グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第31話 不穏な動き

「『切断(アンビュテート)』!!」

 

目の前の鬼の魔物を

3体切り裂く。

 

ロウたちは阿川奈城に出現した

魔物の討伐を行っていた。

メンバーには夏海、沙紀、

レナ、天文部が来ていた。

 

「さて・・・これで全部か・・・。」

 

刀を鞘に戻す。

 

「せんぱ~い、お疲れさまッス~!」

 

「ん、服部か。お疲れさん。

 そっちも終わったか。」

 

「ん・・・まあ、終わったことには

 終わったんすけどね・・・。」

 

少し口ごもる。

 

「何かあったか?」

 

「まあ、見ればわかりますかね。

 案内しますよ!」

 

 

 

 

<ロウ、梓、移動中>

 

 

 

 

「これは・・・。」

 

梓に案内され、ロウが見たのは

無惨に殺された男の死体だった。

 

「魔物の被害者か?」

 

「いえ、実は・・・。」

 

梓が死体を少し持ち上げる。

 

「ん・・・? ・・・!!

 これ・・・。」

 

「そう、銃創っす。この男は

 銃で撃たれて死んだんすよ。」

 

「なるほど、きな臭いな。」

 

しかし、こいつ確か・・・。

 

「? 先輩、どうかしました?」

 

「・・・いや、なんでもない。」

 

おっさんにあとで確認するか。

 

「服部さん、すこしいいですか?」

 

「ん、ああはい。」

 

沙紀と梓は城の少し裏に回る。

 

「先ほどの男性・・・銃創があるという

 ことですね?」

 

「そうッスよ。」

 

「そして、撃たれたのは早朝・・・ですね?」

 

「はい。それがどうかしたんすか?」

 

「ふむ・・・。」

 

沙紀はロウのもとに近づく。

 

「ロウさん。」

 

「氷川か。どうした?」

 

「今日の早朝、どこで何をしていましたか?」

 

「なんだ急に。」

 

「いいから答えなさい!」

 

「ったく・・・確か・・・

 コンビニでコーヒーを買ってたんだよ。」

 

「レシートは?」

 

「ああ、これだ。」

 

財布からレシートを取り出す。

 

「・・・た、確かに。」

 

「・・・まさかお前、俺が

 このおっさん殺したと思ってんのか?」

 

「・・・すみません・・・・。」

 

頭を下げる。

 

「まったく・・・仮に俺にアリバイが

 なかったとしても俺に動機がねえだろ!」

 

「はい・・・。」

 

「そこまで信用がねえとは・・・。」

 

くそ、天羽が仕組んだか・・・?

 

 

 

 

 

 

 

風飛市

 

「まったく、参ったぜ・・・・。

 それに・・・。」

 

後ろをちらっと見る。

 

「また尾行か・・・・

 ・・・・よし。」

 

一気に走り出し、

曲がり角で急に曲がる。

 

「・・・『ROOM』」

 

青いドームを出現させ、

一瞬で近くの廃ビルの屋上に移動する。

 

「おお、ロウ。」

 

「よお、おっさん。」

 

ドームを消す。

 

「なんで『ROOM』を使ってたんだ?」

 

「最近監視がついてるんだよ。」

 

「監視だと?」

 

「まあ、いくらでも抜け出せる。問題ない。

 それより、おっさんに確認したいことがある。」

 

「なんだ?」

 

煙草に火をつける。

 

「第7次侵攻のとき、俺を狙撃した

 佐藤一のことだ。」

 

「・・・死んでたことだろ?」

 

「! ああ。」

 

「俺はちゃんと逃がしたぞ。だが、

 おそらく、天羽の部下にやられたかもな。」

 

「やっぱりそうか・・・・。それと、

 もう一つ。霧の護り手についてだ。」

 

「! 阿川奈で死んだ男か!」

 

「ああ、俺は・・・・あいつを知ってる。」

 

「・・・そうか、お前確かあの時。」

 

新しい煙草に火をつける。

 

「そう、そいつは霧の護り手の幹部だった。

 何度か話したこともある。」

 

「よしわかった。その男と佐藤については

 俺が調べる。お前は学園でのクエストに

 専念しろ。」

 

「ああ、頼む。」

 

「・・・俺たちは、こうするしかねえんだ。

 それが俺たちの生きる道なんだからな。」

 

「・・・・わかってる。」

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

「・・・ふぅ。」

 

とりあえずはいつも通り・・・。

 

「あ、ロウ君!!」

 

紫色の髪の生徒が

走ってくる。

 

「お前確か・・・。」

 

「保健委員の椎名ゆかりよ。入学したときに

 すぐに保健室に」

 

「思い出させないでくれ。」

 

「ああ、ごめんごめん!

 それでね、朝来てすぐで悪いんだけど

 茨城の山奥で阿川奈と同じくらいの

 被害者が出てるわ!」

 

「!」

 

まったく、今日もか・・・。

 

「ああ、わかった。すぐに準備する。」

 

 

 

 

<ロウ、ゆかり、移動中>

 

 

 

 

茨城 山奥

 

ゆかりの回復魔法、ロウの魔力譲渡によって

多くのけが人の治療を行っていた。

 

「ふぅ、ちょっと休憩してもいいかな?」

 

近くの岩に腰を下ろす。

 

「ずっと治療しっぱなしだったしな。」

 

「うん・・・こんなにけが人を見るのが

 初めてだから・・・。ロウ君がいて

 助かったよ。」

 

「いつも通りのことをしただけだ。」

 

上を見上げる。

 

「私一人だったら魔力、たぶんもたなかったし。

 ・・・・よし!」

 

立ち上がり、伸びをする。

 

「休憩がてら、見回りに行こうかな。

 一緒に行かない?」

 

「・・・・。」

 

「ロウ君?」

 

「ん? ああ、そうしよう。」

 

考え事してて聞いてなかったが・・・

まあ、大丈夫だろ。

 

 

 

<ロウ、ゆかり、少し移動>

 

 

 

「ん・・・あれか。」

 

2人の前に少し小さい

オオカミ数匹が現れる。

 

「数が多いね。それに、なんだか

 統率されたような・・・・。」

 

「あれくらいなら知能はそんなに

 ないと思ったが・・・。」

 

数匹でそれぞれ警戒している。

 

「・・・『ROOM』!」

 

全体を青色のドームで囲む。

 

「『シャンブルズ』!」

 

狼たちを空中に浮かべ、

空中をぐるぐると回る。

 

「すごい・・・。」

 

「・・・。」

 

手をかざし、オオカミを空中で止める。

 

「よし・・・えい!」

 

水を出現させ

狼たちを覆う。

 

狼たちは苦しみながら消えた。

 

「ふぅ・・・あ、ケガしてたら

 ちゃんと見せてね? しっかり治すから。」

 

「特にけがはしてない。大丈夫だ。」

 

「よかった・・・。実は、回復魔法って

 結構コスパ悪いのよ。けがの大きさに比例するし、

 使える人も少ないしね。」

 

「なるほど・・・。」

 

「正直、これからあなたが重宝されるのは

 こういう場面だと思うんだ。偉い人が

 どう判断するかわからないけどね。」

 

偉い人ねえ・・・・。

 

「・・・ロウ君?」

 

「ん?」

 

「またうわの空だったでしょう?

 何か悩み事?」

 

「いや、大したことじゃないんだ。

 悪い。」

 

「・・うん、わかった。・・!!」

 

目の前の茂みが揺れる。

 

「また出たか。」

 

さやから刀を抜く。

 

茂みから先ほどより

多くの狼が飛び出す。

 

「くらえ、『アンビュテー」

 

刀を振ろうとしたとき、

別の茂みからまた多くの狼が飛び出し、

一匹が爪でロウの背中を少しひっかいた。

 

「く!!」

 

「!! ロウ君!」

 

ゆかりが炎を出し、

オオカミを迎撃する。

 

「大丈夫!?」

 

「かすり傷だ。・・・! 伏せろ!」

 

「え?」

 

「早く!」

 

「う、うん!」

 

いわれた通りに頭を伏せる。

 

「『注射(インジェクション)ショット』!!」

 

ゆかりの後ろに迫っていた

オオカミを突く。

 

「! あれは・・・。」

 

2人の前に今までの狼より

二回りほど大きいオオカミが現れる。

 

「なるほど、統率していたのはあいつか。」

 

「魔物が野生みたいな動きをするなんて・・・。」

 

「周りの狼どもも数が多いな・・・。」

 

さて、どうするか・・・。

 

「『タクト』!!」

 

オオカミの足元の地面を

トゲ状に隆起させ、消滅させる。

 

「はぁ!」

 

火によってオオカミを攻撃する。

 

「!」

 

ボスの狼がロウに攻撃を仕掛けるが

なんとか刀で受け止める。

 

「『切断(アンビュテート)』!」

 

なんとか、オオカミの足を切る。

しかし、オオカミはロウの左腕にかみつく。

 

腕にかみついたオオカミを何とか払う。

 

「くそ、椎名! 水を出せ!」

 

「うん!」

 

大量の水を出す。

 

「『タクト』!!」

 

ゆかりの出した水を操り、

ボスの狼、部下の狼をすべて飲み込む。

 

「終わったな・・・・く!」

 

背中に痛みが走り、

その場に座り込む。

 

「ロウ君! すぐに手当てしないと・・・!」

 

急いで救急箱を取り出し、

包帯などを取り出す。

 

「さあ、上を脱いで!」

 

「・・・ああ。」

 

上着を脱ぎはじめ、背中を

ゆかりに向ける。

 

「!!」

 

ロウの背中を見て、ゆかりは

目を見開いた。

 

なぜなら、ロウの背中は

大量の傷跡があった。

 

「ろ、ロウくん・・・これって・・・。」

 

「・・・昔作った傷だ。治療しても

 どうしてもあとだけは残ってな・・・。」

 

「そ、そうなんだ・・・。」

 

「・・・いや、引くなよ。」

 

「あ、うん・・・。」

 

回復魔法をロウの背中、腕に当てる。

 

「それにしても、さっきのって本当に

 魔物だったのかな?」

 

「? 魔物だろ?」

 

「だって、魔物にあまり知能とかはないし、

 もしかして、新種なのかな・・・・。」

 

「・・・だとしても、俺たちがやることは

 変わらない。そうだろ?」

 

「・・・そうだよね。ごめんね、こんなこと

 考えちゃって。私たちは、みんなの平和を

 守る。これでいいんだよね。」

 

「そういうことだ。」

 

「・・・簡単に言っちゃうのね。

 でも、今日はありがとね。じゃあ、

 治療も終わったし、そろそろ戻ろう?」

 

「ああ。」

 

2人は元の場所に戻っていった。

 

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