グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
早朝
ロウの部屋
「ふわあぁ~・・・。」
大あくびをして起きる。
「・・・・・。」
少し寝ぼけながら
コップにブラックコーヒーを注ぐ。
「・・・・・さて。」
コーヒーを飲み終えたロウは
あるものを取り出す。
「よいしょっと。」
取り出したものにロウは
ゆっくりと腰かける。
「スイッチオン。
・・・・ああ・・・・。」
ロウが座ったのは
マッサージチェアだった。
「・・・あ・・ううん・・・。」
最初は気持ちよさそうにしていたが
ものの数分で少し不満な顔になる。
「・・・・やっぱり違うんだよなぁ・・・。」
スイッチを切る。
「・・・・・。」
肩を何度か回す。
「・・・しょうがない。
準備して教室向かうか。」
時間は少し進み
「よぉ、ロウ。」
「ん、おっさんか。なんでいるんだ?」
「何度も言わせんじゃねえ! 駐在してる
つったろ!」
「冗談だよ。・・・はあ。」
肩をぐるぐる回す。
「ん、ロウ、まだ治らないのかよ。」
「もう何年もだよ。新しいやつないのか?」
「あの時も言ったろ。もうお前に合う
やつがねえんだよ。」
「・・・そうか。はあ、まいった。」
とぼとぼと歩いた。
「・・・あいつも大変だ。」
食堂
「いただきます。」
お盆の上には
醤油ラーメンが乗っている。
「おや、ロウじゃないか。」
「ん、神凪に岸田か。」
「やっほー、ロウ。そこいい?」
ロウの目の前の席を
指さす。
「ああ、べつにいいぞ。」
「よぅし、じゃあ遠慮なく。」
2人は席に座る。
「・・・そういえば南はどうした?
今朝から見ないぞ。」
「あれ? もしかして・・・?」
「お、おい夏海!」
「? どうした?」
「いやいやこっちの話。智花なら自分の
料理味見して気絶して、今は保健室。」
「何やってんだあいつ・・・。」
「にしても、
ロウいつもラーメン食べてる気がするけど。」
「ちげえよ。昨日は味噌ラーメンだが
今日は醤油だ。全然ちげえだろ。」
「同じな気がするが・・・・。」
「味が変わってればいいだろ。
・・・・はあ。」
自分で自分の肩をもみ始める。
「なに? 疲れてんの?」
「いや、昔から治んないんだよ、肩こり。」
「肩こり? そんなにひどいのか。」
「どんなことやってもたいして
よくならないんだよ。お前ら誰か
うまいやつ知らないか?」
「またまた大げさにしちゃって~。
どれどれ・・・。」
夏海はロウの後ろに回る。
「そーれトント・・・・ぎゃ!?」
肩をたたいてすぐ飛びのく。
「!? どうした、夏海!?」
「ちょ、何よこれ! いくらなんでも
ひどすぎでしょ!!」
「そんなになのか・・・。」
「今までやった奴らもそうだ。みんな
同じリアクションをとってたなぁ・・・。」
どこかしみじみとする。
「そ、そうだ! 怜がやってみたら?」
「わ、私がか!?」
「とりあえず頼む。」
頭を下げる。
「この肩こりが治るならどんな礼もする。」
「あ、ああ・・・わかった。」
今度は怜がロウの後ろに行く。
「い、行くぞ・・・。」
ロウの肩をゆっくりと
揉み始める。
「む、ずいぶん凝ってるな。」
「ああ・・・・おっ・・・・。」
「あれ、なんかいい感じ?」
「ん・・・・おお・・・・・。」
「ど、どうだ?」
「んん・・・あ・・・・うん。
もう少し強くできるか。」
「ああ、わかった。」
さっきより強くもむ。
「ん・・・・うん・・・・。
ああ・・・。」
ぶつぶつつぶやく。
「どうだ?」
「う~ん・・・・何か違うような・・・・
う~ん・・・・・。」
「そうか・・・すまない。役に立てなくて。」
「いや、気にするな。何度もあったことだ。」
「何度もあるのね・・・・。! そうだ、
放課後、いろんなところまわってみたら?
もしかしたら治せる人がいるかも!」
「いるかねぇ・・・・。」
放課後
夏海の助言を受けたロウは
学園内をうろうろしていた。
「さて、まずはどこに行くか・・・・
・・・おっ!」
ロウが最初に見つけたのは
歓談部の部室だった。
歓談部部室
「あら、ロウさん。こんにちは。」
「よぉ、海老名。今はお前だけか?」
「ええ、そうですけど。何かあったんですか?」
「ああ、実はな・・・。」
ロウは事情を説明した。
「なるほど~。肩たたきですか~。あまり
自信はないですけど・・・。どうぞ、座ってください。」
「ああ、頼む。」
近くのいすに腰掛ける。
「行きますよ~? たんとん♪」
「・・・うん・・・・ああ・・・。」
「たんとんたんとん♪」
「・・・おっ・・・・ん・・・・。」
「ロウさ~ん? どうですか~?」
「う~ん・・・・・もう少し力があれば・・・。」
「そうですか・・・あまり力は入れられなくて・・・。」
「そうか・・・・悪いな。」
「いえいえ~。」
にこやかに手を振る。
廊下
「さて、次はどうするか・・・・。」
「おおっ、少年。」
次に会ったのはアイラだった。
「東雲か。一つ頼みがあるんだが。」
「お? なんじゃ?」
<ロウ、事情説明>
「なるなるほどほど。強さだけなら
適任が1人おるわい。」
「! 本当か! どこにいるんだ!?」
「まあそう慌てるな。茶道部に行けば
会える。」
「? 茶道部?」
茶道部部室
「邪魔するぞー。」
「あー! ダーリーン!!」
部室に入り頭、
香ノ葉に抱き着かれる。
「白藤か。東雲に言われてきたんだが。」
「アイラちゃんに?」
「ああ。肩をもむ適任がここにいるって
聞いてな。」
「あっ、それやったら多分、
ソフィアちゃんのことやね。
ソフィアちゃーん!」
「はろー! 呼ばれてまいりましたー!」
奥からソフィアが出てくる。
「おお、越水か。・・・・あんま
できるように見えねえな・・・。」
「むぅ、失礼ですよ! まあ確かに
肩をもむというより、指圧なんですけどね。」
「指圧か・・・・試してみる価値は
ありそうだな。」
畳の上に胡坐をかく。
「それでは、行きますよ!
れっつまっさーじ!」
ソフィアの指がロウの
肩を強く押す。
「・・・・。」
「? あれ?」
「・・・いってえ・・・・。」
「ああ、耐えてただけなんや・・・。」
ロウは自分の肩を抑える。
「危うく気絶するところだった・・・。」
「ロウさん、どうですか? 肩の具合は?」
「全然気にしてねえのか・・・・。」
肩をぐるぐる回す。
「・・・・いや、全然だな。」
「そんな!?」
「・・・こうなったら、ウチの出番やね?」
香ノ葉は服の袖をめくる。
「頼めるか。」
「もちろんや!」
ロウの肩を優しくたたき始める。
「ん・・・・おお・・・・・。」
「たんとんたんとん♪」
「ああ・・・・おお・・・・。」
「どうや? ウチの肩たたき、
気持ちいい?」
「・・・・・ああ・・・・・うん。
いまんとこ、いいな・・・・。」
顔が少し気持ちよさそうにほころぶ。
「ホンマぁ!? めっちゃ嬉しいわ!」
ロウに思い切り抱き着く。
「だが、まだ時間はある。ほかのところも行って
考えてみる。」
「そうか・・・ウチは、いつでも待っとるで。」
「悪いな、白藤。」
そして
夕方 屋上
「ふぅ・・・。」
あの後もいろいろな場所をまわったが
香ノ葉を超えるものは出てこなかった。
「・・・にしても、今日は疲れた・・・。」
ベンチに寝っ転がりくつろぐ。
「あっ、ロウさん!」
「ん? ・・・南か。」
「えへへ・・・こんにちは!」
「てか、大丈夫なのか? 自分の料理食って
倒れたって聞いたぞ。」
「え!? あ、まあ、はい・・・。」
恥ずかしいため、下を向く。
「あ! そういえば、ロウさん、肩こりが
すごいひどいって夏海ちゃんが言ってましたよ?」
「ああ。今日一日、いろいろまわった。」
「そうなんですか・・・。そうだ!
よろしければ、私もやりましょうか?
肩たたき!」
「お前がか? ・・・・んじゃあ頼む。」
智花に背を向ける。
「・・・で、では行きますよ!」
ゆっくりとロウの肩を
たたき始める。
「・・・・ん?」
「ひゃ!? ど、どうかしましたか!?」
「いや、なんでもない。続けてくれ。」
「は、はい!」
再びロウの肩をたたく。
「・・・・おおお・・・・・
ああ・・・・。」
「よいしょ・・・よいしょ・・・・。」
「・・・・うん・・・・おおお・・・!」
「!?」
「・・・・これだ!!」
「ふぇ!?」
急に大声を上げる。
「ろ、ロウさん?」
「・・・まさかここで見つかるとはな・・・。」
「え?」
「今までで一番良かった! うん、
これは確定だ!!」
今日一の笑顔を浮かべる。
「ええ!? ほ、本当ですか!?」
「ああ、俺が言うんだ! 間違いない!」
「あ、ありがとうございます!」
「んじゃあ、さっそく・・・。」
肩たたきのために
スタンバイする。
「で、では、行きます!」
「ああ、頼む!」
その後、一時間近く続いた。