グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第307話 三人の絆

「大きい・・・これは・・・。」

 

「はろいん! はろいん!」

 

 

 

 

 

この巨大な魔物は

別地点にいた梅たちにも見えていた。

 

「・・・あれは・・・タイコンデロガ・・・!

 どこから・・・。」

 

「お姉ちゃん! ハロウィンの時と同じ!

 あの時も、急にタイコンデロガが出てきたの!」

 

「魔物が集まって、巨大な魔物になった

 っていう? ったく・・・ただじゃ

 終わらないってわけね!」

 

周りに、新たな魔物が出現する。

 

「・・・あっちこっちで出てきたわね。

 相手も全力ってことか。万姫・・・

 そっちは任せたわよ。」

 

「お姉ちゃん、どうしよう・・・!」

 

「ついてきなさい! 建物壊される前に

 タイコンデロガ潰してまわるわよ!」

 

「う、うん!」

 

 

 

 

 

「あ、あんなの、どっから出てきたのヨ・・・。」

 

魔物の攻撃がロウと花梨に向かう。

 

「ロウ、危ない!」

 

「『シャンブルズ』!」

 

瓦礫と入れ替わり、攻撃をかわした。

 

「あいつ・・・俺の狙ったか?」

 

「ましろ! 動きを止められねえか!?」

 

「あの巨体にはどうにも力不足・・・

 ですが、やるしかありませんね。

 雪女の氷が通じるかどうか・・・。」

 

「何やってるカ!」

 

魔物の動きが駆けつけた

万姫によって止められる。

 

「タイコンデロガが出たのならなりふり

 かまわず離れる! それができなければ

 死ぬ! グリモアはそんなことも教えてないのカ!?」

 

「ば、万姫さん・・・。」

 

「小蓮、これは貸しだからナ!」

 

「万姫! 間に合ったアル!」

 

「うぐ・・・言いたい放題言ってくれるネ・・・。」

 

「小蓮、何悔しがってるアル! ボクたちも

 攻撃するのだ!」

 

「わ、わかってるネ!」

 

小蓮は視線を万姫から巨大な

魔物に移す。

 

「万姫! その借り、すぐに返してやるネ!」

 

 

 

 

 

 

「どけ! 私の邪魔をするな! 貴様ら

 全員、中心部でまとめて相手をしてやる!」

 

つかさは立ち塞がる魔物を次々と

なぎ倒していく。

 

「・・・タイコンデロガの出現に駆けつけてみれば・・・。」

 

「あれはまさしく鬼神・・・複数体と一人で

 渡り合うとは・・・!」

 

つかさがなぎ倒していく様子に

姫は驚愕し、刀子は体をワナワナと震わせていた。

 

「ぬおおおお! 拙者、武人として負けて

 いられませぬ!」

 

「はい?」

 

「タイコンデロガの1体や2体、この刀子と

 『咢』が切り捨ててくれましょう!」

 

「おお! 咢とはあの噂に聞いた大薙刀の!?」

 

「自由、少しお黙りなさい。」

 

「うす。」

 

刀子の勢いに乗っかった自由だったが

姫に静かに怒られる。

 

「刀子。タイコンデロガにあなた一人で

 立ち向かうのは愚の骨頂。私達は、個人では

 生天目さんの力に及ぶべくもありません。」

 

「し、しかし・・・!」

 

「ですが! 私たちは三位一体! 一人で

 立ち向かえないなら、三人で! いえ、

 国軍をはじめとした多くの人々と共に

 立ち向かえばよいのです!」

 

「・・・ひ・・・姫殿・・・!」

 

 

 

 

 

 

 

「むむ・・・まるで津波のようネ。ここまで

 魔物が多いとは・・・。」

 

押し寄せる魔物に万姫は冷や汗をかく。

 

「第8次侵攻というわけではないよネ。」

 

「そうだったら、この程度じゃ済んでねえよ。」

 

「む、ロウ。アナタ、いたのカ。」

 

「岩の壁は長続きしねえすけ。もう一度

 魔法をかけなおさねばなんねえ。」

 

「そういうことなんでな。それと・・・。」

 

ロウは万姫の魔力を回復させる。

 

「魔力・・・なるほど。他人の魔力量を

 見極めるのは得意なのネ。」

 

「散々訓練したもんでな。」

 

「正直助かったヨ。これは1つ借りて

 おくネ。」

 

「いいや、それは違う。今のは小蓮の分だ。」

 

「小蓮の・・・? ・・・ククク・・・

 面白い男ネ。なるほど、小蓮への貸しを

 これで返したのネ!」

 

魔物が多くいる状況で

万姫は大笑いし、ロウに顔をぐいっと

近づける。

 

「しかしこれでアナタ、ワタシと縁が

 できたヨ? 今後とも仲良くしてくれると

 いうことで、いいネ? ん?」

 

「万姫ー! 何やってるカー! 魔物に

 押し込まれるヨ! そしたらアナタも

 おしまいヨ!」

 

「小蓮。またワタシのことナメてるネ。

 この程度の魔物がどれだけいても、私の

 敵ではないネ!」

 

言い切ると、覚悟を決めたように

ふぅと息を吐く。

 

「・・・とはいえ、こっちは客人を

 迎えなければならない立場ネ。」

 

「ん? それがどうした?」

 

「清ロ魔法学園の老師として、アナタたち

 グリモア生徒を歓待する義務があるネ。

 少しでも体力を残しておきたいヨ。小蓮、

 アナタ、手伝ってくれるカ?」

 

「な・・・なにネ。急に。」

 

改まった態度をとる万姫に

小蓮は驚きを隠せない。

 

「ロウは面白い男だナ。ヤツとの話、

 もっと聞きたくなったヨ。」

 

「男って・・・もしかしてロウのことか?」

 

「他に誰がいるネ。というわけで、さっさと

 魔物を殲滅するが吉ヨ。ワタシ一人で

 やるよりアナタと二人・・・明鈴と

 三人でやった方が早く終わるネ。そしたら

 会食でも設けていろいろ話してもらうヨ。」

 

にやりと笑う。

 

「・・・ロウも見境ないネ。終わったら

 説教してやるヨ。」

 

「なあにぷりぷり怒ってるネ。ワタシが

 ロウに興味を持つのが嫌なのカ?」

 

「あ! 万姫! アナタの言うこと聞いたネ!

 借り1つ返したからナ!」

 

「その抜け目のなさこそ、我が同胞ネ。

 商売人に向いてるヨ、小蓮。」

 

「褒めたって料理くらいしか出てこないネ。

 明鈴ー! 今行くネー!」

 

魔物と戦っている明鈴のもとへ向かった。

 

「北海道の借りとここでの救援の借り・・・

 1つは今、そしてもう1つはロウが・・・。

 いや・・・小蓮、明鈴。ホントはアナタたちの

 荷物にヒスイの腕輪が見えたとき・・・

 貸し借りなんてどうでもよくなったのヨ。」

 

明鈴、小蓮の顔を見て万姫は

穏やかな笑みを浮かべる。

 

「持っててくれたのネ。謝謝。小蓮!

 もう一度やり直しヨ! どちらが多く

 魔物を倒せるか勝負ネ!」

 

「望むところヨ! こちらは明鈴とワタシ

 二人で一つネ! 負けないヨ!」

 

「小蓮、ボクおなか減ったのだー!

 点心食べたいー!」

 

「ったく・・・終わったころには

 立ってねえだろうな・・・。」

 

「ロウ。さっき東雲から連絡があったべ。

 別んとこのタイコンデロガはそれぞれ

 生徒が仕留めるって話だ。で、こっちさ

 つかさが向かってる。もう三体倒してるべ。」

 

「夜明けまでもう少し。魔物の数も、今が

 最大。これを乗り切れば終わりだろうと

 いうのが中国軍の見解です。」

 

「なら・・・それまで踏ん張るとするか。

 行くぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後

 

「・・・ひー、ひー・・・もうダメ・・・。」

 

「あああ、小蓮・・・ボクにご飯作って

 くれてない・・・のだ・・・・・。」

 

戦闘を終えた小蓮、明鈴は

疲労からバタリと倒れた。

 

「はあ・・・はあ・・・寝てるだけか・・・。」

 

「まったく・・・留学する前とは大違いネ。

 いつの間にこんなに強くなったネ。

 いつの間にこんなにしっかりしたネ。」

 

万姫は寝ている二人の顔をなでる。

 

「グリモアはそんなにいい学校なのカ?

 ・・・妬けるネ。我が祖国よりも

 いい場所があるなんて。」

 

「そういえば、二人をこっちに

 戻そうとしてたんだってな。」

 

「・・・そうだナ。二人とも戻ってきて

 ほしかったガ・・・何しろ、ワタシは

 こいつらぐらいしか喧嘩相手がいない

 からナ。」

 

「貸しはすでに返してるからな。」

 

「そうネ・・・無理強いはできない。そこで

 ロウ、アナタに1つ借りておきたいんだガ・・・」

 

「ん?」

 

「ワタシもこれ以上動けないヨ。本部まで

 連れてってくれない・・・・カ・・・」

 

万姫もその場に倒れこむ。

 

「・・・かっ・・・かっ!」

 

レナが万姫の顔を見ながら

一緒に倒れこむ。

 

「クク・・・・何やってるネ。失礼なヤツだナ。」

 

「ひひひ、シツレイ! レナ、シツレイ!

 ろー! レナ、シツレイ?」

 

「なんで嬉しそうに・・・ふふ。ははは・・・!」

 

「・・・ひひ!」

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