グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
早朝
山
「フフフ・・・山ネ!
クニの言葉で言えば、シャン!」
「ふわあ~。」
小蓮に無理やりたたき起こされ、
連れてこられたロウは大あくびをする。
「ついに来れたネ! 日本の山には
ヤマのように食材が眠ってるネ!」
「うるせえぞ・・・李・・・。」
くそ、コーヒー飲んでねえから
イライラしてきた。
「それは悪かったヨ! それじゃあ、ロウ
ゴー! ・・・あ、ゴーは中国語違うネ。」
「眠い・・・・。」
フラフラしながら
ロウは食材調達に向かった。
<ロウ、小蓮、食材調達中>
「うほー、これはスゴいネ!
あっという間に集まったヨ。」
小蓮の周りには大量の
キノコや山菜が積まれていた。
「・・・ああ・・・そうだな・・・・。」
眠いながらも返す。
・・・・・ん?
「そっちは・・・なんだ、それだけカ?
もっと気合い入れるがヨロシ!」
厳選したと言え・・・。
背中を思い切りたたく。
「いって・・・・。
・・・・ところで、1ついいか?」
「・・・何ネ?」
「そのキノコだとかは全部食えるんだろうな?」
「この世に食べられないものなんかないネ!
この世は全部食材ダヨ!」
「・・・・・例えば、その、
見るからに怪しい紫のキノコもか?」
ひょいとそのキノコを持ち上げる。
まがまがしい雰囲気を感じさせる。
「もちろんネ! これも、これも・・・・
まあ、少し毒あるかもしれないガ、
抜けば平気ネ。」
「・・・・抜ければ、な。」
「まあ、あれネ! ちょっぴり残っても
死んだりはしないヨ。調味料みたいなものネ。」
「料理人にはあるまじきセリフだな。
・・・・・あと1つ。」
「もう、何ネ?」
「・・・俺にはほぼ雑草に見える
その山菜もどきも食えるんだろうな?」
「う~ん・・・日本の野草はあまり
知らないが大丈夫ネ。ワタシの腕に
かかれば極上の料理ヨ!」
「・・・・・。」
だめだ、このままやらせれば
俺の命にかかわる。
そう感じたロウは小蓮の
集めた怪しいキノコや野草を
捨て始める。
「あ!? こ、コラー! なぜ
捨てるネ! ワタシの食材ダヨ!」
ロウの腕をつかんで止めようとする。
しかし、止まらずロウは捨て続ける。
「う、うぅ・・・・酷い。
アナタ、人間じゃないヨ・・・。」
「こんなもん食わせようとしてるやつに
言われるとはな・・・・。」
「ニンジン・・・・ジャガイモ・・・・
確かに食材だが、カレー作れって言ってる
ようなものネ。」
ロウの持ってきたものを
手に取り、ため息をつく。
「それしか食えるものがねえんだ。
諦めろ。ふわあ~あ・・・。」
大あくびをする。
「カレー・・・芸のかけらもないヨ・・・。
ワタシの腕が泣く・・・。・・・・・いや、
こういう時こそ本気を出すヨ!」
一気に気合を入れる。
「カレーでも、極上のカレーにしてみせる!
いや、それもカレーに失礼ネ!
言うなれば、極上のカレー!」
「極上・・・・いいな。」
「みんながひっくり返るような
小蓮咖哩! 作って見せるヨ!
ロウ! すぐに学園に戻るネ!」
そう言って走っていく。
<ロウ、小蓮、学園に戻る>
数十分後
学園
調理室
「できたネ! アッという間ネ!」
小蓮はカレーが入っているであろう
鍋をテーブルにドンと置く。
「とうとうできたか。待ちかねたぞ!」
「フフン・・・では、
試食といくヨロシ。」
カレーを盛り付ける。
「たっぷりあるから、グッと行くネ!
大変美味ヨ!」
「そうか・・・・じゃあ、遠慮なく。」
カレーをスプーンにすくい、
においをかぐ。
「・・・・ん?」
なんだ、このにおい・・・。
「・・・お前、この中になに入れた?」
「気にすることないネ!」
グッと親指を立てる。
「・・・・なら・・・。」
一口口に入れる。
「・・・・!!?」
「・・・うーむ、これはマズいネ・・・。
もしかすると、こっそり入れたあのキノコが・・・。」
「てめ・・・・・やっぱ・・・り・・・・。」
あ・・・やばい・・・・。
「あいやー、なんでもないヨ。
・・・お腹、大丈夫カ? 顔、青いけれど。」
「て・・・め・・・・。」
椅子から崩れ落ちる。
「そういうときはこの漢方薬ネ! 解毒に
滋養強壮にもヨロシ!」
懐から瓶に入った
漢方薬を取り出す。
「これをこうやってゴリゴリ粉にして・・・
さあ、グッといくネ!」
「ああ・・・・。」
粉を強引に受け取り
口に一気に流し込んだ。
「ぐえ・・・ああ・・・!!」
「あ! 水、水飲まないカ!! 粉を
そのまま飲めるわけないネ!
詰まるに決まってるヨ!」
「く・・・そ・・・・・。」
だめだ・・・・意識が・・・・。
ロウは気絶する。
「おろ? お、おい! 起きるネ!」
調理室から飛び出す。
「誰か! 誰かー! ちょっと
こっち来てー!!」
小蓮の叫びがこだました。