グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
「・・・・・。」
一触即発の状態から
一度冷静になり、メアリーは
デバイスを操作していた。
「念のため確認したが、やっぱ学園生
じゃねーな。」
「だから何度も言わせんじゃねえよ。
俺はここの生徒だっつってんだろ。」
「だが、名簿に名前がねえ。これを
どう説明すんだよ。」
「・・・はあ、わかった。
とりあえず、アメディックを呼べ。
第三者がいた方が早く話がつく。」
「・・・・おい、今なんつった?」
メアリーが一層険しい表情になる。
「エレンだよ。わかんだろ?
エレン・アメディックだよ。」
「!! てめえ、なんでエレンのことを
知ってやがる!!」
ロウの胸倉をつかむ。
「学園にいるだろ。精鋭部隊に!」
メアリーの手を無理やり引き離す。
「学園? いるわけねーだろが!!
覚醒してねーんだからな!!」
「・・・覚醒してない?」
どういうことだ・・・?
さっきから何かちぐはぐだ・・・。
「答えろ! なんでてめえは
エレンのことを」
「おやめなさい、ウィリアムズさん。」
誰かがメアリーの肩をつかみ、
制止させる。
「・・・神宮寺の犬が何の用だ。
とっとと出てけっつっただろうが。」
止めたのは沙那だった。
「愚かな戦闘狂のあなたが騒いでいたので、
何事かと思いまして。」
「見りゃわかるだろうが。不審者だよ。
それともその目は節穴か?」
「おい月宮。このクソ軍人をどうにかしてくれ。」
「てめ・・・!」
「こちらの方は?」
「自称、学園生だ。名簿にも載ってねえ
影の薄~いな。」
「てめえ・・・・。」
「・・・名簿に載っていない、生徒?」
「!!」
沙那は武器を構える。
「スパイに決まってるではありませんか。」
「・・・・スパイだと?」
ロウの眉間にしわが寄る。
「なぜ撃っていないのですか。銃口が
焼け付いているのなら私が」
「おおーい! ちっと待てぇ!」
今度は誰だ?
「・・・・里中。」
「今度は里中か。」
「メアリー、生徒会長がおめえさ
呼んでるべ、行け。」
「生徒会長~? 水無月が今
何の用だよ。」
「・・・水無月?」
ロウは首をかしげる。
今の会長は武田虎千代のはずじゃあ・・・。
「呼んで来いとしか聞いてないすけな。
自分で確かめろ。」
「ちっ・・・。おい、里中。こいつは
しばらく預ける。」
「こいつ? どっちだぁ?」
ロウと沙那を見る。
「月宮がこの男を殺さないように
見張ってろ。いいな。こいつにゃ
聞きてーことがある。今は生かしとけ。」
そう言って、メアリーは
校舎に戻っていった。
「う~ん・・・・見ねえ生徒だな。
風紀委員や生徒会には知られねえほうが
いいっきゃ?」
「とりあえず、そうだな。」
ここはこいつらの
言うことを聞くしかねえ・・・。
それに・・・・。
「俺もいろいろ聞きたいことがある。」
「・・・とりあえず、なんか食わせてやるすけ。
ついてこい。」
<ロウ、花梨、沙那、移動中>
調理室
「調理室か・・・。」
「・・・・・・。」
「月宮、おめさは神宮寺の面倒
見るっきゃ?」
調理しながら
沙那に聞く。
「得体のしれない男と2人きりには
できませんから。」
「何言ってんだぁ? ただの新しい転校生
だっきゃ。なんも大丈夫。」
「まあ・・・・当たらずとも遠からずだな。」
・・・今はこうしとくか。
「最近、生徒会も執行部も魔物の対応さに
忙しいすけ。手続きできねえまま、何の準備もねえ
生徒もいるすけな。」
「・・・ところで里中。」
「ん?」
「一つ聞きたいことがある。」
「なんだっきゃ?」
「さっき、生徒会長は水無月だと
言ってたが・・・・。」
「そうだけど?」
「会長は武田虎千代、風紀委員長が
水無月風子じゃないのか?」
「「!!」」
花梨、沙那は驚きを隠せなかった。
「あんた、そったのどこで知ったんだぁ?」
「警備が混乱しているすきをついて
潜り込もうとしたのでしょう。」
「あのな・・・俺がもしそうなら
今の生徒会長言うはずだろ。」
「そうだすけな・・・・。あんたの言ってる
虎千代は去年卒業したすけ。」
「卒業しただと?」
今度はロウが驚きを隠せなかった。
「今の生徒会長は水無月風子だすけな。」
「卒業・・・じゃあ、遊佐鳴子や
雪白ましろ、生天目つかさもか?」
「その3人もまた、卒業しています。」
「・・・・・まさか。」
ここまでの話を聞き、ロウは
1つの結論に至った。
だが、まだ言うのは早いな・・・。
「・・・ちょっとこれ見てみてくれ。」
デバイスを取り出し、操作し、
学園生の名簿を表示する。
取っといてよかったぜ。
「・・・知らない名前がいくつかありますね。
精鋭部隊長のエレンとは?」
「その話メアリーから聞いたことあるべ。
あいつの友達だ。」
「・・・・友達?」
「んだんだ。・・・あんたの話、
もうちょっと詳しく聞かせてけろじゃ。」
「・・・そうだな。」
椅子に腰かける。
「・・・そういえば、月宮。」
「はい?」
「神宮寺はどうした?」
「・・・・JGJのことは
ご存知でしょう。」
「知らねえかもしんねえぞ・・・ほい、できた。」
ロウの前に料理の乗った皿を置く。
「合成食料もなかなか手に入らなくなったすけ。
少なくてすまねえな。」
「気にするな。」
「・・・JGJについて知ってることは?」
「確か、軍産複合体だったな。あと、
神宮寺には兄弟がいたはずだ。」
「そうです。それで?」
「それだけだ。」
「・・・・そこまで? まさか・・・・。」
沙那は驚いていた。
「まあ俺は元からあんまりよく
知らなかったしな。」
「・・・日本中の誰もが知っているはずです。
JGJは人類を裏切り、霧の護り手に与する
方針だと。」
「・・・・なに?」
「・・・本当に知らないのですか?
そのせいで初音様は・・・執行部はおろか
学園生を守るはずの生徒会からも疑われている
というのに・・・・。」
悔しそうに唇をかむ。
「そう・・・・・だったのか・・・・。」
なんとか言葉を絞り出した。
「・・・スパイ、と考えるには
奇妙な方ですね。」
「まあ、もうちょっと話さ聞いてみるべ。
なんでもいいすけ。話してみろ。」
・・・・話してみるか。
「今までの話を聞いてて、わかったことがある。」
「んん?」
「どうやらここは、俺たちのところで言う
・・・・『裏世界』だ。」
「・・・裏?」
「ああ。この世界ともう一つの風飛市が
ゲートと呼ばれるものでつながっている。」
「・・・ゲート・・・裏世界・・・。」
「聞くだけ無駄でしたでしょうか。」
ため息をつく。
「ここにも俺がいたら説明も簡単だったろうが・・・。
まあ、俺についても教えておく。俺は、
魔法が使えない代わりに、大量の魔力と
魔力譲渡が行える。」
「! 魔力譲渡・・・?」
沙那は目を大きく開く。
「魔力を他人に移せるなんて・・・それがあれば
虎千代はあったらことになんなかったかもしれねえな。」
「膨大な魔力もまた本当なら、貴重な力です。
単独で潜入してよい人材ではない。スパイだ
なんだというのは、非現実的です。」
「あとは・・・・。」
その後もロウは表世界で
起こった出来事を2人に話した。