グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第309話 久しぶりの地

「・・・ちっ、こっちには来ていないか。」

 

つかさは周りを見ながら、舌打ちする。

その様子をロウと沙那は離れた場所から見ていた。

 

「・・・ったく、本当に喧嘩ふっかける気か?」

 

「喧嘩で済めばいいのですが・・・。」

 

「うぃーす! 先輩! 沙那さん!」

 

貸衣装に着替えた自由が二人に声をかける。

 

「まあ、自由さん。よくお似合いですよ。」

 

「へっへへー。あざっす! 沙那さんに

 褒められるとアガりますね~♪ 沙那さんは

 着ないんですか? コスプレ姿、見たいっす。」

 

「あとで着ますよ。初音様が見たいとおっしゃっていたので。」

 

「マジっすか! やったぁ、お嬢さんグッジョブ!」

 

「ふふふ。私でよければ、仮想などいくらでも。」

 

「んもー、出ない・・・浅梨、またデバイス壊してんのかしら。」

 

月詠は何度も浅梨に連絡を入れるが、一切の返信がない。

 

「いったん焔に連絡してみよっと。通話、通話・・・。

 ・・・・・あ、もしもし焔。」

 

焔は電話に出てしまった。

 

「あのさ、今ツク貸衣装屋のとこにいるんだけど。

 ・・・そうそう。香ノ葉がいるとこ・・・・・あれ?」

 

「察しがついてすぐ切ったな。」

 

「何言ってんの! せっかく面白そうなこと

 やってるんだから、力づくでも連れてこなきゃ。

 ロウも二人を探しといてよ!」

 

「めんどくせえな・・・。」

 

「・・・!」

 

つかさは何かを見つけ、進路を変える。

 

「あそこにいたか。周万姫。」

 

「・・・・。」

 

「・・・!?」

 

つかさは何かの気配を感じ、視線を変えた。

 

「・・・なんだ? 枝・・・? ・・・く、見失った。」

 

「・・・お前何したんだ?」

 

「ちょっとした仕掛けでございます。通行人を

 無差別に傷つけたりしませんので、ご心配なく。」

 

「・・・おい、貴様。」

 

つかさはロウと沙那に近づく。

 

「今、何かしたか?」

 

「さて、なんのことでしょうか?」

 

「木の枝が落ちてきた。」

 

「木の近く通れば、そんなことあるだろ。」

 

「・・・ちっ。」

 

つかさはまた万姫を探しに行く。

 

「・・・話を合わせてくださり、ありがとうございます。」

 

「ああも勘が鋭いと面倒だな。だが、このままやるしかないな。」

 

二人はその後も、つかさの意識が万姫に

向かわないようになんとか妨害していった。

 

「・・・あれは・・・くくく・・・。」

 

つかさは万姫の姿を見て、近づこうとする。

 

「生天目さん、信号が変わりますよ。」

 

沙那の言葉通り、ちょうどいいタイミングで

つかさの前の信号が変わる。

 

「・・・信号が変わるのが・・・早いな・・・。

 貴様が何かしたのか?」

 

「滅相もない。考えすぎでございます。」

 

「神宮寺初音が周万姫と一緒にいたな。貴様が

 邪魔するのはそれが原因か?」

 

「邪魔、とは、なんのことでしょうか?」

 

沙那はとぼけて見せようとするが・・・。

 

「先ほどから偶然、私の進路をふさぐようなことが

 起きる。上海の住民に手を出せば国際問題だが

 どうでもよくなってきたな。」

 

近くにあった車を見る。

 

「あれを破壊して交差点を渡れば、周万姫は向こうから

 来るのではないか?」

 

「・・・かもしれませんね。実行なさるおつもりですか?」

 

「月宮沙那。では私から提案しよう。目障りだ。主人を

 連れてどこかに消えろ。もしくは・・・私と戦え。

 今決めなければ、私は言ったことを実行するぞ。」

 

「・・・・・。」

 

「はいはい、そこまで。」

 

ロウと風子は二人の間に入る。

 

「・・・貴様・・・ロウもか。」

 

「なんだかぶっそーなことを話してるみたいなので

 邪魔しに来ました。」

 

「水無月さん、今は・・・。」

 

「相手は貴様らでもいいのだぞ。」

 

つかさは殺気立った目でロウと風子を睨む。

 

「冗談じゃねえ。お前の相手なんかゴメンだ。」

 

「どーにか丸く収めてくれませんかね。」

 

「・・・初音様は万姫さんと商談の最中です。

 それが終わった後でなら、邪魔はいたしません。」

 

「なるほど・・・落としどころか。」

 

「ったく・・・。」

 

ロウは呆れるようにため息をついた。

こうして、グリモアの上海旅は終わりを告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後

 

学園長室

 

ジェンニ、浅梨が寧々と話していた。

 

「・・・そんなことがあったんですか。」

 

「中国から帰ってきたら、理事長が教えてくれたの。

 ジェンニちゃんのかぞくの人がたくさん来たんだって。」

 

「ごめんなさい。ごめいわくおかけしました。」

 

ジェンニはペコリと頭を下げた。

 

「ネネ、上海にいたからしらなーい。あ、それでね

 ジェンニちゃんの入学のことなんだけどね。」

 

「うん。」

 

「もうジェンニちゃんは知ってるんだよね?」

 

「うん。しってます。」

 

何度も頷いた。

 

「そっか・・・じゃあ、発表します。ジェンニちゃんは

 やっぱりグリモアに入学しちゃだめだって。」

 

残念な顔で寧々はジェンニに伝える。

 

「・・・それじゃあ、ヘクセライシューレに?」

 

「うん。どーしてもダメだって。」

 

「そんな・・・。」

 

「でも! 留学でこっちに来れるんだって!」

 

一気に顔が明るくなる。

 

「あ、そっか、留学・・・!」

 

「うん。ぼく、りゅうがくする。ヘクセライシューレから

 グリモアにりゅうがくします。」

 

「そ、そうなんだ! それじゃあこれからも学園にいられるの?」

 

「それがねー、いっかい、お帰りしなきゃいけないの。」

 

「え?」

 

「えっと、入学してちょっとおべんきょうしなきゃ

 ダメなんだって。だからヘクセライシューレに

 いかなきゃいけないの。」

 

「ああ、そうなんですね・・・。じゃあ、ちょっと

 お別れかな。」

 

「またくる。」

 

暗い顔の浅梨に対し、ジェンニの顔は明るい。

 

「うん、そうだね。じゃあいったんお別れ会しないと。」

 

「・・・・・せんぱいも。」

 

「え? あ、うん。そうだね。先輩も呼んで

 みんなで・・・。」

 

そして、そのロウは・・・。

 

 

 

 

 

 

 

北海道

 

「・・・・・。」

 

ロウは線香を灯し、静かに黙祷をささげていた。

 

「・・・・・。」

 

「ロウさん・・・。」

 

ロウはましろとともに、クエストのため

北海道に来ていた。

 

「・・・ああ、もう大丈夫だ。あいつは両親と

 同じ墓にはいるが、ここには来られなかったからな。」

 

「・・・そうですね。」

 

「よし、行くぞ、ましろ。」

 

「はい。」

 

「・・・ユウ。行ってくる。」

 

ロウは空に向かって小さくつぶやいた。

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