グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第63話 風紀委員の罰

学園

 

「あ、あなたたち! 2人きりで

 何をしているのですか!」

 

紗妃が大きな声でロウとももを注意する。

 

「ん? なんだ、氷川か。」

 

「なんだではありません!

 桃世さんも離れなさい!」

 

「せ、先輩は私が転びそうになったのを

 支えただけで・・・・・!」

 

「ああ、いいいい。俺を取り締まるんだろ?」

 

「え・・・は、はい!

 当然です!」

 

そう言いながら、ロウを

引っ張る。

 

「おい、へんなとこ引っ張るなよ。」

 

「いいから早く来なさい!」

 

「先輩・・・・。」

 

ももは心配そうな目で

2人を見た。

 

 

 

<ロウ、紗妃、移動中>

 

 

 

風紀委員室

 

連行されたロウは

始末書をびっしりと書かされていた。

 

「それにしてもロウさん。」

 

「ん?」

 

「今回はやけに素直に従いましたね。」

 

「そうか?」

 

「いつもはすぐに逃げられてましたからね。

 とうとう反省するようになりましたか。」

 

「いいや。」

 

「・・・え?」

 

素っ頓狂な声を上げる。

 

「このまま追われるのも面倒だからな。

 だからとりあえず、今回はおとなしく

 連行されたってわけだ。」

 

「く・・・! あなたという人は・・・!」

 

「さて、始末書は書き上げた。

 俺はもう帰るぞ。」

 

立ち上がり、ロウは

帰ろうとする。

 

「・・・・お待ちなさい!」

 

「!? 急に大声あげんなよ・・・。」

 

「不純異性交遊の処罰は厳しいのです。

 これだけで終わるわけではありません。」

 

「はあ・・・・。」

 

ちっ、今回も逃げればよかった。

 

心の中で舌打ちする。

 

「で? なにすればいいんだ?」

 

「罰として、学園への奉仕を。

 風紀委員の仕事を手伝ってください。」

 

「げっ、めんどくせ・・・。」

 

「何か言いましたか?」

 

「いいや? 何も?」

 

「とにかく、時間厳守ですので。

 絶対遅刻しないよう、お願いしますね。」

 

にこりと笑った。

 

 

 

 

 

 

 

放課後

 

 

「ああ~・・・めんどくせぇ~。」

 

だるそうに歩く。

 

「もう! 男ならシャキシャキと歩きなさい!

 みっともない。ほら、もっと速く!」

 

「元々この仕事自体にやる気がないんだ。

 しょうがないだろ。」

 

「まったく・・・。いいですか?

 風紀委員の仕事は学び舎という神聖な場所を

 神聖に保つ、貴いものなのです!」

 

「へぇ・・・。」

 

適当に返事する。

 

「そのため、学園を離れる時間を減らしたいので

 2人で行くのです。・・・あっ、

 ちょっと待ってください。」

 

「どうした。」

 

「ロウさん、いつの間にか襟が

 よれてますよ。・・・少し、じっとしてなさい。」

 

かがんで、ロウの襟を直す。

 

「学園の生徒として、恥のないふるまいを

 よろしくお願いしますよ。んっと・・・

 これでいいでしょう。」

 

「悪いな。」

 

「いえ、お気になさらず。

 ほら、見えてきましたよ。あのお店です。」

 

目の前の店を指さす。

 

とっとと終わらすか。

 

 

 

 

 

 

数十分後

 

その後もロウと紗妃は

生徒が寄りそうな店を何件もまわっていた。

 

「よくぞついてこれました。

 こうやって学園のために働くのはいいことです。」

 

「面倒だったけどな。」

 

「はあ、あなたは相変わらずですか・・・。

 まあ、いいでしょう。では、少し待っていてください。」

 

「?」

 

 

 

 

 

 

 

5分後

 

「お待たせしました。

 感謝のしるしにこちらをどうぞ。」

 

「これは?」

 

「スコーンです。来客用のものですが

 一つくらいはよいでしょう。

 おいしいですよ。」

 

1つ手渡す。

 

「にしても、おまえからそんなことを

 言われるとはな。」

 

「わ、私だって鬼ではありません。罰とはいえ

 ご協力いただいたのですから。見損なわないで

 ください。」

 

「ああ、もう少しで見損なうとこだった。」

 

「ぐ・・・。その減らず口、どうにか

 ならないのですか?」

 

「ずいぶん言ってくれるな。

 ・・・てか、もう終わったろ。とっとと

 帰るぞ。」

 

「・・・そうですね、戻りましょうか。

 放課後とはいえ、油断できません。むしろ

 気が緩んだ生徒たちの違反が増えますからね。」

 

こうして、2人は学園に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

「・・・なんか騒がしいな・・・。」

 

張り出された新聞の前で

生徒たちが騒いでいた。

 

「あっ! ろ、ロウさん!」

 

紗妃が駆け寄ってくる。

 

「氷川か。なんだ、この騒ぎ。」

 

「じ、実は昨日の私たちのことが・・・・

 それも、あろうことかデートなどと・・・!」

 

「? デート? なんで俺とお前が・・・。」

 

「遊佐鳴子のせいですよ!」

 

「遊佐? あいつめ・・・。」

 

「校内の連絡媒体として運用されねば

 ならない新聞を、あのような・・・!」

 

怒りで拳を握りしめる。

 

「許せません! 絶対に! 反省文すら

 生ぬるい! 懲罰房です!」

 

思えば、懲罰房ってどこにあるんだ?

一通り探したが見つからねえし・・・。

 

「ロウさん! 何ぼぉっとしているのですか!

 ご協力いただけますね!」

 

「ん、ああ、協力する。」

 

「結構! 相手は忍者だとお考え下さい!

 作戦を練ります! ・・・・・ところで」

 

「なんだ?」

 

「これは、念のためなのですが・・・・・

 まさか、遊佐と通じてたり・・・しませんよね?」

 

疑いの目で見る。

 

「それは問題ない。特別仲がいいって

 わけでもねえしな。」

 

「・・・信じてますよ。私はあなたが

 更生したものと考えていますが。」

 

「そう思うのならとっとと行くぞ。

 氷川。」

 

ロウは歩き出す。

 

「あっ、待ってください!」

 

その後、結局鳴子は

見つからなかった。

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