グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第310話 宇宙へ

クエストを終えたロウはましろの案内で

札幌を探索することになった。

 

「未だ復興途中ということで、華やかな

 街並みではありませんが・・・多くの人が

 10年前と同じ・・・いえ、前よりも

 素晴らしい街にしようと頑張っているのです。」

 

「ああ・・・少なくとも、あの時よりは

 確実に進んでるんだな。・・・時間が。」

 

「・・・ええ。わたくしも何度か協力に

 来ているので、いくつかご紹介します。

 ロウさんに、わたくしたちが解放した

 この街を、見てほしいんです。」

 

そう言ったましろはにこやかに笑った。

 

「で、どこ行くんだ?」

 

「そうですね。まずは海鮮市場、次に工事

 現場・・・お昼ご飯を食べて、復元された

 時計台を見に行くなど、どうでしょうか。」

 

「・・・随分たくさんだな。」

 

「いろいろ行ける機会、そうありませんから。

 さあ、行きましょう。わたくしの故郷、札幌の街です。」

 

ロウとましろは一日中、札幌の街をまわった。

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

学園

 

「はあ・・・戻ってきてしまいましたね・・・。」

 

北海道での余韻が忘れられず、ましろは残念そうに

肩を落とした。

 

「時間があれば、もっといろんなところを案内

 したかったのですが・・・。」

 

「あんだけ回ってまだあんのかよ・・・。ま、

 それは次の楽しみにしとけばいい。」

 

「・・・確かにそうですね。おや・・・?」

 

ましろは何かに気づき、校舎を見上げた。

 

「どうした?」

 

「3階から誰か呼んでいますよ。・・・如月さんですね。」

 

「何の用だ? 一体・・・。」

 

ロウは3階の天に対して、軽く手を振った。

 

「では・・・如月さんが来るまで、少しお喋り

 しましょうか。」

 

「碌な用じゃないと思うが・・・まあいいか。」

 

二人は近くのベンチに腰掛ける。しばらく話していると・・・

 

「ロウ! クエスト終わったとこ悪いけど、

 アンタも訓練、受けてもらうわよ!」

 

「なんだよ、藪から棒に。つか訓練って・・・何やるんだ?」

 

「宇宙で・・・魔物大事よ!」

 

「・・・・は?」

 

 

 

 

 

 

 

数日後

 

NASA

 

「・・・まさか本当にNASAから行くことが

 できるなんて思わなかったわ。」

 

「日本ではタナボタというのダロ? 明鈴が

 好きそうな言葉ネ。」

 

驚く結希の隣にいた万姫はにやりと笑う。

 

「それより、ここに来たらあなたがいて・・・

 私たちに同行するつもり?」

 

「ワタシもエルベシアも見物ネ。邪魔は

 しないヨ。この作戦に清ロ魔法学園が

 関わっているという既成事実を作るためネ。」

 

「そう・・・といって、データはとるのでしょう?」

 

「そりゃあ、こちらはアナタたちをサポートするのヨ。

 当然のことネ。」

 

「・・・ふぅ・・・わかったわ。」

 

諦めたようにため息をついた。

 

「出発前に不毛な議論はしたくない。細かいことは

 抜きにして、よろしくね。」

 

「その切り替えの潔さ、嫌いじゃないネ。こちらには

 経験があるヨ。指示だしは任せとくネ。

 ・・・それより、服装はそれでいいのカ?」

 

万姫はいつもの戦闘服と変わらない結希の格好を見る。

 

「ええ。ロケットの中では宇宙服を使うけれど

 魔物と戦うなら、戦闘服の方がいいから。」

 

「しかし魔法で宇宙服の代わりを作る、といっても・・・。」

 

「技術者の前で披露してみせたわ。命令式を最適化する

 時間がなかったから、魔力消費は激しいけれどね。」

 

「そのためのロウ。便利だネ。まあ、問題があると

 すれば、アナタが死んだ場合・・・グリモアの

 チームが全滅するということくらいカ。」

 

「ええ。私以外にこの魔法が使えないから。

 ・・・・・死なないわよ?」

 

「真面目に返されても困るネ。」

 

「なに出発前に死ぬ話してんのよ。」

 

天が呆れながらやってくる。

 

「そういう話してたら、現実には起きないというジンクスだヨ。」

 

「ジンクスなんて非科学的なこと、信じるだけ無駄よ。

 このクエストの成功、失敗を決めるのは運なんかじゃ

 ないわ。私達とNASAの実力よ。」

 

「・・・なかなか厳しい人だネ。」

 

「論理的なだけよ。結希、出発の準備始めるから、急いで。」

 

「わかった・・・天。念のため確認するけれど、

 あなたのエナジーシェルは・・・」

 

「大丈夫よ。EMPなんかの対策のために

 作ってたものが間に合ったわ。宇宙に行ってる

 間はしのげるわよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ホントに今から、宇宙に行くんだよな?」

 

近くのロケットを見上げ、望は不安そうな顔を見せる。

 

「まあ、信じられないのも無理はないけどな。」

 

「このロケットで、大気圏を超えてくんだよな?」

 

「アポロンは大気圏内にあるわ。」

 

望の疑問に、近くにいた卯衣は答える。

 

「え? じゃあ宇宙じゃないの?」

 

「正式な規定では大気圏内でも100キロメートル

 より上空は宇宙。だから宇宙で合ってるわ。」

 

「そ、そうなのか・・・大気圏の外が宇宙だと

 思ってた・・・。」

 

「ロウさん。楯野さん。行きましょう。」

 

心が二人を呼びに来る。

 

「ああ・・・そういや、このメンバーって

 ウィッチと戦った時と似てるな。なんか

 SF担当みたいになってない?」

 

「今回はフィクションじゃないがな。」

 

「そりゃ現実だけどさー・・・ホントなんでも

 ありだな・・・。」

 

「私はアポロンのサーバーに残っているデータの

 取得を行います。テクノロジーに造詣の深い

 メンバーということでしょうか。」

 

「それでなんでボクなんだよ・・・まあ、今

 言ってもしょうがないんだけど。」

 

段々望の顔が暗くなっていく。

 

「宇宙に行くの楽しみにしてるって聞いたんだが・・・。」

 

「いざ出発ってなるとな・・・空気ないところだし・・・。」

 

「私が地上からサポートするわ。心配しないで。

 私もマスターが目指していたところに行きたかった。

 でもそれは叶わない。・・・あなたたちが羨ましい。」

 

「・・・わ、わかったよ。お前の代わりに

 ボクが見てくるよ。」

 

「ええ。ありがとう。」

 

卯衣の素直な言葉に、望はタジタジになる。

 

「・・・時間だ。そろそろ行くぞ。」

 

 

 

<ロウたち、移動中>

 

 

 

 

結希により、今回のクエストの説明がされる。

今回は、NASAの依頼によりアポロン内の

ゲートの確認、観測機器の設置。アンテナ修復、

乗組員の救助、そして・・・間ヶ岾の言葉の

裏を取り、魔物の正体をつかむこと。

 

「これからの戦いにおいて、大きな転換点と

 なる可能性が高い。なんとしても成功させるわよ。」

 

結希の強い言葉に、ロウたちは静かに頷いた。

そして、いよいよロケットに乗り込む。

内部でオペレーターの声が届く。

 

『14、13、12・・・』

 

『ハロー、ウィザーズ。』

 

今回の協力者、エルベシアの声が響く。

 

『あなたたちのミッションは失敗の許されない

 大切なもの。あなたたち自身にも、特別な

 目的がある。けれど、アタシからのアドバイスよ。

 二度とないかもしれないコズミックジャーニー

 ・・・ぜひ、楽しんできてね。』

 

『3、2、1・・・・IGNITION。』

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