グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
春乃と秋穂を見つけた
ロウたちは学園へ戻った。
学園
保健室
「・・・あなたも治療が必要なのよ?」
春乃はゆかりに治療されていた。
「いい。あたしよりベッドが必要な
生徒はいるだろ。」
「うん・・・どうしてもっていうなら
しょうがないけど・・・。」
「じゃああたしは行く。」
春乃は保健室から出て行った。
廊下
「よぉ、もういいのか?」
「・・・ああ。」
ロウは春乃に声をかける。
「これやるよ。」
持っていた缶コーヒーを投げ渡す。
「・・・・。」
何も言わず、缶を開ける。
「で? これからどうするんだ?
何人かには妹のことは知られた。
治療法がない今、まだ隠し通す気か?」
「・・・あたしがもっと強くなれば
いいだけの話だ。」
「お前がこの先努力してもいずれ
限界が来る。誰かを頼るんだな。
何百年も生きてる吸血鬼とかな。」
「・・・・・そう、だな。」
「・・・初めて俺の意見を聞いたな。」
ロウはコーヒーを一口飲む。
「んじゃ、せいぜい頑張れ。」
「・・・・ああ・・・・。」
翌日
放課後
ロウは月詠に呼び出され、
噴水前に向かっていた。
「まったく、なんなんだ?
緊急の用事って・・・。」
まあ、話くらいは聞いてやるか。
「あ! おっそいわよ!」
噴水前に着くと、月詠は
怒りながらロウに詰め寄る。
「ツクを2分も待たせるなんて万死に
値するわ!」
「何言ってやがる。たかが2分で。」
「とにかく! 遅刻の代償は
アンタの体で返してもらうから!・・・
ていうか、そのつもりで呼んだんだけど・・・。」
「?」
「・・・! そうだ、きょう一日、アンタは
ツクの指揮のもとで動くってのはどうかしら?」
「ようするに一日命令聞けってことか?」
「そう、今日アンタの体はツクの
ものってこと。それじゃあ、早速
あんたに指令を出すとするわ!」
「・・・・・。」
どうせたいしたことじゃ
ないだろ。
「ツ、ツクを・・・・お、
大人にしなさい!」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「?」
ロウは首を傾げた。
何言ってんだこいつ。
「・・・今の言い方だと誤解を招くかも・・・
ごめん。・・・・こほん。」
わざとらしく咳払いする。
「あらためてお願いするわ。アンタには
ツクのことを鍛えてほしいのよ。」
「俺がお前を?」
「そうよ。」
めんどくせえ・・・・・。
「・・・まあ、暇だしな。いいぞ。
で、何を鍛えるんだ?」
「・・・ツクはね、軍師を目指す以上
率いる人間から好かれたいのよ。」
「ふんふん。」
「アンタ、人に好かれやすいじゃない?」
「そうか?」
「自覚はないのね・・・・。」
「?」
小さい声でつぶやいたため、
ロウには聞こえなかった。
「まあ、そのあたりのコツとかを
聞きたいのよ。・・・あ、あと・・・。
ツク、壊滅的に運動ができないのよ。」
「だろうな。この前段差のない廊下で
すっころんでたしな。」
「な、み、見てたの!?」
「見るだろあんなもん。」
「ぐ・・・・そ、そういうことだから
特訓の手伝いをしてほしいの。」
「なるほど。まあ、好かれる云々の
話はいったん置いといて、運動だな。」
「よし、これで契約成立!」
「じゃあちょっと待ってろ。
準備がいる。」
ロウは一度部屋に戻った。
校庭
「これ・・・マジなの?」
「大マジだ。」
『大きく、伸びの運動~♪』
ロウが部屋から持ってきたのは
ノートパソコン。映し出されているのは
ラジオ体操の映像だった。
「・・・よし、終わり~。」
パソコンの電源を切る。
「こ、こんなんでいいの?」
「ん? 何勘違いしているんだ?」
「へ?」
「ここからだろ? とりあえず、校庭を・・・
そうだな、5周して来い。」
「5周・・・・わかった。」
<月詠、校庭を走る。>
「はあ・・・はあ・・・はあ・・。」
「じゃあ次、腕立て30回。」
「ちょ、きゅ、休憩もなしに!?」
「早く。」
「う、うう・・・・・。」
体を震わせ、なんとか
腕立てを行う。
「うぅ・・・・も、もうだめ・・・。
限界・・・・。」
腕だけで自分の体を支えきれず、
地面に転がる。
「まったく、たったこれだけで・・・。
ほら、早く立て。」
「い、いじわるぅ・・・! ツク、
もう限界なの・・・! う、うぎゃあ!
腕がぁ・・・・。」
わざとらしく腕を押さえる。
「はやくやれ。」
「む、むりむりむりぃ~!!
も、もう腕立ては無理!」
「はあ・・・お前、これ俺が
7歳くらいの時にはできてたぞ?」
「どんだけ超人なのよ・・・。」
「普通だろ。・・・・・じゃあ、
腕立てはいいから腹筋やれ。」
「ふぇ!?」
「はやくしろ。」
ニヤリと笑う。
「お、鬼ー! 悪魔ー!
人でなしー!!」
月詠の叫びが校庭にこだました。
「お、終わったー!!」
大の字になり、寝転ぶ。
「こ、こんなに体動かしたの
久しぶりかも・・・。」
「大げさな奴だ。」
買っておいた水を飲む。
「大げさじゃないわよ!・・・でも、
今調子で続けていけばツクも生徒会長
みたいに強くなれるかな・・・。」
「生徒会長?」
「ツクはね、最強の軍師になりたいのよ。
自分で前線に出て共に戦える軍師に。」
「自分で戦ってなおかつ、全体の作戦も
考えるってことか?」
「そう、そしてその理想は
武田虎千代なのよ。」
「ふ~ん・・・・。まっ、それが
今信じられるならそうするんだな。
ほれ、水だ。」
ペットボトルの水を投げて渡す。
「うん、ありがと!」
渡された水を飲む。
「んじゃあな、俺もくたくただ。」
「じゃあね!」
ちなみにこのとき飲んだ水は
さっきロウが飲んでいたものだが、
月詠は一切気づかなかった。