」

 

「ああ、どうもあっちこっちから来てやがる。

 まさか・・・・・狙いは俺か?」

 

ロウの刀を持つ手の力が強くなる。

 

「・・・ロウ。そった顔しねえでけろ。」

 

「そうですよ。安心して、わたくしたちに

 お任せくださいね。学園を卒業した今・・・

 わたくしは正真正銘の軍人。

 プロフェッショナルとしての働きを

 お見せしますよ。」

 

ピピピピピ!

 

ましろのデバイスに着信が入る。

 

「おや、楯野さんからですね。」

 

『無事かー?』

 

「はい。簡単にはやられませんよ。」

 

『そっか。そろそろわかってると思うけど

 街の魔物がそっちに集まってる!』

 

「やっぱりそうか・・・。」

 

『でも合流はさせない。学園生をお前たちから

 ある程度近い位置に陣取らせて、そっちに

 向かう魔物を減らすようにするからな!

 あと生天目が命令無視してそっちに

 向かってる! 注意しろ!』

 

そう言い残し、望の通話が切れる。

 

「・・・注意しろと。」

 

「それって、魔物の方か? つかさの方か?」

 

「ふふふ・・・生天目さんが来るとなれば

 とても頼もしいですね。では・・・わたくしも。」

 

ましろは氷の魔法を使い、魔物の

大群を分断する。

 

「ふわ! 氷の壁ヨ!」

 

「マシロなのだ!」

 

「助かったネ! これでしばらく、あっちは

 相手しなくていいネ! 目の前の魔物に

 集中できるヨ! ・・・ん?」

 

壁からガン、ガンと何かがぶつかる

音が響く。

 

「なんか壁の裏で音がするヨ。」

 

「なんだろ?」

 

「わぁ! 明鈴、魔物が押し寄せてくるネ!」

 

 

 

 

 

 

 

「くたばれ!」

 

つかさの拳は魔物をとらえ

一瞬で吹き飛ばした。

 

「まだつかんか! 私が行くまで魔物を

 残しておけよ・・・! ・・・・・ん?

 あれは・・・。」

 

今までより数倍の大きさの

魔物が立ち塞がる。

 

「・・・ククク、来たぞ・・・!

 特上の魔物だ・・・!」

 

 

 

 

 

「くそ、まだ多くなるか・・・。

 ・・・・・ん?」

 

頭に痛みが走る。

 

「なんだ・・・?」

 

『・・・・・・・・・・

 ・・・? ・・・・・ぇ・・・』

 

「・・・?」

 

『き・・・・・ぇ・・・』

 

「う・・・。」

 

頭を押さえ、膝をついて

座り込む。

 

「ロウ! 大丈夫だべか!?」

 

そんなロウの様子を見て、

花梨は急いで駆け寄った。

 

「どうしたべ!? まだ体調戻ってねえのか?」

 

「・・・いや、問題ねえ。今は、大丈夫だ。」

 

痛みが消え、ゆっくり立ち上がる。

 

(今の声、何だったんだ・・・?)

 

耳を澄ますが、さっきの声は全く

聞こえなくなった。

 

「・・・そうか、大丈夫か・・・。

 本当だべな。嘘だけはつかねえでけろ。

 おら、もうあったら心配したくねえすけ。」

 

「問題ねえよ。『ROOM』!」

 

青色のドームが張られる。

 

「『タクト』!」

 

2体の魔物を浮かせ、衝突させる。

 

「これでも心配か?」

 

「・・・うん。わかったべ。だば、ちょっと

 押されてるすけ、真ん中の方さ下がってろじゃ。

 こっからはおらの番だすけ。」

 

花梨の言う通りに、ロウは

後ろに下がる。

 

「壁、出てこい!」

 

地面がめくりあがり、土の壁が

形成される。

 

「あれ!? てんこー、なに!?」

 

「花梨さんの作った壁の中にいますよ。

 大丈夫です。今のうちに周りの魔物を

 倒してしまいましょう。」

 

「レナ、わかる! まもの、たおす!」

 

その時だった。

 

「!?」

 

「フギャ!?」

 

バキバキと大きな音が響いた。

 

「この音は・・・氷の壁の向こうから・・・。」

 

ピピピピピ!

 

再び、望から通信が入る。

 

『もしもし、雪白か!?』

 

「あ、楯野さん・・・。」

 

『すぐ近くにタイコンデロガが出たぞ!』

 

「た、タイコンデロガ!? まさか・・・。」

 

『見えてないのかよ! ホントにすぐ

 そこなんだぞ!』

 

氷の壁に大きなヒビが入る。

 

「いけない、壁がもたない!」

 

一気に、氷の壁が崩れ去った。

 

「・・・はあ!?」

 

「な、なにネ!」

 

「うわあ!」

 

「おいおい、これは・・・。」

 

壁が崩れた先には

巨大な魔物がゆっくりと近づいてくる

姿があった。

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