グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
学園
校門前
「・・・はぁ、上級生とペアを組んでの
実地試験とは・・・。」
1人の生徒がぼやいていた。
「たく、あの生徒会長はいつもいつも
面倒くさい事ばかり考えるな・・・。あの
おめでた思考回路なんとかしてほしいっつの・・・。」
「来栖焔ってのはお前か?」
「ん?」
焔に声をかけたのはロウだった。
「パートナーってのはあんたか。」
「ああ。お前、ウィリアムズの話じゃ
あまり授業は出ないって聞いたが・・・。」
「魔法関係の授業出るっつの・・・。くそ、
余計なこと言いやがって・・・。」
ボソッとつぶやく。
「ん?」
「なんでもねえよ。まったく、ペアの強みが
どうのとか演説してやがったけど・・・・
1人が強かったら別にかまわないんだろ?」
おどけたように言う。
「そういうわけだから、ノルマ50体・・・だっけ?
見てるだけでいいよ。」
「そうか。じゃあ遠慮なく。」
そう言って2人は試験場へ向かった。
<ロウ、焔、移動中>
試験場
「ふん・・・!」
焔の放った炎が
人形を燃やした。
「・・・ま、こんなところか。
あと10体で終わり・・・ぬるいわホント。」
人形が倒れたのを
確認するとあくびをする。
「ならさっさと終わらせろっつの。」
「・・・ちっ、なんだいたんだ。もうちょっと
離れてくれた方がやりやすいんだけど。」
「はいはい。」
3歩ほど後ろに下がる。
「アタシは必要な単位はしっかりとってる。
実力もある。この学園で戦うくらいなら
十分すぎるくらいの力だろ。」
「そうにも見えねえけど。」
「・・・それでも、まだ足りねえんだ。
だから、通常の授業なんか出てる暇はない。
魔法の練習だけさせろってんだ。学園内じゃ禁止に
しやがって・・・・・くそ!」
イライラから地面を蹴る。
「なんでそこまで魔法を鍛える?」
「魔法学園に入学して、魔法の力を
鍛えるのがそんなにおかしいか?」
「いいや? ただ本当の目的に
とっちゃあ、特に意味もないしな。」
「・・・目的なんかどうでもいいだろ。
それより、その口閉じてな。余計なこと言うと
あんた、燃やすぜ?」
掌に炎を出す。
「・・・やってみ。」
鞘から刀を抜く。
「・・・てめえ・・・・。」
ロウをにらむ。
「・・・・・。」
ロウは無言で焔と
対峙する。
「・・・・ちっ、
こんなことしてる時間なんてなかった。
行くぞ。」
「賢明な判断だ。」
刀をしまう。
「・・・あと、5体・・・。くそ、
なんなんだよ、急に強くなりやがって・・・。」
ロウたちのノルマはあと5体になるが
苦戦を強いられていた。
「聞いてねえぞ・・・・はぁ、燃えろ!!」
炎を出し、人形に当てる。
しかし、炎の中から人形が
何もなかったかのように飛び出す。
「くっそ、魔力がもう尽きる・・・・。
計算しくったか!」
「・・・・。」
「てめえ・・・・・何ニヤニヤしてやがる!」
「いや? あれだけの啖呵を切った
人間が苦戦してるのが面白くってな。
手ぇ貸そうか?」
「うっせぇ! あんたの手なんか
借りなくたって、1人で十分だ! 学校が
用意したデク人形だ。このくらいこなさねえと・・・
あいつには、とても・・・。」
あいつ?
「・・・ちくしょう!」
跪き、拳で地面をたたく。
ロウは焔に近づく。
「・・・頼む、あんたの魔力を貸してくれ・・・。
頼む・・・ここでたおれちゃ・・・ダメなんだ・・・。」
ロウの服をつかみ、懇願する。
「他の何を犠牲にしてでも、魔法では
一番じゃねえとだめなんだ!」
「・・・何のためにそこまでする?」
「魔法で戦えるようにならねえと・・・
家族のカタキが・・・・。」
「・・・・ふふっ。」
なるほど・・・。
「何が・・・おかしい・・・。」
「1つわかった。どうやら、俺とお前は
同じ穴のムジナのようだ。」
「何・・・?」
ロウは目を瞑り、焔の
魔力を回復させる。
「悪い・・・助かる・・・! 全力だ!
燃やし尽くしてやる!!」
目の前全体を
炎で包み込んだ。
「・・・礼は言わない。文句あるか。」
「ねえよ。ろくな育ちじゃないだろ、お前。」
「・・・わかってんじゃねえか。・・・誰とも
関わらずに1人で十分なんだ。だから
これ以上かまうなよ。」
ロウに背中を向ける。
「アタシは1人だし、1人でいいんだ。
・・・・でも・・・。」
「ん?」
「1つ気になる。」
「なんだ?」
「なんであんたとアタシが『同じ穴のムジナ』
なんだ?」
「・・・お前の目だよ。」
「目だと?」
「ああ・・・似てるよ。俺とお前は。」
「どういうことだよ?」
「・・・わかるよ、いずれ・・・。」
にやりと笑った。
「・・・なんなんだよ・・・。」
「さあ、そろそろ戻るぞ。」
試験を終えた2人は
学園に戻った。