グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
学園
この日の学園は生徒全員に
緊張が走っていた。
「・・・・くそ、なんなんだよ一体・・・。」
「諦めろ、来栖。クエストが来たんだ。
しょうがない。」
ロウと焔はクエストに向かおうとしていた。
「にしたって、なんでこの日なんだよ。」
この日は人類が壊滅状態に
陥った第8次侵攻が起きた日だった。
「執行部の言い分としては、
『グリモアが第8次侵攻を想定し、
厳戒態勢でも全世界がそうでない以上、
クエスト発令は行われる』・・・って話だ。」
「ちっ・・・さっさと行って
とっとと帰るぞ。侵攻に間に合えば問題ない。
そうだろ?」
「・・・珍しく同意見だ。・・・行くぞ。」
<ロウ、焔、移動中>
洞窟
「にしても、なんでお前とクエストなんだ?
まさか、指名か?」
「んなことしてねえよ。勝手に組まされたんだ。
精鋭部隊が下部組織だからって好き勝手命令
してきてるんだよ。」
いらだちながら答える。
「強制だからな。めんどくせえ・・・。」
「よくやめねえな。」
「・・・辞める気はねえよ。レベルの高い魔物と
戦うには精鋭部隊がいいんだ。めんどくさくてもな。
てか、あんたの方こそよくクエストに出てるじゃねえか。
なんかあんのか? 戦う理由・・・。」
「別に魔物に理由があるわけじゃない。
ただ俺の邪魔をするならそれをどかすだけだ。
俺より、お前の方があるんじゃないのか?」
「・・・アタシの理由がなんだっていいだろ。
ただ戦えるくらいの力がほしいんだ。1人で
タイコンデロガを倒せるくらいの・・・!」
「まあ、別に興味はないが・・・・ !
来たか。」
蜘蛛の魔物の存在を確認し、
刀を構える。
「あんたは黙って見ときな。こんなクエストの
雑魚くらいどうってことねえよ。」
「そうか、じゃあ遠慮なく。」
ロウは近くの岩に腰掛ける。
「きっちり燃やしてやる。くらいやがれ!!」
周りに炎を出現させ、
魔物にぶつける。
半分ほど燃えたが
まだ霧散しない。
「ちぃ・・・! なら、これで!!」
魔物の攻撃とほぼ同時に炎を浴びせる。
「くそ、いって・・・。」
魔物の攻撃が焔の腕に
僅かにかすっていた。
「・・・見せて見ろ。」
腕を無理やりとり、
傷を確認する。
「なんでもねえよ、ただのかすり傷だ。
あ、お、おい!」
焔の言葉を無視し、治療を始める。
「手当なんか誰になら・・・そうか、
椎名か・・・。」
「まあ見様見真似だがな。それに、確かに
この程度なら戦えばいくらでもできる。」
「・・・だったら」
「が、お前が勝手に魔物と戦うなら
俺は勝手に治療をする。これであいこ。
文句ないだろ?」
「・・・ちっ!」
言い返せず、舌打ちする。
「・・・おい、来栖。そろそろ
休憩するぞ。」
「休憩? んなもんいらねえよ!
さっきから何度も・・・! さっさと
やって終わらせたいんだよ!」
いらだちを見せる。
「だが、お前は魔力の回復をしていない。
下手すれば、一気に尽きる。」
「・・・くそ、どいつもこいつも・・・・
そんなにアタシが弱く見えるかよ!」
「ああ、見える。」
「・・・てめえ・・・・!!」
ロウの胸ぐらをつかむ。
「前に一度言ったな。俺とお前は
同じ穴のムジナだと。だが、どうやら俺が
間違ってたようだ。」
「なんだと・・・!?」
「俺とお前は決定的に違うものがある。」
「決定的に違うもの・・・? くそ、
バカにしやがって!! ちくしょう・・・
生天目くらい強けりゃこんな思いしなくて
済んだんだ・・・!」
洞窟の壁を殴る。
「・・・1人で行く。ついてくんな。
こんなクエスト、1人でやれなきゃだめだ。」
ブツブツ言いながら、
先に進もうとする。
その時、今までに現れた魔物より
数倍大きい魔物が現れる。
「! こいつは・・・。」
「ボスか。さっきも言ったが、あんたは
黙ってみてろ。行くぞ!」
焔はボスの前に対峙する。
すると、魔物は天井をも移動し、
糸を発射し、それを焔の手首に巻き付けた。
「!?」
魔物によって一気に空中に
上げられる。
「くそ!」
抵抗し、糸をほどこうとするが
硬いためほどけない。
焔は炎を放つが、魔物はそれをかわす。
魔物をは焔をそのまま
地面にたたきつける。
「ぐあぁ!!」
受け身をとれず、直撃する。
「くそ・・・・うぁ!?」
糸がほどけておらず、
焔は再び空中に持ち上げられる。
「は、離せ!!」
炎を浴びせようとしたが
魔物が焔を振り回したため、
方向が逸れ、魔物に当たらなかった。
「おーい、まだ助けなくていいのか~?」
いじわるそうに笑う。
「く・・・! た、たすけて
くれ・・・。」
「・・・いやだめだ。」
「ああ!?」
「こう言ってみろ。『神様ロウ様。
お願いします。この愚かで無能な私を
どうかお助けください。お願いします。』
って言えば助けてやる。」
「ふざけんな! なんでそんな・・・ぐあああ!!」
再び地面にたたきつけられる。
「ぐ・・・くそぉ・・・・・。
・・・か、神様ロウ、様。お、お願いします。
この、愚かでむ、無能な私をどうか、お助けください。
お、お願いします・・・。」
途切れながら、悔しそうに言う。
「・・・言ったぞ。だから・・・うああぁ!!」
魔物によって、洞窟の奥に
投げ飛ばされた。
「・・・さて、行くか。」
ロウの目が鋭くなる。
洞窟 奥
「く・・・・こ、このままじゃ・・・。」
倒れている焔の前には
魔物が徐々に接近していた。
「『ROOM』!」
青いドームが発生する。
「!!」
「『
魔物の足を全て体から切り離し、
体を半分に切り裂いた。
「あ、あんた・・・。」
「ちゃんと言ったからな。ほれ。」
デバイスを操作する。
『・・・か、神様ロウ、様。お、お願いします』
「な、何録音してやがる!!」
「そのために言わせたに決まってんだろ。」
「く・・・!。」
そっぽを向く。
「てか油断するな。まだ魔物は霧散してないからな。」
「わかってるっつの・・・!
くらいやがれ!!」
炎を出そうとするが、ろうそく程度の
火しか出なかった。
「それ見たことか。」
「・・・・・頼む。・・・魔力を
補給してくれ。」
「・・・次に組む時は俺の指示に従ってもらう。
いいな?」
「・・・・くそ。ああ、わかったよ。
次は従う。だから、頼む・・・。」
「・・・・・。」
ゆっくり目を瞑り、焔に
魔力を送る。
「・・・これで・・・終わりだぁ!!」
巨大な炎の球体を作り、
魔物にぶつけた。
魔物はうめき声をあげ、霧散した。
「・・・礼は言わねえぞ。けど、
なんで助けたんだ? ・・・結局、
1人で強くなれねえってことかよ・・・。」
「1人の力なんざたかが知れてる。天才でも
なんでもない奴は数をそろえるか、味方を頼るしかない。」
「・・・そういうもんなのか・・・。」
「そういうもんだ。・・・さて、とっとと
戻るぞ。侵攻が気になる。」
<ロウ、焔、移動中>
学園 食堂
報告を終えたロウと焔は
遅めの夕飯を食べていた。
「結局、第8次侵攻の時間は過ぎてたな。」
「けど、まだ数時間はある。アタシは
精鋭部隊と一緒に待機だ。んじゃあな。」
そう言って、食堂を出た。
「・・・・・さて、俺も出るか。」
ロウも寮へ戻った。
深夜11時59分
ロウの部屋
「・・・そろそろ日付が変わるか。」
時計を何度も確認する。
「5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・。」
この瞬間、日付が変わる。
「・・・何も起きず、か・・・。」
ロウはベッドに入り、
すぐに寝入った。