グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
深夜
寮 ロウの部屋
「・・・ん・・・・うん・・・。」
ロウは汗をかき、うなされていた。
「うぅん・・・・・。」
ロウの夢
『ここは・・・?』
ロウは地面が白一色の
場所にいた。周りの建物は
今にも崩れそうだ。
『・・・・! あれは・・・。』
ロウの目の前には、
誰かと対峙している自分自身を
見つける。
「・・・えは・・・ま・・・か・・・。」
ノイズが混じり、何を
言ってるのかよく聞こえない。
「・・・・ひ・・・りね・・・・・
・・・・いさ・・・。」
『なんだ・・・? 何を言ってるんだ?』
耳を傾けるが聞き取れない。
『くそ・・・だめか・・・。』
そのとき、ロウの目の前は
真っ白になる。
朝
「はっ!? ・・・・夢か。」
くそ、なんだったんだ・・・?
「・・・・とりあえず起きるか。」
ベッドから起き、
ブラックコーヒーを取り出し、
一気に飲み干す。
「さて、支度するか。」
そう言って、カバンに
ノートなどを入れたとき、デバイスに
着信が入る。
「ん、もあっとか。・・・・神宮寺?
何の用だ?」
初音から着信があり、
デバイスを操作し、もあっとを
表示する。
「『急いで、クエストの準備して
校門に集合!』? 何のことだ?」
とりあえず、準備するか。
校門前
「よう。」
「おっす! ちゃんとクエストの
準備してきたみたいだな!」
「まずクエストって何の話だ?
俺は受けた覚えはねえぞ。」
「当然、アタシが受けたに決まってんだろ?
ふんふふ~ん。」
「お前が自分からクエストねえ。
何企んでんだ?」
「おっ、よくわかったな! 実は、
ウチの開発部から面白いものくすねてきてな。」
ようするにほぼ盗んできたのか・・・。
「クエストがてら、その実地試験やろーってこと。
自分からJGJに貢献しようなんて、
神宮寺一族の鑑だろ?」
「しょうがねえ奴だ。」
どうせたぶん、あのメイドには
ばれてるだろうが・・・・。
「沙那に見つかったら取り上げられるから
急いでいくぞ! ロウ!」
「へいへい・・・・。」
・・・ん?
ロウは初音の後ろを
ちらっと見る。そこには
沙那がいた。
やっぱりか・・・・。
洞窟
初音に言われるがまま、
洞窟に来ていた。
「で? ここでなんの実験やるんだ?」
「クックック、これ見てこれ。」
そう言って、少し大きめの
銃のようなものを取り出す。
「なんだそれ。」
「これはな、JGJが開発した
新型対ミスティック用護身兵器!
『ジンライ
「ジンライ?」
「おいおい知らねえのかよ! こいつは
国軍が正式採用してるジンライシリーズ、
その最新作なんだぜ?」
「つってもなあ。」
ジンライSPを手に取る。
「ふふん、こいつ一つあれば
魔物とさえ渡り合える優れものだ!」
「そうにも見えねえが。」
「なんだよ~。もしかして、普通の拳銃でも
あんまり興奮しないやつ?」
「いいや、持ったことくらいはある。」
「ふ~ん・・・・って、
拳銃持ったことあんの? 本物?」
「ああ、そういう流れがあってな。」
「いや、どんな流れ? 本物の拳銃持つ
流れって。」
「いろいろあったんだ。それより
よくそんなのを盗んでこれたな。」
それだけのものなら
警戒はするはずだが。
「盗んだじゃないって! アタシと
気の合う開発者がたまぁにテスト用に
横流ししてくれるんだよ。」
「余計タチが悪いな。・・・・ん?」
ヘドロのようなものが
ロウたちのもとに向かってきていた。
「・・・魔物か?」
「ふふん、よぉし。こいつの
実地テストと行くぜぇ。
ククク、アタシのお眼鏡にかなうかな?」
二発ほど弾を発射する。
聞いているのか、うめき声を
あげるが霧散しない。
「もういっちょ!」
もう一発当てると
魔物は霧散した。
「よしよし。」
「へえ、結構威力はあったな。」
「あったりまえだろ! JGJインダストリーが
魔物と戦うための兵器を作ってるのは有名だろ?」
「いや知らん。」
「ったく、へんなとこで浮世離れ
してるよな。」
「そうか?」
「しょうがねえな。教えてやるよ。」
ジンライSPをしまう。
「ウチは大体の兵器を作ってるんだよ。
なにせ、国内シェア27%だからな。
うちの兵器を使ってないところはそうそうない。
だからぼろ儲けだよ。」
「へえ。」
「・・・まあ、ぼろ儲けってことは
それだけ売れてるってことで
それだけ売れてるってことはそれだけ
壊れてる。壊れてるってことは持ち主が
だめになってる可能性も高い。」
「なるほど、手放しで喜べないな。」
「特にデクっていうパワードスーツなんかは
致命的なダメージくらったら脱ぐ暇もないからな。
・・・実際、ニュースとかで発表されてる以上に
死人は多いんだ。」
「たが、戦わなきゃより多くの人間が
死ぬ。こればかりはしょうがない・・・てとこか?」
それを聞き、初音はニッと笑う。
「まあ、そうゆうこと! それで今こうやって
学園生活を満喫できてるわけ。・・・おっと!」
先ほどより少し大きいサイズの
ヘドロの魔物が現れる。
「よーし、そりゃ!!」
弾を3発発射する。
しかし、霧散しない。
「どうする? 手貸すか?」
「まだまだ・・・おりゃ!!」
少し威力を強くし
発射する。
苦しみながら霧散した。
「うーん・・・・。思ったより
微妙だな。」
ジンライSPをしまう。
「評価変わったな。」
「これなら魔法使った方がマシだぜ?
つっても魔法の方が強いし、あれだけ
ひるめば上出来か。」
「魔法の方が強いのか?」
「そりゃそうだよ。覚醒した瞬間から
筋力が強化されるし、兵器を携行する必要がない。
しかも、攻撃リソースも回復する。おまけに
魔物に対して一番有効。できすぎだろ?」
「まったくだ。」
「・・・入学したときにエロウサギが
言ってたこと、よーく覚えてるよ。」
「エロウサギ・・・・ああ、兎ノ助か。」
学園
「・・・へっくし! ああ・・・誰か噂してんのかな?
もしかしたら、美女が俺のことを・・・・ぐへへ・・・。」
「『魔法使いが魔物と戦うのは運命』だってさ。」
「・・・運命・・・。」
ぽつりとつぶやく。
「多分アタシが一番実感してるぜ?
うちの兵器は質が高いと思っても
魔物に対しちゃ全然意味ないもんな。」
「魔物に対して最も有効なのは
魔法使いの使う魔法だけ、だからな。」
「そう、だから魔法使いが頑張らなきゃ
いけねえんだ。・・・あんた、学園の卒業生が
どうなるか分かるか?」
「確か、ほとんどは軍に行くんだったな。」
「そう。だから魔法使いの寿命は
短いんだよ。だからアタシは今を
楽しく生きたいワケ。いたずらとかしてさ。」
「ずいぶん考えてたもんだな。
・・・さて、お話も終わりだな。」
2人の前に巨大な
ヘドロの魔物が現れる。
「う~わ、でかすぎだろ・・・。」
「これくらいは俺がやるか。
『ROOM』!」
青色のドームが出現する。
「『
真っ二つに切り裂く。
「くらえ!!」
ジンライSPを撃ちこむ。
何発か撃ったあと、
ジンライSPは粉々に大破した。
「あーあー、壊れちった。まだ
信憑性に難ありだなぁ。」
「さて、これでクエスト終了だ。
さっさと戻るぞ。」
「ようし、帰ろ帰ろ! アンタも武器とか
興味あったらアタシに言ってよ。
使わせてやるから。どんだけ頼りないか、
よぉくわかるぜ?」
「ははは! 考えておくよ。」
風飛市
「おかえりなさいませ、初音様。」
2人の背後に沙那が現れる。
「げぇ、沙那! いつの間に!?」
「ああ、月宮か。ごくろーさん。」
「なんか魔物が弱いのばっかだと
思ったらお前だったのか~。
お節介焼きめ。」
「俺はクエスト行く前から気づいてたけどな。」
「まじか・・・・。まあ、とにかく
戻ろーぜ。ケーキ食べたい。」
部屋へ帰ろうとする。
「申し訳ありませんが、沙紀に生徒会室へ
行かれますよう。」
「生徒会室~? なんでだよ。薫子お姉さまが
いるなら行く。」
「いらっしゃいますよ。」
「じゃあ行く! すぐ行く!!
じゃあなー! ロウ!」
沙那とともに足早に去っていった。
「さて、じゃあ俺も戻るか。」
ロウも帰ろうと歩き出したそのとき、
1人の女性とすれ違った。
「!?」
今の・・・・。
「まさか!?」
急いで向かった方角を見るが
その女性はもういなかった。
「・・・・そんなわけねえか・・・・。
あいつはもう・・・・。」
ロウの部屋
「・・・・・。」
クエストの報告を終えたロウは
部屋に飾った一枚の写真を見ていた。
「・・・やっぱり・・・・でも
そんなはずは・・・・。」
その写真には幼いロウと1人の
少女が映っていた。