グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
第51話 姉妹
学園
昼休み
「ふわぁ~あ。少し寝すぎたな・・・。」
連日の疲れから
ロウは午前の授業をさぼっていた。
「カップ麺もそろそろできるし・・・。
・・・おっ。」
ベンチを見つける。
「ああ、そこの。隣いいか?」
「・・・隣ですか? どうぞ、
好きに座ってください。」
「悪いな。」
隣に腰掛ける。
「・・いただきます。」
割り箸を割り、麺を啜る。
「あなたは、ずいぶん変わった人ですね。」
「ん? なにがだ。」
「学内で許可を求めるその行動こそ
私には理解しかねます。」
「礼儀として聞いただけだ。」
「・・・まあ、あなたのような人は
おかしいとは感じないのでしょう。」
・・・なんかけなされたような・・・。
「ところで、お前の名前は?」
「・・・名前、ですか?
・・・はあ。」
大きくため息をつく。
「?」
「普通、名前を聞くときはあなたから
先に名乗るものではないですか?」
「・・・ああ、悪かったよ。
俺は」
「まあ、別にかまいませんが。私の名は
冬樹イヴです。」
「・・・・・・。」
なんだこいつ・・・。
「では、私は用が終わりましたので
これで失礼します。」
スタスタと歩いて行った。
「・・・・ふぅ。
ごちそうさま・・・っと。」
「お、お兄さんお兄さん!」
ノエルが走ってくる。
「ああ・・・冬樹か・・・・冬樹?」
さっきの奴も確か・・・。
「ささ、さっきお姉ちゃんと
話してたよね!?」
「ああやっぱりお前の姉か。」
「え、お兄さん、今気づいたの?」
「話は聞いてだが、見たことなかったしな。」
大きく欠伸をする。
「んで?」
「へ?」
「結局、あの後、どうしたんだよ。
ちゃんと渡したんだろうな。」
「・・・・・・。」
急に黙り込む。
「・・・・嘘だろ?」
「あはは・・・。」
ポリポリと頭を掻く。
「ったく・・・。」
ノエルに手を差し出す。
「?」
「持ってんだろ? ハンカチ。出せ。」
「う、うん・・・。」
恐る恐る渡す。
「ど、どうするの?」
「俺が渡す。これがよかったんだろ?」
「なんで急に・・・?」
「事情が変わってな。少し
面倒見てやる。」
「お、お兄さん・・・!」
目をキラキラさせる。
放課後
ロウはイヴを探して歩いていた。
「あっ。」
イヴを見つける。
「・・・先ほどぶりですね。
お疲れ様です。」
少し頭を下げる。
「では・・・。」
足早に去っていく。
「・・・タイミング逃したな・・・。」
数分後
「・・・・。今日はよく会いますね。」
もはやあきれ顔である。
「もし、私につきまとっているのでしたら
やめていただけますか?」
「生憎、俺もそこまで暇人じゃない。」
「非常に不愉快です。付け加えるなら
あなたは邪魔でしかありません。」
「そこまで言うか・・・。」
「大体、あなたはなぜあなたは
私のクラスまで降りてくるのですか?」
「・・・これだよ。」
ノエルから渡された
ハンカチを出す。
「あ、私のハンカチ・・・・・。
・・・もしかして、これを届けに?」
「まあな。」
「・・・でも、どうしてあなたがこのハンカチを?
それに、なぜ私のものだとわかったんですか?」
「・・・・・なんとなくだ。」
われながらひどい理由だ。
「・・・はあ、なるほど、あの子ですか。」
「! わかったのか。さすがはしま」
「あなたがハンカチを見つけて、
クロウして私のところまで届けてくれた。
そういうことにしておきます。」
さすがは姉妹と言おうとしたところで
イヴが遮った。
「お前・・・。」
「ありがとございます。しかし、こういった
ことは今後慎んでください。他人のあなたまで
私たちに関わる必要はありませんから。」
「・・・まっ、今はそれでいいだろ。」
あまり深く言及するのもまずい。
この辺にしとくか・・・。
「それと・・・ごめんなさい。」
ぺこりと頭を下げる。
「? 何がだ?」
「どうやら私は、誤解していたようです。」
「・・・ふっ。」
「な、なんで笑うんですか。・・・あなたは
私がお礼の一つも言えない人間に見えますか?」
「ああ、見える。」
「!!」
むっとする。
「・・・感謝する礼儀くらい、さすがに
わきまえています。もしかして、あなたは
・・・私が子供のように意固地になっている、と?」
「今のところはな。」
「・・・そうですか、私が子供・・・
子供に見えると・・・そう言いたいわけですね。」
・・・これ、怒ってんのか?
「・・・まあ、今回は許します。
しかし・・・・・・次はありません。」
そう言ってスタスタと
歩いて行った。
「・・・ふぅ。もういいぞ。」
「あ、ば、ばれた?」
物陰からノエルが出てくる。
「や、やっぱり、だめなのかな・・・・。」
「いいや、これでいい。」
「え?」
「お前が拾った事実が伝われば
十分だ。」
「う~ん・・・。」
「あとは自分でやれ。」
ロウは自分の部屋に戻ろうとする。
「え、お、お兄さん!?」
「・・・後悔のないようにしろよ。」
ぼそっとつぶやいた。