グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第49話 表と裏

「ふむ・・・どうにも信じがたい話です。」

 

ロウの話を聞いた沙那は

そう言った。

 

「学園の地下に魔導書があるというのも

 大垣峰が特級危険区域だということも・・・。」

 

「第7次侵攻の後で、そったらことに

 学園生割く余裕なかったすけな。」

 

「やはりそっちでも起こったか。」

 

「・・・んだ。第7次侵攻は去年の秋に

 あったべ。あれで何人も逝っちまったなぁ・・・。」

 

少し目を伏せる。

 

「こっちじゃ、死人は一切出ていない。」

 

「・・・・信じがたい事ですが、

 部分的に真実味があることも否めません。」

 

「・・・神宮寺は、裏切り者だと聞いたが。」

 

「ええ・・・学園内で裏切り者と

 罵られました。ですので、今はお会いさせる

 わけにはいきません。ご了承ください。」

 

頭を下げる。

 

「・・・ま、まあな! ここにいてもなんだすけ

 あっちさ行くべ!」

 

重い空気だったため、

大きな声を出す。

 

「風紀委員に見つかってはきっと拘束

 されちまうすけ。」

 

「ですが、変える方法が霧の嵐では

 いつになるか。」

 

「だが、このまま見つかって俺のことがばれれば

 いよいよ帰れなくなる。今のお前らにとって

 俺の能力は喉から手が出るほど欲しいはずだからな。」

 

「・・・ということは、このまま風紀委員に

 報告せずに帰ってもらった方がいいっきゃ。」

 

「・・・・あんたの判断に従いますよ。私は

 どちらでも構いませんので。」

 

にこりと笑った。

 

 

 

 

<ロウ、花梨、沙那、移動中>

 

 

 

 

「・・・では、メアリー・ウィリアムズが

 危害を加えないよう説得しましょう。

 ということでよろしいですね?」

 

「ありがとな。メアリーさえ納得すりゃ、

 あいつに任せて平気だすけ。」

 

「悪いな。2人とも。」

 

少し頭を下げる。

 

「おらはあんたを信用する。ちゃんと帰って

 むこうのおらによろしく言っておいてけろじゃ。」

 

「・・・そういえば、第7次侵攻で

 何人か、死んだっつってたな。」

 

「・・・・ええ、そうです。」

 

「・・・誰が死んだ。」

 

声が低くなる。

 

「・・・侵攻では国軍が崩壊し、学園生と合流。

 協力してどうにか退けましたが・・・。」

 

「・・・来栖、与那嶺、霧塚、越水・・・

 この4人はもういねえすけ。」

 

「だが、同時に知らないやつもいる。」

 

「はい。相馬レナ、立華卯衣、朱鷺坂チトセ、

 楯野望、双美心・・・。」

 

楯野と双美まで・・・・?

学園にいなかっただけか・・・・?

 

「あとは、留学生とメアリーの友人の

 エレンってやつだな。」

 

「・・・これは、重要なことなので伝えておきますが

 そちらとこちらでは状況が違います。同じ名前の生徒で

 あってもやはり状況が違います。可能な限り、

 接触は避けてください。」

 

「ああ、わかった。」

 

面倒なことになるしな。

 

「生徒会や風紀委員にも会わねえほうが

 いいな・・・。まあ、このくらいだすけ。

 月宮がいればとりあえずケガの心配はねえすけ。

 ・・・・!」

 

花梨のデバイスが鳴り、

デバイスを確認する。

 

「・・・あちゃ、行かねえと。」

 

「私におまかせください。ウィリアムズさんが

 暴れだしたら・・・。」

 

武器を取り出す。

 

「先にちゃんと話し合ってけろじゃ。」

 

「そこはそうしてくれ。」

 

「悪りぃな、時間できたらまた来るすけ。」

 

そう言って花梨は校舎に戻り、

少ししてメアリーが戻ってきた。

 

「ビンゴ。この辺だと思ったぜ。風紀委員の

 見回る頻度が少ねえからな、ここは。」

 

「お待ちしておりました。」

 

「・・・?」

 

先ほどの沙那とは態度が違い、

少し戸惑う。

 

「おい、里中はどうした。」

 

「多分生徒会に呼び出されたんだろ。」

 

「てめえに聞いてねえよ。」

 

「今は私がこの方をお守りしています。」

 

「お守りだぁ? アタイがいねー間に

 何があったんだよ。」

 

「実は・・・・。」

 

沙那は今までロウから聞いた話を

メアリーに話した。

 

「けっ、そんな与太話を信じたてのか、

 テメーが。」

 

「信じずとも、私には学園にこの方を

 差し出すいわれはありませんので。」

 

・・・こりゃ相当こじれてんな。

 

「・・・確かにその体質が本物なら

 執行部が目ん玉飛び出るくらい驚くぜ。

 今更そんなの1人いたってどうにもならねえのによ・・・。」

 

唇をかむ。

 

「・・・・・あなたはもっと自信に

 満ち溢れたと記憶していますが。」

 

「それはテメーの目がフシアナだったんだろ。

 ・・・おい。」

 

「ん?」

 

「質問に答えろ。エレンのことを話せ。」

 

ロウに詰め寄る。

 

「私は詳しく知りませんがご友人でしたね。」

 

「ああそうだ。・・・親友だったよ。」

 

「? 『だった』?」

 

「・・・あいつは、2年前にメキシコで死んだよ。」

 

「・・・死んだ?」

 

「国外で亡くなっているとは・・・。」

 

「アメディック少将の謀反は有名だがな。

 娘のこととなると・・・。」

 

目を伏せる。

 

「アメディック少将の娘ですか・・・。

 授業で習いましたね。」

 

「やるだろうよ。なにせ国連軍の将官が

 テロリストと内通してたんだ。だが、

 娘がどうなったかってのはなかなか知られてねえ。」

 

「『もう1つのグリモア』ではあなたと共に

 魔法使いになっていると。」

 

「てめー、まじで言ってんのか?」

 

「ああ、本当だ。精鋭部隊で隊長をやってる。」

 

「・・・じゃあ、アメディック少将は

 どうなってんだよ。」

 

アメディック少将・・・・。

 

「いや、そんな事実は聞いたことがない。

 授業でもやった覚えはないしな。」

 

「・・・こりゃあ月宮の言う通り

 風紀委員にゃ渡せねえな。」

 

2人は向き合い、こくりと頷く。

 

「メアリーさーん!」

 

どこからかメアリーを呼ぶ声が聞こえる。

 

「・・・? げっ!」

 

顔をしかめる。

 

「メアリーさん、こんなとこにいたんだ!」

 

呼んでいたのはノエルだった。

 

「今から私とメアリーさんで歩哨だよ!

 ほら、早く行かなきゃ! ・・・あれ?」

 

ロウと沙那を見て首をかしげる。

 

「ど、どうして神宮寺の人と一緒にいるの?

 それにこの男の人・・・・・。」

 

目を細めて、ロウを見る。

 

「・・・いかがしますか?」

 

「・・・・。」

 

メアリーはロウと目を合わせる。

 

「・・・アタイに合わせろ。」

 

3人でひそひそと話す。

 

「フ○ック! さっさと消えやがれ、

 二度とそのツラ見せんな! こいつの

 身柄を裏切り者に渡すわけにゃいかねえんだ!」

 

急に大声を出す。

 

「・・・・・・。私も、あなたと話す時間など

 ありません。それでは。」

 

そう言って沙那はどこかへ

去ろうとする。そのとき、ロウに

近づき、小さな声で話す。

 

「?」

 

「メアリーウィリアムズは精鋭部隊長。

 JGJとは明確に敵の状態です。あなたも

 私の話題は出さぬよう。余計な誤解を招きます。」

 

「・・・お前も大変だな。」

 

「・・・お気になさらず。」

 

沙那は去っていった。

 

「・・・どうしてあの人がここに?」

 

「勝手に迷い込んできただけだ。

 ノエル。事情はすっ飛ばすがこいつを

 保護する。」

 

「え・・・? う、うん、わかった。」

 

やはり状況は分からず、

とりあえず頷く。

 

「こいつが風紀委員や生徒会に

 見つからねーように隠すぞ。」

 

「?? どういうこと・・・?」

 

 

 

<ロウ、メアリー、ノエルに説明する。>

 

 

 

「この人が・・・ももも、もう1つの

 グリモアから!?」

 

「「声がでけえ!!」」

 

声がはもる。

 

「・・・・聞かれてねえな?」

 

「ああ、他に誰もいねえ。」

 

「あはは・・・ごめんね・・・。」

 

頭を掻く。

 

「でもなんか変な気分・・・。もう1つのって

 海外の魔法学園って意味じゃあ・・・。」

 

「ちげーよ。話聞く限り、『もう1つの世界がある』

 だとさ。」

 

「うそ・・・じゃあ、わたしやイヴが

 もう1人ずつ・・・?」

 

「そういうことになる。」

 

「そうなんだ・・・・。」

 

「が、どういうわけかケンカ中だ。」

 

「やっぱり、そっちでも・・・。」

 

首を横に振る。

 

「でも、私たちみたいにあってないなら、

 まだなんとかなるよね。」

 

「・・・・ノエル。」

 

「あとで、時間あったらそのこと

 話したいな。」

 

 

 

・・・こいつら、何があった?

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