グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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珍しくあとがき書きました。


第58話 ロウの苦手なものは?

学園

 

放課後

 

報道部部室

 

「・・・はぁ・・・だめだぁ・・・!」

 

1枚の紙の前で格闘していたのは

報道部部員、岸田夏海だった。

 

「新聞のネタ、ぜんっぜん浮かばない・・・。」

 

頭を抱える。

 

「・・・ダメだ。気分転換しよう・・・・。

 あんぱん買ってくる・・・。」

 

 

 

<夏海、移動中>

 

 

 

購買部

 

「よし、あんぱんゲット!

 ・・・とはいっても・・・・はあ・・・。」

 

大きくため息をつく。

 

「ネタ・・・何か・・・何か・・・・。」

 

「ええと、コーヒー、コーヒー・・・げっ。」

 

「ん・・・ロウ。何よ、『げっ』って。」

 

購買にロウが入る。

 

「お前にあまり信用ねえからだろ。

 ・・・おっ、あったあった。」

 

缶コーヒーを手に取り、

会計を済ませる。

 

「んじゃあな、岸田。」

 

足早に購買を出た。

 

「じゃあねー・・・・・・はっ!

 これだわ!!」

 

夏海の声がこだました。

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

食堂

 

「ロウさんについて・・・?」

 

名案を閃いた夏海は昼休み、

智花と怜を食堂に集めた。

 

「そう! ロウのプロフィール的なことは

 転校早々にやったけど、まだやってない

 ネタがあるのよ!」

 

「? それは・・・・。」

 

2人は合点がいかない。

 

「それは、ロウの苦手なものよ!」

 

「ロウさんの・・・苦手・・・・。」

 

「そういえば、聞いたことがないな。」

 

「今まで誰も聞いたことがない

 『ロウの苦手』を暴く! 特上のネタよ!!」

 

「ふむ・・・しかし・・・・

 どうやって調べるんだ?」

 

「ふふん・・・・すでに決まってるわ。」

 

そう言ってテーブルをドンッと叩く。

 

「放課後、ロウにいろんなことを

 やらせる。たくさん用意してるから

 どれか1つくらいは苦手があるはず!」

 

「結構荒いな・・・・。」

 

「う、うん・・・・。」

 

「というわけで、お願い!

 協力して!」

 

両手を合わせてお願いする。

 

「・・・うん、いいよ。」

 

「まあ・・・悪質な取材を

 しないのなら・・・。」

 

「!! ありがとう!!」

 

 

 

 

 

 

 

放課後

 

「んで? なんだよ、用って。」

 

早速、夏海はロウを呼び出していた。

 

「私が呼ぶってなったら1つしかないでしょ?

 あんたを取材させてほしいのよ!」

 

「取材ぃ? 転校したときに

 簡単な取材は受けてやったろ?」

 

「もっと、もっと深く知りたいって

 意見が多くって・・・。」

 

「よくあそこまでペラペラ・・・。」

 

「あはは・・・。」

 

後ろで聞いている智花と怜は

ひそひそと話す。

 

「はあ・・・・んで?

 何すればいいんだ?」

 

「そうねえ・・・まずは・・・。」

 

 

 

 

美術室

 

「絵か・・・なんでもいいのか?」

 

「なんでもいいわよ~。」

 

「んじゃあ・・・・南か神凪。

 どっちかモデルに・・・。」

 

「「ええ!?」」

 

2人の声が重なる。

 

「どっちでもいいから。早く。」

 

「え、あ、じゃ、じゃあ・・・私が・・・。」

 

智花がロウの前に座る。

 

「よし・・・じゃあ・・・・。」

 

 

 

20分後

 

「よし、できた。」

 

「早いな・・・。」

 

「どれどれ・・・・・・ !?」

 

「これは・・・。」

 

「すごい・・・。」

 

ほぼ正確に智花の特徴を

捉え、綺麗に描かれていた。

 

「どうだ?」

 

「み、見事だ・・・。」

 

「ぐぅ・・・・。」

 

「? なんで悔しそうなんだ? 岸田。」

 

 

 

 

 

剣道場

 

「次は剣道か・・・・で、

 相手は・・・。」

 

「ああ、私だ。よろしく頼む。」

 

ロウと怜が向かい合う。

 

「で、では・・・はじめ!」

 

智花の掛け声が響く。

 

 

 

 

数分後

 

「めーん!!」

 

ロウの竹刀が

怜の面に当たる。

 

「くっ・・・・まいった。」

 

面を外した怜は

汗だくになっていた。

 

「ふぅ・・・久々に

 いい運動だった。」

 

ロウは汗をぬぐう。

 

「剣道も違う・・・。」

 

「何が違うんだ?」

 

「あはは・・・。」

 

 

 

 

 

校庭

 

「次が100メートル走・・・・

 さっきから本当に何がしたんだよ?」

 

「あ、実は・・・・。」

 

智花がロウにひそひそと話す。

 

「・・・なるほど。ネタにされるのは

 癪だが、乗っかるだけのっかってやるか。」

 

「すみません・・・。」

 

「いや、最近いろいろあったしな。

 息抜き程度には・・・。」

 

「ほら、そこ! 早く準備!」

 

「ったく、人が気を使ってやってんのに・・・。」

 

ロウと智花はスタート位置に立つ。

 

「よーい・・・・ドン!」

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ・・・早いですね、ロウさん!」

 

「まあまあだろ。」

 

「ロウの方が少し早かったな。」

 

「うぅ・・・・・。」

 

歯ぎしりする夏海。

 

 

 

 

 

 

その後もロウに様々なことをやらせた。

 

バスケ、柔道、ギター弾き語りなど

きりがないほどやらせたが・・・。

 

「ぜんっぜん、苦手なんかないじゃない・・・。」

 

「まあ、大概のことはそれなりに

 できるからな。」

 

「それ相当すごい事ですけど・・・。」

 

「うぅ・・・・ ! あ、そうだ!」

 

なにか思いついたようだ。

 

「まだ何かあんのか?」

 

「まだ、私の得意分野があった・・・・

 写真よ!」

 

「写真? いいぞ、何をとるんだ?」

 

「ふふふ・・・・私が仕掛けるなら、

 ただの写真じゃないわ・・・!

 撮るのは・・・誰かのオフショット!!」

 

「オフショット・・・。」

 

「時間は30分よ! よーいどん!」

 

一目散に駆け出した。

 

「また夏海は・・・・・。」

 

「さて・・・じゃあ、俺も行くか。」

 

「あ、ロウさん。誰を・・・。」

 

「適当に見つけるよ。」

 

そう言って、ロウも歩き出した。

 

 

 

 

30分後

 

「こういうときだけ、私は

 いい写真が撮れるわ・・・。」

 

ニヤケながらしゃべる。

 

「気味が悪いぞ・・・。」

 

「まったくだ。」

 

「ロウ、のんきにしゃべってるけど

 いい写真撮れたんでしょうね?」

 

「ばっちりだ。」

 

デバイスを操作する。

 

「てか、あんたデバイスで撮ったの?」

 

「これしかカメラがなくてな。」

 

「ロウさんらしいですね。」

 

「・・・まあいいわ。さて、まずは

 私の写真よ!」

 

カメラを操作する。

 

「さぁ・・・私の1枚は・・・これよ!!」

 

カメラを3人に見せる。

 

「む、これは・・・・。」

 

夏海が見せたのは

風紀委員長の水無月風子の

寝ている姿だった。

 

「よく撮ってこれたな。」

 

「ふふん、たまたま撮れたのよ。」

 

誇らしげに鼻をこする。

 

後でどうなることやら・・・。

 

「さぁて、じゃあロウの写真も

 見せてもらおうじゃない。」

 

ドヤ顔で迫る。

 

「まあ、そうあわてるな。

 風紀委員長の写真とは恐れ入ったが

 俺はさらにその上をいく。」

 

「?」

 

「・・・これだ!」

 

デバイスを3人に向ける。

 

「・・・!! こ、これは・・・!」

 

「ロウさん・・・・。」

 

デバイスに移っていたのは

生徒会長、武田虎千代がなぜか

花の冠をつけて寝ている姿だった。

 

「そ、そんな・・・・。」

 

夏海が膝から崩れ落ちる。

 

「しかし、なぜ冠を・・・?」

 

「ああ、近くに仲月がいてな。

 あいつが作ってた。」

 

「やーっと、見つけましたよ?」

 

「げっ!?」

 

夏海の後ろに風子が立っていた。

 

「ちょっと風紀委員室まで

 来てもらいましょーか。」

 

風子は夏海の襟をつかむ。

 

「え、ちょ、た、助け・・・!」

 

「じゃあな、岸田。お前のことは

 決して忘れいない(棒読み)」

 

「そ、そんなー!」

 

夏海は風子に引きずられていった。

 

 

 

 

 

 

廊下

 

「それにしても、すごいですね!

 ロウさん!」

 

「そうでもないだろ。」

 

「ここまでできるともはや

 気味が悪いが・・・・。」

 

「そこまで言うかよ・・・・・。」

 

途中、怜と別れ、

ロウと智花は教室に戻ろうとしていた。

 

「ところで、なんで教室に戻るんですか?」

 

「単純に財布忘れたんだ。」

 

教室の前に着くと

なにやら騒ぎ声が聞こえる。

 

「? 何かあったんですかね?」

 

教室から出てきた生徒に

事情を聞いた。

 

「・・・え? ゴキブリ?」

 

「!!」

 

ロウの体が一瞬ぶるっと震える。

 

「なら、ロウさんが・・・・あれ?」

 

いつの間にか、ロウは

教室から距離をとっていた。

 

「あ、あの、ロウさん?」

 

「すまん・・・・ゴキブリだけは

 勘弁してくれ・・・・。」

 

「・・・・ええ!?」

 

智花にロウがゴキブリが苦手なのが

発覚したが、ロウにとって幸運にも

記事にはならなかった。




「でも、どうしてゴキブリが苦手
 なんですか?」

「ああ・・・・昔、寝てた時に
 顔の上に何か乗ってな・・・。」

「・・・・え?」

「大口開けたときには
 いつの間にか消えていた。あとで
 聞いたら、ゴキブリが乗ってたらしい。」

「ま、まさか・・・・。」

「ああ・・・どうにも飲み込ん」

「も、もう言わないでください~!!」
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