グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
風飛市内
「んっふっふ~♪」
香ノ葉は鼻歌を歌いながら
何かを準備していた。
「精霊さんの準備、よし!
ではでは、ダーリンを見守る乙女の会、
活動開始やー!」
高らかに声を上げるが、
香ノ葉の周りに人はいない。
「・・・と言ってもうち1人だけやけど・・・
とにかく、おっかけ正宗さん召喚!」
小さい精霊を召喚する。
「さあ、正宗さん! うちのダーリンの
居場所を探してきてーや!」
命令を聞くと、精霊は
どこかへ飛んでいった。
「・・・ダーリンは他の女の子に
優しくしすぎやもん。少し節操
なさすぎ。うちがしっかり行動を監視せなな!」
香ノ葉がそう話したところで
ロウを探していた精霊が帰ってくる。
「んふふ♪ おったみたいやね。
じゃあ、本格的に行くえ!」
その頃ロウは・・・
ゲーセン
「よしよし、今日も儲けたぞ。」
またもや紙袋に大量の
景品が詰められていた。
「さて・・・向こうは終わったか?」
そう言ってロウは
格ゲ―の筐体に向かう。
「・・んー! 今日も爽快爽快!」
「相変わらず今日も全勝か。」
ロウが声をかけたのは純だった。
「当然でしょ! ・・・さて、ウォーミングアップも
済んだし、やるわよ! ロウ!」
「よし。」
純の隣の席に座る。
「あれは・・・鳴海純?」
その様子を香ノ葉は後ろから見ている。
30分後
「うそでしょ・・・まさか、
このアタシが4勝6敗なんて・・・。」
「俺もこのゲームの感覚は
大分つかんだからな。」
ニヤリと笑う。
「くぅ・・・!」
「・・・相当悔しそうだな。
・・・おっと、もうこんな時間か。
じゃあもう行くぞ。俺もいろいろ
用があるからな。」
「く! 次はこうはいかないから!」
「よし、うちも移動や。」
「さて、次は・・・。」
ゲーセンから出たロウは
紙袋を抱えながら次の目的地に
向かって歩いていた。
「さぁて、次はダーリンどこ行くんやろ。」
「・・・ん?」
「え?」
ロウが香ノ葉のいた方向に
目を向ける。
「か、隠れな!」
急いで近くに身を隠す。
「・・・・あれ?」
気配が消えたか・・・。
「誰かいた気がしたが・・・気のせいか。」
踵を返す。
「あ、危なかったわ。」
「おや、ロウさんじゃねーですか。」
「ん、ああ水無月か。」
ほっとした香ノ葉をよそに
風子がロウに声をかける。
「学園以外で会うとは
珍しいな。」
「少し用事があっただけですよ。
あんたさんも何か用事ですか?」
「ああ、ちょっと部品を買いにな。」
「・・・部品? まあ、よくわかりませんが
うちはこの辺で失礼します。」
「おう、じゃあな。」
風子はスタスタと歩いて行った。
「・・・ふう、じゃあ俺も行くか。」
そう言って近くの店に入った。
「・・・なんやろ、ここ。」
ロウが入ったのは
ジャンクショップだった。
ジャンクショップ
「おお、おお、やっぱり・・・・・
さすがおじさん。いい部品がごろごろ
入ってんなぁ・・・。」
大きな箱の中に入った
何かの部品を見て、目をキラキラさせている。
「うん、ロウ君。相変わらずいいセンス
してるねえ。安くしとくよ。」
「さすが、いやぁここならいい部品が
安く手に入るからありがたいっすわ。」
十個ほど部品をかごに入れ
会計する。
「よしよし・・・じゃあ、また来るよ。」
「おう、いつでも待ってるよぉ!」
「あっ、出てきた。」
「・・・ん、もうこんな時間か・・・・。」
腕時計を確認すると
6時半を超えていた。
「・・・飯にするか。
・・・そういえば、最近できた
ラーメン屋があったな。そこに行くか。」
「・・・・・うちも行くえ。」
ロウの後を香ノ葉はゆっくりついていく。
ラーメン屋
「お、食券制か。」
小銭を入れ、食券を買う。
「よいしょっと。」
席が一つだけ空いてたので
そこに座る。
「・・・・ん?」
・・・気のせいか?
隣に座っていた
眼鏡をかけた女性が知り合いのように見えた。
「・・・あのー。」
「はい? ・・・げっ!?」
「ああ、やっぱりすめら・・・んむぅ!?」
名前を言おうとしたロウの
口を押える。
「あんま大きな声で名前言うな!
バレんでしょ!」
絢香は小さな声でロウに注意する。
「悪かったよ。配慮に欠けてました。
・・・おっ、来た来た。」
ロウのもとにラーメンが運ばれる。
「いただきます。」
割り箸を割り、勢いよく
麺を啜る。
「へえ、あんたもラーメン好きなの?」
「ああ、週7で食ってる。」
「毎日じゃない・・・。」
「『あんたも』ってことはお前もか?」
「まあね。アイドルやってるから
毎日食べてらんないけど。」
「大変だな。・・・・よし、替え玉。」
「早っ!?」
「ふぅ、食った食った。」
ロウと絢香はラーメン屋から出てくる。
「結局替え玉3つも食べるって・・・・
化け物なの?」
「食えるときに食っとくもんだろ。」
2人の様子を香ノ葉が
物陰から見つめる。
「あれは・・・皇絢香? ダーリン、
アイドルと仲いかったんや。」
「さて、じゃあ俺は帰るが、
そっちは?」
「まだこれからバラエティーがあるの。
じゃあ、またね?」
「おう。」
翌日
放課後
「よ~し、今日もダーリンを見守る乙女の会、
活動開始や! 追っかけ正宗さん召喚!」
昨日と同じ精霊が現れ、ロウを探しに行く。
「・・・おっ、来た来た。
さあ、行っくで~!」
2時間後
「ぐ、ぐぬぬぅ・・・・!」
香ノ葉は歯ぎしりする。
「留学生にメイドさんに・・・
生徒会長に・・・・! み、みんなして
ダーリンを狙っていると言うの!」
地団駄を踏む。
「・・・ダーリンを中心に相関図
作ったらどうなるんやろ・・・・。」
頭の中で想像する。
「・・・あかん、怖くて見れへんわ。
・・・帰ろう。」
とぼとぼと歩く。
「はあ・・・ダーリンにとってうちは
なんなんやろ・・・。持ってる属性はこの
えせ京都弁だけ。そないな弱いキャラ、ダーリンが
好きになってくれるわけ、ないわな・・・・。」
ブツブツ言いながら歩く。
「・・・・・ええい! 今日は自棄コーラや!
つぶれるまで飲みまくるえー!!」
学園
「さぁて・・・・飯も食ったし、
ちょっと調整したらとっとと寝るか。」
買い物を終えたロウは
寮に戻ろうとしていた。
「うぅ・・・!」
「ん?」
ロウの前から誰かが走ってくる。
「ダーリンの・・・・ばかぁ!!」
走ってきたのは香ノ葉だった。
香ノ葉はロウに勢いよく
抱き着いた。
「!? 白藤?」
「うちの気持ちも知らんと、いろんな
女の子と仲良くしてぇ・・・!」
「?」
何の話だ?
「ようあんだけ手ぇ出せるもんやな!
うち・・・・うち、もうあかんねん・・・。」
ロウをぽかぽかと殴る。
「?? お、おい、白藤・・・・?」
「これ以上嫉妬してまうと
はちきれてまうんよ。」
「はちきれる・・・・? ・・・
どうすればいいんだ?」
「・・・ダーリンにな、鎮めてもらいたいんよ。
ダーリンと一緒に遊びに行きたいんよ。」
香ノ葉はロウをさらに
強く抱きしめる。
「遊びに?」
「今度のおやすみ、一日独占させて
ほしいんよ。・・・・うぅ。」
「いや、ちょ、泣くな。」
「う、うちのことが嫌いやなかったら
情けをかけてくれへんかえ・・・。」
「・・・はあ、わかったよ。
だからとりあえず離してくれ。」
「・・・ふひひ、泣き落とし成功やえ。」
小さくつぶやく。
「なんか言ったか?」
「なんでもないんよ?」
香ノ葉はロウを離す。
「ほんなら、今度の土曜に風飛に
いこか?」
「ああ、いいぞ。」
「約束やからね! くぅ~
やったやった! ふふふ~♪」
あまりのうれしさから
スキップしながら帰っていった。