グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

76 / 337
第72話 体験

廊下

 

「あっ! いましたいました~。

 ロウさ~ん!」

 

「? 海老名か。どうした?」

 

帰ろうとしていたロウは

あやせに呼び止められた。

 

「こんにちは~。」

 

「はい、こんにちは。」

 

「実はですねぇ、少しだけお時間を

 いただけないかと思いまして・・・。」

 

「なんかあるのか?」

 

「えと・・・実は、恋愛相談にのって

 いただきたくて・・・・・。」

 

「・・・恋愛相談? お前のか?」

 

「あ、いえ、私ではなくて別の方の

 恋愛相談なんですけど・・・。」

 

「お前がすればいいだろ。俺は

 そういうことに関しては専門外だ。」

 

できないという感じで手を仰ぐ。

 

「その、私では的確なアドバイスが

 できそうにないので、男性の方の意見が

 聞きたいなぁ・・・と思いまして。」

 

「それにしたって、なんで俺なんだよ。」

 

「だって歓談部の部活中、エミリアちゃんや

 アイラちゃん、ずぅっと話してますよ?」

 

「・・・俺をか?」

 

「そうですよ~、それも、とびっきりの

 笑顔で~。」

 

「あいつらがねぇ・・・。」

 

「あの2人に認められるんですもの、

 絶対に的確なアドバイスができます。」

 

「・・・・・はあ、わかったよ。

 話聞くくらいはしてやる。」

 

「! ありがとうございます~。」

 

 

 

 

 

 

数分後

 

「だめだ、手に負えねえ。」

 

「いえ、あなたのせいではないです!」

 

「だろうな。二股してるかも・・・って

 俺、一切経験ねえんだよ。」

 

何も言うことねえっての・・・。

 

「うぅ・・・私も、恋愛経験は

 ないものですから・・・。」

 

「お前もかよ。」

 

「はい、恋愛のこと、わからないんです・・・

 はあ・・・どうしましょう・・・。」

 

「・・・って、言われたところでなぁ。」

 

「・・・・あっ!!」

 

何かを思いつき、手をポンとたたく。

 

「私、いいことを思いつきました~!」

 

「なんだ?」

 

「恋愛の経験がないのなら、恋愛の

 経験を積めばいいんです!」

 

「・・・なるほど。」

 

何回かうなずく。

 

「しかし、ずいぶん簡単に言うな。

 いるのか? そういうやつが。」

 

「あ、いえいえ! 実際に彼氏なんて

 作りませんし、作れませんよ~!」

 

首を横に振って否定する。

 

「んじゃあ、どうするんだ?」

 

「・・・なんと、いいますか・・・

 あなたにお願いできないかなー・・・と、

 思ってるんです。」

 

「・・・・・はぁ?」

 

素っ頓狂な声を上げる。

 

「私の、彼氏になってくださいませんか?

 その・・・少しの間だけで、かまわないので・・・・。」

 

「わざわざ俺を選ぶとはな・・・・

 だが、さっきも言ったが、俺も

 そういう経験はねえぞ?」

 

「え? それは私も一緒ですよ~?

 なら、一緒に経験してみるというのも・・・。」

 

「・・・一理あるな。」

 

あっという間に納得した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロウはあやせとの待ち合わせの場所に

向かっていた。

 

「・・・ああ、いたいた。

 待たせたか?」

 

「いえ、私も今来たところですよ♪」

 

2人は私服に着替えており、

ロウはワイシャツ、黒のベストとズボンと

なっていた。

 

「こう言うと男性は嬉しいらしいんですよ~?

 私、きちんと勉強してきましたから!」

 

「そういうもんか。」

 

「それに・・・ふふ、ロウさん。

 私服姿も似合ってますよ。」

 

「そうか・・・・。・・・・ああっと、

 そっちも似合ってる。」

 

「私も、ですか? そう言っていただけると

 嬉しいですね。」

 

そう言うと、あやせは

ロウの手を握る。

 

「?」

 

「それでは、行きましょうか~。

 私たちの、初デートに♪」

 

 

 

 

<ロウ、あやせ、移動中>

 

 

 

「にしても、こういう時は

 どこ行けばいいんだ?」

 

「そうですねぇ~・・・・あっ!

 あそこなんてどうでしょう~?」

 

「ん?」

 

あやせが指さしたのは

ゲームセンターだった。

 

「・・・まあ、そこにするか。」

 

 

 

 

ゲームセンター

 

「へ~、結構広いんですねぇ~。」

 

「俺は何度か来てる。

 ・・・あれはどうだ?」

 

クレーンゲームを指さす。

 

「いいですねぇ。あっ、私、あの

 ぬいぐるみがほしいです!」

 

中に入っていた

猫のぬいぐるみだ。

 

「よし、やってみるか。」

 

財布から100円玉を

投入し、クレーンを操作する。

 

「・・・あ、もう少し

 右なのでは・・・。」

 

「いや、これでいい。」

 

そう言って、ボタンを押す。

アームが人形のタグをひっかけ、

見事にとる。

 

「ほれ、とれたぞ。」

 

人形を投げ渡す。

 

「うふふ、ありがとうございます♪」

 

「・・・さて、次はどうする?」

 

「そうですねぇ・・・。」

 

 

 

 

 

 

その後も2人はゲームや

食事などを楽しんだ。

 

夕方

 

校門前

 

「ふぅ、今日は楽しかったです~。

 これもロウさんのおかげですね♪」

 

「別に大したことはしてないだろ。」

 

「いえ、おかげでいろいろと恋愛に

 ついてわかってきた気がします。」

 

「・・・俺はそうでもないが。」

 

「好きな人と一緒にいれば、いろいろなことが

 楽しいと思える・・・・これが・・・・

 デート・・・。」

 

あやせは少し顔を赤くする。

 

「? どうした?」

 

「いえいえ、デートとは楽しいものだなぁと

 改めて実感していただけですよ。今日は

 ありがとうございました~、とても

 楽しかったです~。」

 

ぺこりと頭を下げる。

 

「でもこれで私たちの恋人関係も終わりですね。

 少しだけという約束でしたし・・・。」

 

すこし残念そうな顔をする。

 

「まあ、役に立ったならそれでいい。」

 

「・・・ふふふ。」

 

「・・・なに急に笑ってんだよ。」

 

「ロウさん、私たちが最初にあったとき

 私が言ったこと、覚えてますか?」

 

「最初に会ったとき・・・?」

 

「『みんな、あなたを頼りにしている』という

 話です。」

 

「・・・ああ、そういやそんな話したな。」

 

「今日、やっぱりあれは間違いでは

 なかったな~と思いました。・・・私は

 あなたのことをとても頼りにしていますから。」

 

にっこりと笑う。

 

「だから、あなたも私のことを

 頼りにしていいんですよ? ・・・ですから」

 

「ん?」

 

「絶対に、この学園からいなくなっては

 いけませんよ?」

 

「・・・なんで急にそんな話したんだ?」

 

「・・・いえ、なんでかわかりませんけど

 ロウさんが急にいなくなってしまいそうな・・・

 そんな・・・予感が・・・。」

 

「西原みたいなこと言うな・・・・。

 まあ、そうそう消えることはねえよ。」

 

「はぁ・・・よかったです~。」

 

「もう行っていいか?」

 

「はい♪ では、また明日~。」

 

「ああ。」

 

ロウは寮に戻る。

 

・・・俺が消える・・・か。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。