グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

330 / 337
特別編
肝試しは一番疲れる


深夜

 

学園 廊下

 

「・・・・。」

 

「・・・・。」

 

ふつうは人がいないはずの

夜の廊下に噂の転校生、相田ロウ。

そして、風紀委員長、水無月風子がいた。

 

「・・・あ~どうも・・・。」

 

うっすら笑顔を浮かべる。

 

「・・・・。」

 

風子は無言で笑顔である。

 

「あ~はは・・・・。」

 

ゆっくりと敬礼し、

後ろを向く。

 

「・・・さらば!」

 

そう言って一気に走り出す。

 

「だからやだって言ったのに~!」

 

大きな声で叫んだ。

 

くそぅ・・・やっぱり

受けるんじゃなかった・・・。

 

始まりは今から1週間前に遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1週間前

 

「肝試し?」

 

「ああ、毎年学園で秘密で

 行われてる。」

 

廊下を歩いていた

ロウに報道部部長、遊佐鳴子が

話しかけた。

 

「で、俺にそれを手伝えって?」

 

「頼めるかな?」

 

「めんどくせえな・・・・

 てか、なんで秘密なんだ?」

 

「学園は通常、深夜には開いてないからね。

 入ったら、校則違反。つまり、この

 イベントは非公式なんだよ。」

 

「・・要は、校則違反の片棒を担げって

 わけか?」

 

「そうだよ?」

 

しれっと言ったな・・・。

 

「大体、なんでか知らねえけど

 掲示板のブラックリストに俺の

 名前が載ってんだよ。」

 

「ああ、それなら僕も載ってるよ。」

 

「・・・そうだったな。・・わかったよ、

 協力するよ。いつやるんだ?」

 

「1週間後だよ。じゃあ、頼んだよ?」

 

「了解。」

 

・・・ちょうどいい。

今開発中のパーティグッズを

試させてもらう・・・。

 

にやりと笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1週間後

 

深夜 学園

 

「こっちはセッティング終わったぞ~。」

 

「ああ、ありがとう。」

 

「こっちも終わったっすよ~・・・と、

 遊佐先輩、この人たしか・・・。」

 

仕掛けのセットを終えたロウは

忍者の恰好をした生徒が話しかける。

 

「そう、噂の転校生、相田ロウ君だ。」

 

「あ~やっぱり! どうもどうも、

 うちは服部梓ってゆうっす!にんにん!」

 

敬礼する。

 

「ああ、よろしく。」

 

「それで、セッティングって何やったんすか?」

 

「まあ、いろいろだ。俺はパーティグッズと

 防犯グッズを作るのが趣味でな。」

 

「変わった趣味っすね・・・。」

 

「せっかくだから、いくつか

 ここで新作のパーティグッズを肝試し仕様に

 改造したのをセットしたんだよ。」

 

舌をペロリと出す。

 

「それはそれは・・。」

 

「ふふ、これは楽しみだね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわあああ!! いやだああ!!」

 

某天文部部長の叫び声が

廊下一帯に響き渡る。

 

「大分怖がってんな・・・。」

 

「君の仕掛けも相当効いてるようだね。

 よく考えたよ。小型プロジェクターを

 使うなんて。」

 

「本当はパーティーグッズでもうちょい

 大きい奴だったんだけどな。お化けだけを

 映すんなら、小型化できるし。」

 

「君のおかげで、今年は

 かなり盛り上がったよ。・・・さて。」

 

若干ため息をつく。

 

「どうした?」

 

「服部君からなんだが、

 実は風紀委員がどうやらここに

 来ているらしい。」

 

「風紀委員が? たしかこれ、

 非公式イベントなんだろ?」

 

「ああ、だからバレたら、君たちは

 まずい。」

 

「はっきり言うな。」

 

「今、服部君が周辺を見回っている。」

 

「・・・まさか、それ手伝えって

 言うのか?」

 

「だめかい?」

 

「・・まあやるけど。どうせすでに

 校則違反してるからな。」

 

しれっとした顔で言う。

 

「そう言ってくれると頼もしいね。」

 

「・・・それ本当に思ってるか?」

 

「もちろんだよ。」

 

「・・・どうだかな・・・・。」

 

すたすたと歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ・・・ったく、

 どうもあいつだけは読めねえな・・・。」

 

さぁて、ついでに

仕掛けも回収していくか。

 

カタンッ

 

「ん?」

 

どこかからか物音がする。

 

「なんだ・・・?」

 

「・・・ゃ。」

 

「?」

 

誰かの声のようだ。

 

「ぃやぁ・・・。」

 

声を聴く限り、泣いているようだ。

 

まさか・・・ガチ幽霊か?

 

近づくと、教室から聞こえる。

 

「・・・。」

 

つばを飲み込む。

 

順路とは違う教室・・・・。

 

教室のドアにゆっくりと

手をかける。

 

「行くぞ・・・。」

 

勢いよく開ける。

 

「ひゃあ!?」

 

「うお!?」

 

悲鳴の主、そして

ロウはともに驚きの声を上げる。

 

「・・なんだ、人か、

 てっきり幽霊かと思ったじゃねーか・・。」

 

「ちょ、その言い方マジ無いんですけど!」

 

向こうも人だとわかったのか

強気の姿勢である。

 

「てか、誰だよ。」

 

「あんたとおんなじクラスよ!

 間宮千佳!」

 

「そうだったか・・・まったく、大体、こっちは

 順路と違う方向じゃねえか。」

 

「走ったらわかんなくなったの!」

 

「・・・はあ、ほら、早く立て。」

 

「・・・立てない。」

 

「ああ? ・・・ったく。」

 

手を差し伸べる。

 

「え?」

 

「早くしろ。」

 

「う、うん・・・。」

 

ロウの手をつかみ、

何とか立ち上がる。

 

「さて、早くいくぞ。俺もまだ

 仕事が残ってるからな。」

 

「仕事?」

 

「仕掛けの回収だ。」

 

「仕掛け・・・あれあんたが

 仕込んだの!?」

 

首をつかみにかかる。

 

「ぐえ、なんだ、急に・・・!」

 

「あれのおかげで、散々驚かされたん

 だから!!」

 

つかみながら、ロウを揺らす。

 

「わ、わかったから、放せ。

 苦しい・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっ、服部。」

 

「おお、先輩に、まみやん先輩。

 すみませんけど、自分今

 けっこー忙しいんすよ・・・。」

 

「わかってるよ、ここからは

 俺がやるから、こいつをもとの順路に

 案内しておいてくれ。」

 

千佳を指さす。

 

「了解っす! では、まみやん先輩、

 こっちっす!」

 

「はあ・・・うん。」

 

梓に案内され、千佳は

戻っていった。

 

「さて、じゃあ俺も仕掛けを回収するか。

 あともう少し・・・。」

 

梓と千佳が去ったあと、

ロウは再び、仕掛けの回収を

行おうと歩く。

 

「確かここに・・・・。」

 

床にかがみこみ、仕掛けを回収する。

 

「よし、次は・・・。」

 

そう言った瞬間、

教室のドアが開く。

 

「あ。」

 

「おやぁ?」

 

黄色の髪のツインテール、

風紀委員長の水無月風子だった。

 

「・・・・。」

 

「・・・・あ~どうも。」

 

「・・・・。」

 

無言で笑顔を浮かべる。

 

「あ~はは・・・。」

 

ゆっくりと敬礼し、

後ろを向く。

 

「さらば!」

 

一気に走り出す。

そして、ここから冒頭の続きである。

 

「だからやだって言ったのに~!}

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うおおお!!」

 

風子に見つかってしまったロウは

全力で走り、逃げようとする。

 

「へぇ~なかなか早いですねー。

 でも、逃がしませんよ!」

 

風子も走って追いかける。

 

「くっそ・・・・あ!!」

 

ロウの目の前には、何やら慌てている

梓、そして、天文部の面々がいた。

 

「だぁー! せせ、先輩!

 今こっちには・・・・あ!!」

 

ロウを見て、焦っているが

後ろを見て状況を察した。

 

「ああ!!もう、みんなこっちに

 来ないでほしいっすー!!」

 

梓の叫びがこだました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、ようやく、肝試しが終了した。

 

「はあ・・・はあ・・・。」

 

「はあ・・・はあ・・・。」

 

ロウと梓は疲れたのか

激しく息をする。

 

「2人とも、お疲れさま。

 大活躍だったじゃないか。」

 

「・・もう二度とやりたくねえ・・・。」

 

「しばらくはこりごりっす・・・・

 はあ、絶対、怒られるっす・・・。」

 

「遊佐。カメラ返す。」

 

「うお!? なんだ、あんたか。」

 

床にぐったりする。

 

「久しぶりね、ゴキブリ。」

 

「ずいぶんな、いいようだな・・・。」

 

「おやおや、なにかあったのかい?」

 

・・・思い出したくもねえ・・・。

 

「で、春乃君、いい写真はとれたかい?」

 

「被写体がいいからね。やっぱり、おひさまの

 下の秋穂が一番かわいいわ。」

 

一気に顔がトロける。

 

「・・・あれ、遊佐先輩ってあっちに

 いませんでした?」

 

「? 僕はずっとここにいたけど。」

 

「え、だって、確かにあの教室に・・・。」

 

「・・え?」

 

「え?」

 

「え?」

 

秋穂の一言で参加者は

沈黙に包まれた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。