グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

323 / 337
第313話 火ぶた

学園

 

研究室

 

「・・・なんだ・・・この画像は・・・。」

 

虎千代は画面に表示された画像を見て

驚きを隠せなかった。その画像は

心がコピーしたロウの目に映る地球と霧の魔物だった。

 

「これが地球を覆っているというのか?」

 

「ええ。といっても、驚くようなことじゃないわ。

 霧は濃度が低いと不可視だけれど、世界中に

 蔓延しているというのは常識。それを

 可視化すると、このような景色になるのでしょうね。」

 

「・・・なら、ロウの目にはずっと、風景が

 こんな風に見えていたのか?」

 

「いいえ。ロウ君に確認したけれど、それは

 なかったわ。宇宙に行けばわかるという

 心持ちで気づけたのだと思う。」

 

「・・・気づけた・・・。つまり、ずっと

 この景色を見ていながら、アタシたちは

 それに気づけていなかったというのか?」

 

画面の景色をじっと見る。

 

「そうよ。おそらく間ヶ岾の言う霧の切れ端は・・・

 ただムサシになる人間、というわけではなく

 本当に人間と魔物を繋ぐもの。だから魔物の声を

 聞くし、意思疎通ができる。」

 

「・・・ロウに、このことは?」

 

「今は間宮さんとクエストに行ってるから、

 戻ってきたら話すわ。」

 

「・・・しかし、魔物が宇宙人とはな・・・。

 あまりにも突拍子がない。国連やIMFに

 なんと言えばいい?」

 

「今回ばかりは見てもらえれば大丈夫。

 この画像を見れば、世界の正しいありようを認識できる。」

 

結希も魔物の画像を見る。

 

「その上で宇宙に行ってもらえれば、だれでも

 この景色を見ることができる。」

 

「・・・何? それはつまり・・・お前にも・・・。」

 

「ええ。少し時間はかかったけれど。今は私にも

 はっきり見えるわ。衛星からの映像でも、はっきり

 わかる。」

 

「・・・それは、本当か。この写真を見たアタシにも

 見えるようになるのか?」

 

「それを試したいわ。私は宇宙にいて、認識しやすかった

 可能性がある。地上で話を聞き、写真を見ただけの

 あなたが認識できるようになれば・・・他の人の

 説得が楽になるわ。」

 

「なるほど・・・しかし、第8次侵攻を前に

 とんでもないことを知ったな。」

 

 

 

 

 

 

 

「なあ・・・結局ボクって、なんのために

 宇宙に行ったの?」

 

望はふと感じた疑問を天に投げかける。

 

「私が知るわけないでしょ。人選したのは

 結希なんだから。でも・・・いつものアンタの

 役割を見ると・・・分析でも期待されてんじゃない?」

 

「何の分析だよ。」

 

「そんなの結希も予想できてなかったでしょう。

 宇宙に行ってわかる何かの分析よ。」

 

「・・・今回のことでいうと、あの地球に

 へばりついていた魔物のことか。」

 

腕を組み、唸りながら考え始める。

 

「・・・あんなのの何を分析しろってんだよー!」

 

「ああもううっさいわね! 邪魔するなら

 出てってよ!」

 

「ボクを連れてったお前たちには、ボクに

 協力する義務があるんだ!」

 

望は手足をバタバタとさせ、暴れ始める。

 

「ったく・・・んじゃ、なんか言ってみなさいよ。」

 

「え?」

 

「なんか気づいたこと、言ってみなさいよ。」

 

「え、きゅ、急にそんなこと言われても・・・。」

 

「あのねえ・・・」

 

「・・・あ、そういや・・・。」

 

天が呆れそうになっていたところに

望はあることに気づいた。

 

「ロウの記憶、双美が映像で引き出したじゃん?

 あの霧・・・雲みたいに流れてたけど・・・

 目みたいなのが二つあっただろ? あれは

 動いてなかったんだよな。」

 

「・・・つまり?」

 

「つまりさ。ゲームなら・・・ああいうところに

 本体があるんだよ。そこを倒せば、終わり。」

 

 

 

 

 

地下

 

魔法使いの村

 

アイラ、シャルロット、アイザック・ニュートンは

聖ヴィアンネの残した手記を確認していた。

 

『・・・ともすれば、私は悪魔に憑かれたのだと

 捉えられるやもしれぬ。私は生涯を通じて

 悪魔と戦ってきたが、同時に悪魔と話してもいた。』

 

『悪魔は助けを求めているように思えた。しかし

 同時に、悪魔は我々を殺そうとしていた。私は

 それを、ずっと奸計によるものだと思っていたが

 どうやら違うようだ。』

 

『悪魔は助けを求め、同時に我々を殺そうと

 している。・・・おそらく、悪魔はただ

 生き延びようとしているだけなのだ。』

 

「生き延びようとしているだけ・・・・。

 ・・・まさか・・・ま、まさか、そんな・・・。」

 

「ええい、素直に受け取るな! 聖ヴィアンネは

 宗教家じゃ! 事実がありのままに書かれて

 おるわけではないと心せよ。」

 

アイラはシャルロットから手記を受け取り、閉じる。

 

「・・・しかし・・・悪魔と話していた、という

 記述はどう解釈したものやら・・・。」

 

「悪魔とは、お前たちが霧の魔物と呼んでいる

 化け物のことでよいのか。」

 

「そうじゃ。お主にも探してもらったじゃろ。

 聖ヴィアンネは七枷協会で魔物に宗教の

 概念を教えた。魔物とコミュニケーションが

 取れていたなら・・・ヤツもまた切れ端じゃ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

深夜

 

クエストから帰ってきたロウは

疲労感があり、そのまま眠っていた。

 

「・・・・・・。」

 

『・・・・・〇〇×〇△□□・・・・

 ま・・・・・で・・・・こた・・・・

 ・・・では・・・・・。」

 

「・・・・・。」

 

『・・・話を聞いてくれたまえ。私は・・・

 やっと、君たちと・・・・・・。』

 

「・・・・・。」

 

『・・・・××××・・・□×〇〇・・・・

 ・・・・・・。』

 

 

 

 

 

 

 

数日後

 

裏世界

 

廃墟

 

『こちらの世界のJGJ軍に告げる。俺たちは

 もう一つの世界のJGJだ。』

 

さびれた廃墟に神宮寺樹の声が響き渡る。

 

『それだけ聞けば、なんのための軍事行動かは

 わかるだろう。準備が整い次第、攻撃を

 始める。およそ30分後だ。』

『一度始まったら、決着がつくまで終わらない。

 今のうちに降伏されたし。これは、宣戦布告だ。』

 

今ここに、表世界のJGJと裏世界のJGJによる

戦争の火ぶたが切られようとしていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。