グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第38話 心からの忠告

学園

 

廊下

 

「ロウさん、おはようございます。」

 

「ん?」

 

急に後ろからあいさつされる。

あいさつしたのは

 

「・・・・双美?」

 

何か違うような・・・・。

 

「ああ、そうえいばこっちの私と会うのは

 初めてでしたね。」

 

「こっち?」

 

「・・・あなたにわかりやすく言うなら

 私は『もう1人の』双美心です。」

 

「もう1人の? ・・・二重人格者か。」

 

現実で初めて見た。

 

「まあそうです。」

 

「それで? もう1つの人格が俺に

 何の用だ?」

 

「それは簡単な話です。・・・クエストを受けました。

 それであなたにご一緒していただきたいと

 思いまして。」

 

「クエスト・・・。天文部のメンバーとか?」

 

「いえ、天文部のメンバーはいません。

 私とあなたの2人です。」

 

「わざわざ言うってことは、何かあるな?」

 

「ええ、裏はあります。」

 

はっきり言うとは斬新だな。

 

「他の人を交えずにお話したいことがあります。

 この機会を逃すとしばらくチャンスがありません。」

 

「そこまでして話すことなのか?」

 

「ええ、あなたの進退に関わることです。

 なので、無理にでも来てもらいます。

 あなたには、部長もお世話になってますし、

 『心ちゃん』もお世話になっていますから。」

 

「大した世話した覚えはないがな。」

 

 

 

<ロウ、心、移動中>

 

 

 

廃墟

 

2人は戦闘服となっている。

 

「それではクエストに向かいましょうか。」

 

「・・・・ああ。」

 

「いまだに信じられませんか?

 『心ちゃん』の演技だと思いますか?」

 

「あいつにそこまでできる度胸があるとも

 思えん。」

 

「ふっ、まあどちらでもいいのですが。

 いずれ私は消えますし。」

 

「・・・そうか。ところで、俺にかかわる

 話ってなんだ?」

 

「いえ、まずは先に進みましょう。

 普段通りにふるまう必要があります。

 そして、どこかで国軍の監視を避け、お話しします。」

 

・・・きな臭い感じがするな・・・。

 

「・・・途中で交代するかもしれないので

 その時はうまくはぐらかして・・・・・あれ?」

 

口調がいつものように戻る。

 

「交代したか。」

 

「なな、なんでわたしこんなところに・・・。」

 

「まったく、忘れたのか? 俺とお前は

 今クエストを受けてるんだよ。」

 

「ふぇ!? ほ、本当ですか!?

 あの、心当たりがないというか・・・。」

 

「だったらデバイスを確認してみろ。」

 

心はデバイスを取り出し、確認する。

 

「うう・・・・ほ、ほんとに受けてる・・・・

 いつの間に・・・・。」

 

「だろ? ちゃんと俺がパートナーとして

 選んだんだよ。」

 

「そ、そうですよね・・・パートナーに

 選ばれたんですよね! な、なんで

 こんな大事なこと忘れちゃうんでしょうね、

 あはは・・・。」

 

人格に関しちゃ言わねえほうが

いいかもな・・・。

 

「で、でも私、クエストで活躍したことなんかないし

 魔物は怖いし、落第にならないようなものだけ

 受けてるはずなのに・・・・はっ!!」

 

「どうした?」

 

「ま、まさかあなたと二人きりに

 なりたいだなんて思ってません! そんな

 恐れ多い・・・。」

 

「わかったわかった。・・・・ん。」

 

物陰から尖った甲羅を

背負った亀のような魔物が出てくる。

 

「魔物か。」

 

「う、受けてしまったからには

 仕方ありませんね。」

 

心が魔物と対峙する。

 

「ここ、こうなれば玉砕も辞さない

 覚悟です! もしものとき、骨は拾って

 くださいね! と、突撃ぃ!!」

 

魔物に向かって走り出す。

 

「マジで玉砕覚悟かよ・・・。

 まったく・・・『ROOM』!」

 

青いドームで囲う。

 

「『タクト』!」

 

魔物を空中に浮かべる。

 

「『切断(アンビュテート)』!」

 

魔物をきれいに切り裂いた。

 

「よし・・・。」

 

「あわわ・・・ご、ごめんなさいぃー!」

 

ロウに駆け寄り即座に土下座する。

 

「ちょ、待て! やめろ!」

 

「私ごときのためにわざわざごめんなさいぃー!!」

 

「お、落ち着け!」

 

「はっ、そ、そうですよね・・・。

 今のうちに書いておかないと・・・。」

 

「? 何をだ!」

 

「い、遺書のほうを・・・。」

 

「やめろ!」

 

「ちょっと、PCを・・・・・あいかわらず

 心ちゃんは後ろ向きですね。進歩しません。」

 

「急に変わんなよ。」

 

急に口調が変わるし・・・・。

 

「で、なんだよ。俺に話って。」

 

「そうでしたね。ですが、今はやめて

 おきましょう。」

 

「・・・だな。」

 

2人の前にさっきの魔物が

今度は3体現れる。

 

「この魔物は私が倒します。フォローを

 お願いします。」

 

「了解。」

 

魔物が心に向かう。

 

「・・・行きます!」

 

持っていたパソコンに

文字を打ち込む。

 

すると、上から打ち込んだ文字が

魔物に降り注ぐ。

 

「へえ・・・『タクト』!」

 

残った1体を空中に浮かべる。

 

「『注射(インジェクション)ショット』!」

 

浮かべた魔物を突く。

 

「ふぅ・・・片付きましたか。

 とりあえず、そこの物陰に入りましょう。」

 

心に案内され、ロウは

物陰に入る。

 

「さて、ここまで引っ張ったんだ。

 これで大した話じゃなきゃさすがに怒るぞ。」

 

「・・・そう、大した話です。

 あなたに伝えなければならないのは

 2点です。」

 

「?」

 

「まず1つは、あなたの命が脅かされていること。

 それも、遠い先の話ではない。」

 

「・・・どういうことだ?」

 

「『霧の護り手』、『ライ魔法師団』、

 『キネティッカ』など・・・・これら

 複数のテロ組織にあなたの情報が洩れています。」

 

「・・・なに?」

 

心の言葉に顔をしかめる。

 

「・・・よく聞いてください。あなたの

 情報をテロ組織にリークした人物がいます。」

 

「・・・誰がやった?」

 

「まだだれかはわかりません。もしかしたら、

 と思う人物はいますが・・・・。」

 

「そうか・・・。それで、伝えることの

 もう1個は?」

 

「ええ、もう一つは・・・・・

 近いうちに風紀委員があなたのもとに来ます。」

 

「? 風紀委員が?」

 

「はい、何の用件かは言いません。風紀委員が来たときに

 聞いてみてください。」

 

「ろくなことじゃないような

 気がするが・・・。」

 

「今回気づいたのは、偶然です。そもそも調べていたのは

 『私たち』のことなんですから。ですが、あなたには

 心ちゃんがお世話になっている。なのでそのお礼と

 して手に入れた情報をお伝えしました。」

 

「悪いな。」

 

「しかし、これからは身辺に気を付けてください。

 あなたは魔法使いにとって希望であり、そして

 悪しき者にとっての希望でもあるということを、

 忘れないでください。」

 

 

 

 

<ロウ、心、クエストから戻る>

 

 

 

 

学園

 

「・・・はっ!? こ、ここは・・・・

 学園ですか!?」

 

「ああ、そうだ。クエスト終わったから

 報告しに帰るんだよ。」

 

人格が変わっていた心に

ロウが説明する。

 

「で、でもどうやってここまで?

 も、もしかして気絶していたんですか?」

 

「・・・まあ、似たようなもんだ。」

 

「あああ・・・・なんと申し開きを

 すればよいか・・・。」

 

「とりあえず落ち着け。」

 

「こ、ここはもう腹を斬って詫びるしか・・・!」

 

「ちょ、よせ! やめろ!」

 

「・・・・・・・・。」

 

「ん?」

 

心の動きが止まり、横からのぞき込む。

 

「・・・あまり時間が経つと

 心ちゃんもさすがに怪しみますからね。」

 

「! いやだから急に変わるなっての。

 てかそれでいいのか?」

 

「これでクエストが終わったとあの子も

 認識したでしょうから。さあ、戻りましょう。」

 

 

 

 

 

 

 

教室

 

「と、いうことなので心ちゃんとは

 話を合わせておいてください。あと、渡して

 おきたいものが・・・。」

 

制服からUSBを取り出す。

 

「それは?」

 

「こちらには私が手に入れた各テロ組織の

 情報が入っています。誰にも奪われない

 という自信があるなら受け取ってください。」

 

言い終わってすぐ、ロウは

USBを受け取る。

 

「見るときはネットつながってない端末で

 見ればいいんだろ?」

 

「! よく知ってますね。」

 

「経験があるもんでな。」

 

「・・・! 少々お待ちを。」

 

デバイスを取り出し、何かを調べる。

 

「・・・学園長が亡くなったそうです。」

 

「!! なに!?」

 

「学園長にお会いしたことはありますか?」

 

「まあ、何回かな。」

 

ふとロウはある光景を思い出す。

 

 

 

『ねえ、あの人はだれ?』

 

『あれか? グリモアとかという

 学校の校長みたいなもんだ。』

 

『へ~。』

 

 

 

・・・変なこと思いだしちまった。。

 

「? どうかしましたか?」

 

「いや、何でもない。」

 

「よく聞いてください。学園長がいなくなる

 ということはグリモアを守る壁の一つが

 なくなる。そうなれば混乱が起きるでしょう。」

 

「・・・・そうしたらどうなる?」

 

「テロ組織がそこを突いてきます。

 ですから、自分を守る力を手に入れてください。」

 

「・・・ああ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

ロウの部屋

 

ドンドン! ドンドン!

 

部屋のドアが強くノックされる。

 

「誰だ? ったく・・・・。」

 

ドアを開くと風紀委員長である

風子が立っていた。

 

「何の用だ?」

 

「どーも、ロウさん。ちょーっと来てもらえます?」

 

にっこりと笑いながらそう言った。

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