グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
3月12日
校門前
「よっ、ロウ!」
「・・・・えっと・・・う、兎ノ助?」
「なんで記憶がないみたいに呼んでんだよ!」
兎ノ助はロウの肩を小さい手でたたく。
「にしてもお前・・・。」
兎ノ助がニヤニヤした顔で話す。
「なんだ、気味の悪い顔して。」
「お前、あれの準備したのか?」
「・・・・・あれ?」
合点がいかず、首をかしげる。
「? いや、あれだよあれ!」
「さっきから何言ってんだ?」
「3月14日! ホワイトデーに決まってんだろ!」
「今日12だろ?」
「まあ、そうだけど・・・ってか
お前もしかしてホワイトデーって・・・・・。」
「知るわけねえだろ。」
はっきりと言い切る。
「・・・・しょうがねえ、教えてやるか。
耳貸せ。」
「?」
言われるがままに耳を貸す。
「・・・・・バレンタインのお返し?」
「本当に何も知らなかったか・・・
ってことは、お前何も用意してねえのか?」
「当たり前だろ。今知ったんだぞ。
てか、した方がいいのか?」
「そりゃそうだろ。」
「しなきゃどうなる?」
「・・・・・・。」
兎ノ助は静かに手を
ロウの肩に置く。
「・・・?」
「まあ、考えるんだな。」
にやりと笑ったあと、
兎ノ助は校舎に入っていった。
「・・・・参ったな・・・。」
ロウは頭をポリポリと掻いた。
翌日 3月13日
風飛市内
「さて・・・・。」
この日の授業をサボった
ロウは街を訪れていた。
「・・・・・。」
1枚の紙を取り出した。
「・・・・・。」
紙の内容を見てロウは顔をしかめた。
「どうしたもんか・・・。」
紙にはバレンタインに
チョコレートをもらった生徒の名前が書かれていた。
「・・・とりあえず、店入って考えるか。」
そうつぶやくと静かに歩きだした。
3月14日
「あぁ・・・くそ、ねみぃ・・・。」
選ぶのにかなりの時間の使い、
大きく欠伸をし、なにやら大きな箱を引きずって
廊下を歩いていた。
「あ、先輩!」
「んん、桃世か。」
ももがロウに向かって大きく手を振る。
「先輩、その大きな箱なんですか?」
「ああ、ちょうどよかった。桃世。
ちょっと、この箱見てくれ。」
「? はい・・・。」
恐る恐るロウの後ろの箱に近づく。
「あの、これって・・・。」
「今日は3月14日だろ。」
「は、はい、そうですね・・・。」
「一昨日知ったが、どうにかホワイトデーの
プレゼントってのは用意できた。それが
この中に入っている。だが・・・・。」
「?」
「誰にどれを渡すかわからくなってな、
そこで、適当に1個箱の中から選んでもらおうと
考えた。」
箱をポンポンと叩く。
「さあ、桃世。箱の中から1つ取り出せ。」
にやりと笑う。
「は、はい!」
ゆっくりと箱の中に手を入れる。
「・・・・! よし!」
何かをつかんで、箱から手を抜く。
「! これ・・・。」
つかんだのはクッキーの入った袋だった。
「ああ、それだったか。
・・・んじゃあな。」
ロウは箱を引きずり、
その場を後にした。
「・・・・・・・。」
ももは呆然としながらも
もらった袋を見つめた。
夕方
屋上
「ふぅ・・・疲れた・・・。」
ホワイトデーのプレゼントを
ある程度配り終えたロウは
ベンチに横たわっていた。
「! ロウさん!」
「ん・・・・? ああ、南か。」
「随分疲れてますね?」
「まあな、慣れないことはするもんじゃねえな。」
軽く伸びをする。
「・・・そういえば、お前今日1日
いなかったな。」
「あ、警備のクエストでして・・・。」
「なんだ、そうだったか。
・・・・ほれ。」
1つの赤い紙に包まれた
箱を取り出した。
「・・・これって・・・。」
「今日はホワイトデーだしな。
あとはお前で終わりなんだよ。」
「・・・あ、ありがとうございます!」
智花は箱を受け取る。
「ところでロウさん、中身って・・・
・・・あ。」
智花が中身を聞こうとしたが
ロウは寝息をたてて寝てしまっていた。
「・・・・。」
ロウを起こさないように
静かに開ける。
「!」
入っていたのは赤い
ブレスレットだった。
「・・・ふふ。」
穏やかに笑うと
智花はデバイスを取り出し、もあっとを開く。
「ありがとう、ございます・・・っと。」
ロウにメッセージを送った。
「・・・・・。」
ロウは静かに笑いながら寝ていた。