グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第44話 ベテランのクエスト

学園

 

校門前

 

ロウはクエストの準備をして

校門の前で待っていた。

 

「ロウさん、ロウさ~ん!」

 

校舎からリュックを背負ったさらが小走りでやってくる。

 

「ロウさん、今日はよろしくお願い

 しますねぇ。」

 

ぺこりと頭を下げる。

 

「わたし、あんまりクエスト出ないので

 みんな、心配してましたけど・・・・

 ロウさんがいっしょならきっと大丈夫ですぅ!」

 

「ずいぶんな期待だな。」

 

「あ、それに、ししどさんがお守りをくれましたし!」

 

「? 宍戸が?」

 

さらが宍戸のお守りを見せる。

 

「この・・・えーと、発信機で、

 私たちの場所がわかるって・・・。」

 

「発信機だと?」

 

あいつ・・・何考えてんだ?

 

「ししどさん、シローとよく

 遊んでくれるんですぅ。」

 

「その犬とか?」

 

さらの頭の上に乗っている

白い犬を指さす。

 

「はい! ししどさん、シローのことを

 とってもきょーみぶかいっていってくれました!」

 

「とっても・・・興味深い?」

 

・・・後で探りでも入れてみるか。

 

「ほかには・・・えっと・・・

 いいコンビになれるっていってくれました!

 今日は、練習の成果をロウさんに

 見せてあげますぅ!」

 

「ふっ、どうれ、じゃあ早速

 行って、見せてもらうか。」

 

ニッと笑った。

 

 

 

 

<ロウ、さら、移動中>

 

 

 

 

商店街

 

「ロウさん、この前のこと、

 大変でしたねぇ・・・。おケガ

 ありませんでした?」

 

「碧万千洞のことか・・・。んまあ、

 腕の骨折ったが、今は何ともない。」

 

証拠として肩をぐるぐる回す。

 

「そうですか、よかったですぅ!

 ・・・わたし、ずっと学園にいるのです。」

 

そう言って指を折って数え始める。

 

「いち、にぃ・・・じゅうねんですねぇ。」

 

「十年か。随分いたもんだな。」

 

「たくさんの先輩たちに優しくして

 もらったのですよぉ。その先輩たちも

 ほとんど卒業してしまったんですが・・・・。」

 

「?」

 

「ひとりだけ、卒業の前に

 なくなっちゃったんです・・・・。」

 

「なくなった・・・。」

 

多分『亡くなった』だろ・・・。

 

「そうか・・・。」

 

「ですから、ロウさんもおきをつけて

 くださいねぇ!」

 

少し目に涙を浮かべる。

 

「・・・ああ、気をつけるよ。・・・が、

 そうも言ってられねえんだよなぁ・・・。」

 

「はい?」

 

「いや、なんでもない。忘れてくれ。」

 

「そうですか・・・。」

 

グルルル・・・。

 

シローが威嚇する。

 

「シロー、どうしましたか?」

 

「! 来たか。」

 

「ロウさん、魔物さんです!

 シロー、リュック!」

 

2人の前に太った魚の

魔物が現れ、シローは

さらのリュックの中に入る。

 

「『さん』はいらねえって。」

 

鞘から刀を抜く。

 

「行きますよぉ~! えい!」

 

光の弾を発射する。

 

しかし、魔物はそれを

かわす。

 

「『ROOM』!」

 

青いドームを出現させる。

 

「『タクト』!」

 

さらが出した光弾を

ロウが操作し、魔物に当てる。

 

魔物が苦しむが霧散しない。

 

「仲月、もう一発だ。」

 

「はい!」

 

光弾を発射し、今度は魔物に当てる。

 

魔物は霧散した。

 

「よし。・・・ところで。」

 

「はい?」

 

「さっきのなんだ? 『リュック』って。」

 

「魔物さんと戦うとき、シローが

 傷つかないように、私のこの、

 リュックに入ってもらうんですぅ!」

 

背負っているリュックを見せる。

 

「それはいいが・・・・

 チャックさっきからしまいっぱなしだぞ。」

 

「ああ! し、シロー!」

 

急いでシローをリュックから出す。

 

「シロー、ごめんなさいねぇ!」

 

「安心しろ、しっかり生きてるだろ。

 よしよ~し。」

 

ロウはシローをなでようとする。

 

ギャウ!

 

しかしシローはロウの

手にかみついた。

 

「いって!」

 

「シロー、だめですよ! めっ!」

 

「だめか・・・・前にも撫でようとしたら

 さっき以上に噛まれたからな。」

 

「シローがごめんなさいですぅ・・・。」

 

「気にするな。昔からだ。」

 

噛まれた指を押さえる。

 

ワン! ワン!

 

「また吠えてます。」

 

「魔物が近くにいるか。」

 

刀を構える。

 

「シロー、リュック!」

 

すると、2人の前に先ほどより

一回りサイズの大きい魔物が現れる。

 

「えい!」

 

光弾を放つ。

 

さっきより速い動きでかわす。

 

「『シャンブルズ』!」

 

光弾と魔物の位置を入れ替え、

躱した光弾を魔物に当てる形になった。

 

しかし、魔物は霧散しない。

 

「『注射(インジェクション)ショット』!」

 

突きによって魔物を霧散させる。

 

「シロー、出てきて大丈夫ですよぉ。」

 

リュックからシローを出す。

 

「もう少し魔物を倒せば

 クエスト終了だな。」

 

「・・・わたし、魔物さんと戦うのは

 あまり好きではないんです。」

 

「え?」

 

「魔物さんだって、きっと死んじゃったら

 悲しい人がいるんです。」

 

「・・・・・。」

 

「魔物のパパ、ママみたいな・・・。」

 

「だが、そうであっても俺たちはそれを

 倒さなきゃならない。」

 

手をパキパキ鳴らす。

 

「・・・そうです。魔物さんはまだわたしたちと

 仲良くできないんですよね・・・。」

 

「そう捉えるか。」

 

「でもわたしは先輩たちと約束しましたから!

 今はそうします。でも、いつか、いっしょに

 仲良く暮らせたらいいですよねぇ。」

 

にこっと笑う。

 

「・・・まあ、来ないとも限らないな。

 それまで、せいぜい頑張らないとな。」

 

ワン! ワン!

 

「・・・来るか。」

 

2人の前に巨大な魔物が現れる。

 

「今回は弱いって聞いてたが、

 こりゃまたでかいな。」

 

「シロー、リュック!」

 

しかし、シローは聞かず、

魔物の前に飛び出す。

 

「シロー! だめですぅ!!」

 

シローを助けるため

さらも飛び出す。

 

その時、魔物が攻撃を仕掛ける。

 

「『シャンブルズ』!」

 

ロウと魔物の位置を入れ替える。

 

「・・・はあ、ありがとうございます、

 ロウさん!」

 

少し涙を流す。

 

「だが、まだだ。『切断(アンビュテート)』!」

 

魔物を真っ二つにする。

 

「『タクト』!」

 

魔物を静止させる。

 

「今だ、仲月!」

 

「は、はいぃ!!」

 

泣きながら大きな光弾を発射する。

 

魔物は苦しみながら霧散する。

 

「ふぅ・・・Mission Complete・・・か。」

 

久しぶりに言ったな・・・。

 

「シロー、ロウさんにお礼ですよ!」

 

「気にするな。」

 

「シローは、わたしをずっと守ってきて

 くれました。とってもとっても大好きなんですぅ!」

 

「そこまで、だったか・・・・。」

 

ずっと・・・・・。

 

「シローが死んじゃったら、わたし

 とっても悲しいのです。」

 

シローを持ち上げる。

 

「だから、これからも一緒に

 がんばりましょうね、シロー。

 あ、もちろん、ロウさんもごいっしょですよ!」

 

「・・・ふふ、そうか。」

 

さらはにこやかに笑い、

ロウは静かに笑った。

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