グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第47話 異変

パァン!

 

「・・・く・・くく・・・。

 これが最後のなぞかけか? それとも

 君も・・・絶望してしまったか?」

 

「これは・・・・。」

 

「拳銃・・・自殺?」

 

鳴子に似た女性が

拳銃を握り、胸から血を流し

壁にもたれかかっていた。

 

「いけないね・・・やっぱり、

 僕は僕だ。今日がその日ってことか。」

 

「どういうこと?」

 

結希が尋ねる。

 

「僕は30歳以上の僕と連絡をとれたことがない。

 他の僕も同様だった。」

 

「つまり・・・30になるときに、

 死んだからか。」

 

「だが、僕は約束通り来た。いただくよ。」

 

鳴子は死んだ未来の自分の

体を調べる。

 

「! あなた、何を・・・!」

 

「いや、これでいい。ちょうど誰かが

 ドアを開ければ、この時代の遊佐は自殺する。

 その後、来た相手に情報を渡す。つまりは

 体を調べろってことだ。」

 

しかし・・・なぜ死んだんだ・・・・?

 

「・・・・あった。これだ。」

 

カードのようなものを見つける。

 

「・・・見つけるのが早いわね。」

 

「本人だからね。さて、ロウ君か西原君。

 デバイスを貸してくれないかい?僕のは

 さっき壊れてね。」

 

「ゆえを忘れないでいてくれて

 ありがとうございます。あ、でもゆえの

 デバイス、余計なアプリが入ってるので・・・

 ロウさんのもので・・・・。」

 

「まったく・・・・ほれ。」

 

デバイスを投げ渡す。

 

鳴子はそれにデータの入ったカードを入れる。

 

「・・・僕は、この世界で誰が死ぬのか

 把握している。」

 

「?」

 

「歴史が違う裏世界では

 そもそもグリモアに転校してきていない生徒もいる。

 そこの相違と『なぜ違うのか』を僕は、

 ずっと調べていた。」

 

デバイスを操作する。

 

「表と裏はどこが違うから歴史が違うのか。

 裏で学園にいない生徒はなぜいないのか、何を

 しているのか、とかね。

 ・・・・・・・・・。」

 

「ったく、なにもったいぶってる。

 早く言えよ。」

 

「これが『僕』が調べてくれた表にいて、

 裏にいない生徒の一覧だ。」

 

デバイスを結希に手渡す。

 

「宍戸君、これはデジタルデータだから

 ねつ造の可能性はゼロじゃない。だけど、

 何の準備もないロウ君のデバイスで閲覧した・・・

 それで信憑性を増してくれないかい?」

 

「ここまでねつ造も何もないわ・・・。

 ・・・相違のあるクラスメートのことね?」

 

「相違なんてものじゃない。僕がどうして

 相田ロウ君に興味を持っていたと思う?」

 

「・・・・・。」

 

「結論から言おう。相田ロウ、相馬レナ、

 立華卯衣、朱鷺坂チトセ。この4人は

 裏世界に存在していない。」

 

「・・・・・。」

 

「どういうこと?」

 

「死んでいないし、生まれていない。

 『いない』んだよ。少なくとも『今』は。」

 

「・・・なに?」

 

「卯衣が・・・裏世界にいない?」

 

ロウと結希は驚きを隠せない。

 

「相馬君もいない。『オオカミに育てられた

 少女』なんて報道はなかった。朱鷺坂君は

 まあ・・・・もっと未来のゲートから来たと

 申告している。」

 

「・・・・ロウさんは・・・・。」

 

「・・・・・。」

 

「・・・・さて、ロウ君。」

 

「・・・・・なんだ?」

 

「・・・君は一体何者だ?」

 

「・・・・くく。」

 

ロウは少し笑う。

 

「俺に今ここで人生を語らせる気か?」

 

「そうなるね。それで、この謎が解けるのなら。」

 

「断る。」

 

「・・・それはなぜだい?」

 

「言う気はない。ただそれだけだ。」

 

「どうしてもかい?」

 

「ああ、墓場まで持っていく覚悟はある。」

 

ロウは何を言われても

譲らなかった。

 

「・・・わかった。今日は退くとしよう。

 ・・・・・だが、いつかは聞かせてもらうよ。

 意地でもね。」

 

にやりと笑う。

 

「やってみな。」

 

ロウもにやりと笑った。

 

そして、ロウたちは

裏世界から帰還した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

表世界 風飛市

 

廃ビル

 

「お前の過去を?」

 

「ああ。」

 

裏世界から戻ったロウは

義人と合流していた。

 

「それで? 話すのか?」

 

「・・・話すわけねえだろ。

 めんどくせえ・・・・。」

 

「・・・けっ、本当は違うんだろ?」

 

「・・・何ニヤニヤしてんだ?

 気持ち悪い。」

 

「今のお前見ればわかる。

 言うのには構わないが、聞いた奴らが

 お前を避けないか、不安なんだ。」

 

「・・・・何言ってやがる。」

 

「違うか?」

 

「・・・んなわけねえだろ。

 ・・・帰る。」

 

ロウは廃ビルから出て行った。

 

「はあ、まったく。」

 

義人はため息をついた。

 

「・・・・話すわけ、ねえだろ・・・。」

 

しかし、後にロウは

ある人物に自ら過去の話をするのだが、

それはまだ先の話である。

 

 

 

 

 

深夜

 

寮 ロウの部屋

 

「うう・・ん・・・・・。」

 

寝ていたロウはうなされていた。

 

 

 

 

 

『お前はもういらない。死ね。』

 

『・・・天羽はどこだ。』

 

『・・・・奴から、・・・・を奪う。』

 

 

 

 

 

「!!」

 

ロウは目を覚ます。

大量の汗をかいていた。

 

「はあ・・・・はあ・・・。」

 

 

 

 

翌日

 

「くそ・・・あまり

 寝られなかったな・・・・。」

 

昨日眠れなかったロウは

朝早くに学園に来ていた。

 

「お? なんだテメー、今日は

 早いじゃねえか。」

 

メアリーが話しかける。

 

「ん? なんだてめえか・・・。」

 

「ずいぶん行ってくれるじゃねえか。

 にしても、裏世界での一件、聞いたぜ?

 それで一念発起でもしたか?」

 

「んなんじゃねえよ。俺は

 いつも通りやるだけだ。」

 

「けっ、今んとこテメーは順調だ。

 いずれ人類にとって有益な戦力になる。」

 

「・・・んで? んなこと言うために

 話しかけたのか?」

 

「・・・・来い。ドクターに

 呼んで来いって頼まれたんだよ。」

 

「ドクター?」

 

「ちっ、宍戸だよ宍戸。早く来い。」

 

「わぁったよ・・・ !?」

 

メアリーが背を向け

歩き出した瞬間、ロウの視界は

黒い何かに包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・んん?」

 

視界の晴れたロウの目の前には

学園が見えた。

 

「・・・・何もないか。」

 

だがなんだ? この違和感は・・・。

 

「おい! そんなとこで何してやがんだ!」

 

「ん?」

 

後ろから声をかけたのは

戦闘服を着たメアリーだった。

 

「なんだウィリアムズ。急に

 クエストでも入ったか。」

 

「!? テメー、なんでアタイを知ってる。

 見ねえ顔だが、なんで戦闘服じゃねえんだ?」

 

「一度にたくさん質問するな。それに

 当たり前だろ。クエスト以外で着るかよ。」

 

学園に入ろうとする。

 

「待て、動くな。」

 

銃を構える。

 

「動いてみな。ハチの巣にしてやるよ。」

 

「・・・・ああ?」




9/24 加筆しました。
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