グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第40話 碧万千洞

「く・・・・う・・・・。」

 

ロウは何かの下敷きとなっていた。

 

たしか・・・・俺は・・・・・。

 

「・・ぃ、おー・・・・生きてるー?」

 

誰かの声が聞こえる。

 

「だれ・・・・・だ・・・。」

 

ロウの意識は途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぅん・・・・・ん?」

 

ロウは目を覚ます。

暗い景色ではなく、

洞窟の天井が見えていた。

 

「おはよ! 救出部隊だよん!」

 

「よ、よく見つけたな・・・・。

 信号が消えていた地点と随分ずれていたのに・・・。」

 

「ん・・・・・ああ、会計か。

 ・・・・で、そこのあんたは?」

 

「ああ、アタシ、転校してきたばっかりなんだ。

 ヤヨイ・ロカ。兄さん、立てる?」

 

ロウに手を差し出す。

 

「ああ、悪いな。」

 

「意識はしっかりしてるね? 事故が起きた時の

 こと、覚えてる?」

 

「なんとかな・・・・崩落から

 何時間経った?」

 

「あれから・・・・約2時間だな。」

 

生徒会の会計、結城聖奈が

デバイスで確認する。

 

「でも、この洞窟、予想以上に広い。

 しばらく前から霧が高濃度になってたみたいだね。」

 

「そうか・・・・・・・ !

 他の奴らはどうした?」

 

「他の・・・・たしか、るりかわ、そう

 瑠璃川。兄さんとパーティを組んでた2人が

 まだ見つかってないんだ。」

 

「瑠璃川のデバイス反応がない。

 壊れたのかもしれん。」

 

「・・・くそ、面倒なことになったな。」

 

「お前の情報が必要だ。すまんが同行してくれ。」

 

「当然だ。」

 

「あの時、何が起こった?」

 

「あの時は確か・・・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

碧万千洞

 

「・・・・・。なにここ、霧の濃度が

 高すぎる・・・クエストのレベルじゃない。」

 

「? お姉ちゃん、どうしたの?

 立ち止まっちゃって。」

 

「ほっとけ。」

 

ロウ、春乃、秋穂はクエストで

碧万千洞に来ていた。

 

「なんでもないよぉ! 秋穂は

 心配しなくていいからね!」

 

「やっぱりいつも通りだな。」

 

「ちょっとこいつとお話があるから

 見張りしておいてもらえない?」

 

ロウの肩をがっとつかむ。

 

「なんだよ。」

 

「ロウ、すぐにここを出る。」

 

「はあ?」

 

「こんな場所に秋穂を長い間

 いさせるわけにはいかないわ。」

 

「ったく、お前は・・・・。」

 

頭をポリポリと掻く。

 

「お前に3つ言ってやる。1つ。お前の

 妹過保護に付き合ってられない。2つ。

 今はクエスト中だ。3つ。やらずに帰れば

 俺ら3人怒られる。スリーアウト、意見は却下だ。」

 

「いやよ。まだ突入して30分。

 すぐに出られる。入口に戻るまで

 秋穂が傷つかないように守るんだ。」

 

「てめえ・・・・。」

 

2人が話している一方、秋穂は

 

「綺麗なところだなぁ・・・・これが

 霧のせいだなんて不思議。」

 

洞窟を見ていた。

 

「・・・・あれ? あれ、なんだろう?」

 

1人、奥に進んでいく。

 

「・・・秋穂? !!

 秋穂! あたしから離れたら・・・!」

 

その時だった。

 

ドカァン!!

 

「!? おい、なんだ今のは!」

 

「ひっ!?」

 

謎の爆発によって

洞窟の壁が崩れ始める。

 

「秋穂! こっちに!」

 

春乃が手を伸ばす。

 

「おねえちゃん!」

 

「秋穂!!」

 

「くそ・・・!」

 

次第に崩壊が大きくなり、

ロウはそれに巻き込まれた。

ロウの意識はそこで途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は戻り現在

 

「ふんふん・・・・爆発音ね・・・。」

 

「それが4時間前。だが、崩落の後は

 すでに変化しているな。」

 

「さっきから妙な音が鳴ってる。

 壁を無理やり壊すのはやめたほうがいいな。

 ・・・・っつ。」

 

「! どうした?」

 

「いや、どうも腕一本折れてる。

 今は戦闘にまともに参加できねえ。

 とりあえず・・・・・。」

 

持っていたカバンから包帯を取り出す。

 

「応急処置か。どこで習ったんだ?」

 

「椎名の見様見真似だ。

 ・・・で、これからどうする?」

 

「とりあえず、個々の真下に位置する場所まで

 続く道を探そう。」

 

「道も変わっているんだぞ? 真下を

 どうやって見極めるんだ。」

 

「ま、ここはパパから叩き込まれた

 ロカのフィールドスキルを信じてよ。」

 

「・・・そうだな。実際埋もれてた

 俺が見つかっている。信用はするが、

 へたすれば命がかかわってる。」

 

「ガッテン。任せといて。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

崩落から7時間後

 

「くそ・・・だいぶ入り組んでやがる・・・!」

 

痛む腕を抑えながら

洞窟の中を進んでいた。

 

「焦るな・・・・・といっても無理な話か。

 すでに崩落から半日以上経過している。

 そろそろ危ないな・・・。」

 

ピピピ! ピピピ!

 

「デイバスの着信・・・・俺か。」

 

ロウのデバイスが鳴っていた。

 

「もしもし?」

 

「よかった、つながった。」

 

「・・・遊佐か?」

 

「遊佐だと?」

 

「何かあったのか?」

 

「説明している時間はない。そこに

 ヤヨイ・ロカがいるね? ちょっと

 代わってくれないかい?」

 

「ああ、わかった。・・・・ロカ、

 お前にだ。」

 

「え? アタシ?」

 

デバイスをヤヨイに手渡す。

 

「もしもし? ヤヨイ・ロカです。

 ・・・遊佐、鳴子?」

 

「なぜこんな時に・・・?」

 

「さあ? だがあいつのことだ。

 暇つぶしでかけてくることはしないだろ。」

 

「・・・霧を追いかけて・・・・うん・・・

 あの、もしかしてその子って・・・・。

 ・・・・うん、わかった。」

 

電話を切り、デバイスを

ロウに返す。

 

「おい、遊佐から何を聞いた?」

 

聖奈がヤヨイに詰め寄る。

 

「秋穂って子の探索方法だよ。今から

 アタシ、集中する。」

 

そう言って、目をつぶる。

 

「・・・・・・・・。

 ・・・確かに、霧が一定方向に

 流れてる。崩落から何時間だっけ?」

 

「そろそろ7時間だな。」

 

「・・・急ごう。アタシに任せて。

 これから1時間で見つける。」

 

ヤヨイは速足で奥に進んでいく。

 

「お、おい!」

 

ロウと聖奈は後を追いかけた。

 

 

<ロウ、ヤヨイ、聖奈、さらに奥に>

 

 

 

「状況を説明しろ! 霧の流れとは

 いったいなんなんだ!」

 

「霧は一定の濃度になると可視化するけど、

 見えなくてもそこにある。でも、いくつかの

 条件で生きてるかのように移動を始める。」

 

歩きながら説明する。

 

「・・・ロカ、霧が見えるのか?」

 

「見えないよ。でもわかる。感じ取れる。

 パパに鍛えられたから。」

 

「だがわからねえ・・・。なんで霧の

 流れを追えば瑠璃川が見つかるんだ?」

 

「うーん・・・霧を引き寄せる体質って

 知ってる?」

 

「いや、知らねえな。」

 

「・・・いや。」

 

「ん? どうした、会計?」

 

「先天的にはないが、けがをした際に霧が

 入り込めば・・・・・。」

 

「その霧が周りの霧を集める。それで

 『霧が集まる体質』の出来上がりだよ。」

 

てことは・・・・。

 

「まさか、あいつらのどっちかがそうなのか?」

 

「どっちかっていうか・・・

 秋穂って子がそうだね。」

 

「!?」

 

「なんだと・・・?」

 

「え、ふ、二人とも知らなかったの?」

 

ロウと聖奈の反応にヤヨイは驚く。

 

「霧が入り込んだ人は魔物化が進行する。

 それを止めるには・・・。」

 

「霧を通さない障壁で魔法的に遮断するしかない。」

 

「だが、障壁なんて長い時間は

 もたないはずだ・・・。」

 

「たぶん、お姉さんだよ。誰にも

 気づかれずにやってたんだね。」

 

「・・・あいつ・・・・。」

 

「まさかあの溺愛ぶりにそんな事情が

 あったとは・・・。」

 

「障壁はどれくらいもつんだ?」

 

「最後にかけた時間によるけど・・・・・

 今回は半日だし、もしかしたら

 もう切れてるかも・・・。」

 

「くそ・・・ならなおのこと

 急がねえと・・・。」

 

 

 

 

<ロウ、ヤヨイ、聖奈、さらに奥に>

 

 

 

「・・・・! あっちあっち!」

 

ヤヨイがある方向を指さす。

そこには多量の霧がなにかを

覆っていた。

 

「霧が集まってる・・・・。

 あの中心が例のあの子だよ!」

 

「く、ロウ! 霧を払うぞ!

 ロカ、こういうときはどうするんだ!」

 

「待って、今攻撃すれば女の子まで一緒に

 やられちゃう。」

 

「そうか・・・・なら。

 『ROOM』!」

 

青色のドームを出現させる。

 

「『スキャン』!」

 

刀の切っ先を真下に向けて持つ。

 

「・・・そら!」

 

手で何かを持つように握り、

ロウの後ろに放る。すると、

放った方向に秋穂が現れる。

 

「!」

 

「今だ! 会計!」

 

「ありったけ魔力をよこせ! 霧を

 跡形もなく散らすぞ!」

 

聖奈が魔法で起こした風によって

一気に霧を払う。

 

「・・・・! 霧の集まるスピードが

 早くなってる・・・・やばいかも。」

 

「くそ・・・・・。」

 

「秋穂ーー!!」

 

「! この声は・・・・。」

 

3人の前に春乃が現れ、

魔法によって霧を吹き飛ばした。

 

「お前・・・・。」

 

「秋穂・・・秋穂!」

 

秋穂のもとに駆け寄る。

 

「落ち着いて、まだ大丈夫。でも

 汚染が続いてる。影響が出る前に

 障壁を。」

 

「・・・く。」

 

魔力がなく、膝をつく。

 

「・・・・ロウ、お願いだ・・・・。

 魔力を・・・・・。」

 

「・・・当たり前だ。すぐにやる。」

 

ロウは春乃に魔力を補充した。

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