グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
2月14日
学園
「うぅ・・・あんなこと言われたら
余計意識しちゃうじゃん・・・うぅ・・・。」
ぶつぶつつぶやきながら
みちるはテーブルに顔を伏せる。
その時、ある出来事を思い出していた。
特級危険区域
選抜戦に勝利した香ノ葉、みちるは
ロウとともに特級危険区域に足を踏み入れた。
「・・・みちるちゃん。ウチら、仲良しやと思わん?」
「ん? 急にどうしたの?」
「友達どうし、隠し事とかはあんまり
したくないんよ。」
香ノ葉はみちるに顔をぐいっと近づける。
「隠し事・・・? やだなぁ、何も隠してる
ことなんかないよ。」
「いーや、これは大事なことなんよ。改めて
聞かせてぇな。みちるちゃん、ダーリンの
こと、どう思ってるん?」
「ダーリン・・・ロウ君のこと?」
近くで見張りをしているロウを
チラッと見る。
「どうって・・・わたし、ロウ君がいないと
すぐへばちゃうからからなぁ・・・
すごく頼もしいかな!」
「フフフ、そーゆー言い方でごまかされたり
せぇへんよ。ウチがダーリンのことを聞いたら
その理由は一つしかないんよ!」
「だ、だからなんのことなの!? ロウ君は
わたしにとって・・・」
「ダーリンのこと、好きなんやないの!?」
「好き!? え、えぇ? なんで?」
突然の質問にみちるは困惑する。
「フフフ、みちるちゃん、ダーリンのことと
なるとガバガバやからね。明らかに他の
男子と対応が違うし、四六時中ダーリンを
探してるんよ。」
香ノ葉はしてやったりとした顔でニヤリと笑う。
「そーゆー意味なら、隠し事はしてへんねぇ。
丸わかりやから。」
「そんなことない! ないない! 言ったじゃん!
ロウ君がいないと、ロクに戦えないんだから!
て、ていうか、今クエスト中なのに・・・。」
「クエストは家康を先行させとるから
平気なんよ。」
「あうあう・・・そ、それにしたって
こんなとこで・・・ロウ君の前で・・・。」
「ダーリンの前やから意味があるんよ!
ほら、ダーリンの顔見てみい!」
香ノ葉はロウを指さす。
ロウは目の前に広がっている
景色をじっと見ていた。
「もうこんな状況慣れっこで涼しい顔
してるんやで! ウチは・・・ウチは悔しい!
ダーリンをドキドキさせたい!」
「そ、そんなことでわざわざ・・・。」
「さっきから何の話してんだよ。」
ため息をつきながらロウは
二人を見る。
「あ・・・ちょ、や・・・ろ、ロウ君・・・。」
ロウと目が合い、みちるの顔が赤くなる。
「い、いやぁ! こっち見ないで! 見ないで!」
「?」
みちるの言う通りに目線を外し
再び景色を見る。
「うそ・・・うそ・・・そうだったの?」
「フフフ・・・自分の思いに気づいてしまった
ようやね・・・。これでウチとイーブンなんよ。
正々堂々と勝負しようなぁ。」
「き、気づかなくてよかったのにぃ!
やめてよ、もお~!」
「でもさっきのみちるちゃん、可愛かったんよ!
ダーリン見てみるみる赤くなって・・・。」
「てゆーか香ノ葉ちゃん、ロウ君のこと
好きなんでしょ? なんでライバル増やす
ようなことしてんのよう!」
ごもっともな疑問を香ノ葉に投げかける。
「ダーリンのこと考えて生活するの
とっても幸せなんよ。みんなにもその
おすそ分けやえ。ダーリンの愛はウチの
モノやけどな!」
「だからお前ら何を・・・・・
っと、そろそろ時間だ。戻るぞ。」
「よっしゃ! クエスト達成!
帰って恋バナしよなぁ・・・。」
「うぅ・・・何このクエスト・・・。
来なきゃよかった・・・。」
教室
「うぅ・・・・ろ・・・」
香ノ葉との会話を思い出しながら
みちるは寝言をつぶやく。
「ん?」
「・・・ふぇ?」
誰かに声を掛けられ、がばっと
顔を上げる。
「ろ、ロウ君!?」
「よっ。つか、ちょっと隠れさせてくれ。」
急いでロウは教室のロッカーに隠れた。
その直後、ドタドタとした足音が
教室に近づいてくる。
「ロウさん!? どこですか!?」
勢いよくドアを開け、紗妃が入ってくる。
「松島さん、ロウさんを見ませんでしたか!?」
「え、み、見てないけど・・・。」
一瞬、ロウのいるロッカーを見てしまうが
運よく、紗妃は気づかなかった。
「そうですか・・・ありがとうございます。
まったく、一体どこへ・・・」
ロウを探しに、教室を後にした。
「・・・ロウ君? もういいよ。」
「よっこいしょっと。」
ゆっくりとロッカーを開け、出てくる。
「ロウ君、何したの?」
「何もしてねえよ。チョコもらったら
不純異性交遊だの言われて逃げただけだ。」
「・・・ふぅ~ん・・・。」
みちるはロウの顔をじっと見る。
「? どうした?」
「あ、いや・・・あはは・・・。」
バッと顔を逸らす。
「ろ、ロウ君も大変だな~って・・・。」
「まあな。もう少ししたら、急いで
寮に戻る。」
「・・・あ。」
みちるはカバンの中を探る。
「はい、これ。」
小さなチョコレートをロウに渡す。
「ああ、これか。うまいよな。」
「バレンタインね。来年はしっかり
したチョコ、渡すね。」
「んじゃあ、楽しみにしとくか。
・・・さて、そろそろ行くわ。じゃあな、みちる。」
周りを警戒しながら、ロウは
教室を出た。
「・・・今は、これで、いいよね・・・。」