グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第318話 過去の海

「ったくよ・・・何が起きてんだよ。わけわかんねぇよ・・・。」

 

ロウが砂の城を作っている頃、龍季は律と一緒にいた。

 

「さらんとこに行かなきゃならねーってのに、こっから帰ったら夜になるぞ。」

 

「ここ、十津川海岸だよな。グリモアからそーとー離れてるぞ。」

 

律が辺りを見るとよく知った顔を見つけた。

 

「・・・あ。あれ、ロウじゃね?」

 

「あ?」

 

二人が見つけたのは海に遊びに来た水着の子供二人と砂で城を作っているロウだった。

 

「アイツ、何遊んでんだ! こっちのことほっぽりやがって!」

 

「あれ・・・遊んでんのか?」

 

「あの野郎・・・!」

 

完全に遊んでいると思った龍季はロウに駆け寄った。

 

「ロウ! テメーなにがどーなってるか説明しろ!」

 

「ああ・・・お前らか。ちょうどいい。ちょっと手伝え。」

 

「手伝え、じゃねえよ!」

 

「ひっ。」

 

怯えた子供の龍季はロウの後ろに隠れる。

 

「てか、なんだよこのガ・・・・・キ・・・・」

 

その子供を見た龍季の言葉が止まる。

 

「うひゃあああぁ!?」

 

「なんだなんだ、変な声だったな・・・・・あれ!?」

 

「だれ? お兄ちゃんの知り合いか?」

 

「ん? ああ・・・そういや、お前ら初めてだったな。」

 

ロウは二人に今いるのは過去の風飛だと教えた。

 

「じゃ、じゃあこれ・・・子供の頃の俺かよ・・・。」

 

「そういうことだ。・・・てか、随分違うな。本当に龍季か?」

 

「・・・確かに、その・・・なんだ・・・くそ。俺だよ。」

 

「お姉ちゃん、怒ってる?」

 

子供の龍季は不安そうに顔を覗き込む。

 

「お、怒ってねえよ! なんで怒るんだよ!」

 

「怒っちゃやあ!」

 

「うぐ・・・そ、そうだ! 砂の城作ってたんだよな! その、お・・・おお俺も、手伝う・・・!

 

「ほんと!?」

 

子供の龍季の顔が一気に明るくなる。

 

「ああ、もももちろんだ。」

 

いたたまれない龍季はロウの肩をつかむ。

 

「ロウ、帰る方法知ってんだろ・・・! 早くどうにかしろ・・・!」

 

「早くは無理だな。そういう流れがあるはずだ。」

 

「それじゃママ! 早く行こ!」

 

「ぶっ・・・!」

 

子供の龍季がまさかの呼び方をしてしまい、ロウは思わず噴き出した。

 

「あ、間違えちゃった・・・・。」

 

「・・・ば、ばかやろー! 誰がママだ!」

 

耐えきれなくなり、その場を離れる。

 

「ごめんなさーい! 待って、お姉ちゃーん!」

 

「何やってんだあいつら・・・。」

 

珍しく律が龍季に呆れていた。

 

「ねーねー、お姉ちゃんあたしのマネしてんのか?」

 

「マネ? なんだそりゃ。」

 

「だってさ、おでこのとこ、髪の毛同じだろ?」

 

子供の律は自分の髪をぺたぺたと触る。

 

「真似じゃなくて、一緒なんだよ。」

 

「なんで一緒なの!?」

 

「そりゃお前、同じ・・・・・」

 

「おい、待て待て待て。」

 

うっかり自分のことを言ってしまおうとした律をロウが止める。

 

「っと・・・ええ・・・に、日本人だからな!」

 

「・・・にほんじん・・・。」

 

子供の律は律をじっと見る。

 

「「・・・・・。」」

 

「そっか! 同じ日本人なら仕方ないよな!」

 

(嘘だろ?)

 

「だろ!? 仕方ねーよなぁ、被っちゃっても! ・・・こいつ、将来大丈夫か?」

 

「その将来がお前なんだろうが。」

 

子供の律に聞こえないよう、ひそひそと話す。

 

「あたし、音無律! お姉ちゃんなんていうんだ?」

 

「名前か? えー、あー、ん・・・・・。・・・間宮、千佳・・・。」

 

(本気か、こいつは。)

 

「へー、全然似合ってないな!」

 

「あたしもそう思うぜ。」

 

「あー! たつきちゃんたち、あっち行ってる! あたしも行く! あそこな、あたしの宝物があるんだ!」

 

「宝物・・・?」

 

子供の律から宝物のことを聞いたロウたちは龍季二人と合流した。

 

「ってわけで、宝探しだ! なんか子供のあたし、秘密にしたがってたけどよ!」

 

律は子供の自分の頭をなでる。

 

「なーにバラしてんだよぉ!」

 

「洞窟? んなのなかったぞ。オメー、見たか?」

 

「ううん、見てないよ。でもりっちゃんがあるっていうなら、あるよ。」

 

「バカ、洞窟探検なんかさせるかよ。テメーらただでさえ親から離れてんだぞ。」

 

「まーまー聞けって。」

 

渋い顔をする龍季にロウと律が耳打ちする。

 

「裏とも表で違うところがあるんだよ。今まで付き合った俺が言うんだ。まちがいねえ。」

 

「それがどうした。」

 

「あたし、この海岸に来たことあるけど、そんな洞窟は知らねーんだ。なんか関係あると思わねーか?」

 

「なら別に俺らだけで探せばいいじゃねーか。」

 

「どういうわけか、ここの律じゃなきゃ知らねえんだよ。」

 

それを聞き、龍季はため息をついた。

 

「・・・ったく・・・少しだぞ。入口さえ見つかりゃいいんだしな。ほんの少しだけだ。」

 

「わかってるよ。」

 

「少しでも危なそうだったら、ガキはすぐ帰すからな。」

 

 

 

<ロウたち、移動中>

 

 

 

「うわ! 見て見て! さっきまで何もなかったのに洞窟があるよ!」

 

「あーあ、みつかっちゃった・・・。でもたつきちゃんならまあいいや。」

 

目の前には子供の龍季が言うように洞窟の入口があった。

 

「この洞窟さあ、出たり消えたりするんだぜ! 変なとこにあるし、朝じゃないと出てこないしで、みんな知らないんだ。」

 

「よぉ、龍季ちゃん。結構派手な入口だけど、ホントに見落としじゃねーのか?」

 

律は肘で龍季の腕にグリグリとする。

 

「おそらく潮の満ち引きだろうな。よくある。」

 

「そういうこっ・・・・・誰が龍季ちゃんだ! 二度と呼ぶな!」

 

「えー? なんで、いいじゃんかよ。ガキの方は気にしてねーぞ?」

 

「なんでもなにもねぇ! 馴れ馴れしいんだよ!」

 

「だってほら、あんなに仲いいじゃねーか。もうダチだろ、あれ。」

 

子供の自分たちを指さす。

 

「俺たちはカンケーねえだろ!」

 

「え? なんで? 同一人物だろ?」

 

(いつまで言ってんだか・・・。)

 

「なかいいよね。お姉ちゃんたち。」

 

「おともだちだよね。」

 

二人のやり取りを見て、子供の二人は嬉しそうに笑っている。

 

「よーし、それじゃたんけんたい、しゅっぱつな!」

 

「え? でもこどもだけであぶないとこにいっちゃだめって・・・」

 

子供の龍季は律たちをちらちらと見る。

 

「おとな、いるじゃん。こっちにはお兄ちゃんもいるし。しかもグリモアの制服だし、へーきへーき。」

 

「そうなの? じゃあ魔法使い?」

 

「そーだぞ、きっと。よーし、出発!」

 

「ん? あ、おいちょ、待て待て待て・・・!」

 

洞窟に入る子供二人をロウは急いで追いかけた。

 

「・・・あれ。あいつら消えたぞ! ロウもいねえ!」

 

「もしかして、洞窟に入っちゃったか?」

 

「バ、バカ野郎! アイツら水着にサンダルなんだぞ! それに潮が引いて入口が出たってことは、逆もあるってことだ!」

 

「ロウがついてるはずだから、そこまで慌てなくても大丈夫だって。まーいざって時は泳ぎゃいいけど・・・もし中が広かったら、迷子になっちまうな・・・。」

 

「連れ戻しに行くんだよ! いいな!」

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