グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
校門前
「おはようございます、ロウ様。」
「ん、ディオールか。」
シャルロットはゆっくりとお辞儀する。
「今回のクエストは、よろしくお願いします。」
「今回はお前とか。勧誘と歓談部以外じゃ
あんまり会わないしな。」
「そうですね・・・ですが、今回は
学園のクエストではなく、ヴィアンネから
発令されたクエストなのです。」
「ヴィアンネ?」
「説明いたします。まず、ヴィアンネ教司会
というものですが・・・ジャン=マリー・ヴィアンネ司祭に
よって創始された魔法使いの機関です。」
「へえ・・・。」
あまり聞いたことはないがな・・・。
「困っている人々の元へと使途を派遣し、
魔物を退治するのが使命ですが、近年は
魔法学園に常駐するようになりました。」
「常駐・・・おっさんみてえだな・・・。」
ぼそっと言う。
「クエストを受けて魔物を退治するのは
変わりませんが、禍々しい魔物が現れた場合、
わたくしたち使徒が相手を務めます。」
「禍々しいねえ・・・。」
「そして、今回の魔物も悪魔のごとき
禍々しさだと聞いております。」
「なるほど、だいたいわかった。」
「よろしくお願いします。それに、
お話したいこともあるものですから。」
「話したい事?」
「それについては追々お話いたします。
では、まいりましょう。」
「ああ。」
<ロウ、シャルロット、移動中>
「では、今回の魔物を見ておきましょうか。
こちらは・・・。」
デバイスを取り出し、
魔物の情報を表示する。
「なんだこりゃ。」
魔物の姿は黒い球体に星の
マークが描かれている。
「いわゆる、悪魔と称される型の
魔物ですね。」
「ずいぶんとファンキーな悪魔だな。」
「これでもヨーロッパでは比較的ポピュラーな
魔物の一種です。それほど強いわけでも
ありませんが、侮るのも危険・・・全力で
消滅せしめましょう。」
「まあ、魔物であるなら消滅させる。
・・・・っと、さっそく出たか。」
情報通りの姿をした魔物が
2体現れる。
「では・・・」
シャルロットは銃を取り出す。
「武器は銃か・・・。」
「消え去りなさい!!」
銃から細い光の弾が発射される。
弾は魔物を貫通し、霧散させる。
「一発かよ・・・。」
「では、もう1体も・・・。」
シャルロットが攻撃を仕掛けようとした
瞬間、魔物の星の模様から
強烈な光が放射される。
「あぁ!?」
「くっ!」
直接見てしまい、シャルロットは
目をつぶる。
「うぅ・・・。!? これは・・・。」
目を開けるが、視界は
真っ白な景色が映るだけだった。
「目が・・・。」
かがんだシャルロットに魔物が
襲い掛かる。
「『ROOM』!」
青いサークルを発生させる。
「『ラジオナイフ』!」
魔物を切り裂き、霧散させる。
「よし。」
刀を鞘にしまう。
「ろ、ロウ様・・・? なぜ
見えて・・・?」
「ん? 俺はこれしてるしな。
サングラス。」
そう言って、サングラスを指さす。
「なるほど・・・・。」
ふらふらしながら
シャルロットは立ち上がる。
「大丈夫か? 少し見せろ。」
シャルロットの目を開けさせる。
「す、すみません・・・。」
「・・・これは・・・問題なさそうだが
あと10分くらいはまだ見えねえだろうな。
歩くときは俺が引っ張る。」
「ありがとうございます。」
ロウはシャルロットの両手を握る。
「はっ!?」
「? どうした?」
「あ、いえ、なんでありません・・・・
それでは、お願いします。」
「よし、行くぞ・・・ああ、
次の一歩は気を付けろ。滑るぞ。」
<ロウ、シャルロット、移動中>
10分後
シャルロットの視界が
完全に晴れていた。
「本当にこの時間で・・・・・。」
「おお、治ったか。
にしても、魔物のほうはすっかり姿を
見せなくなった。」
「時間を稼ぐつもりなのでしょうか・・・?」
「どうだろうな? だが、少しずつ
暗くなってきた。クエストに出たのが
少し遅かったしな。」
「夜は魔物の時間といいます。
急いで終わらせましょう。まだ
ボスが残っているはず。」
目を少しこする。
「しかし、心配はいりませんよ。神の
御力はあらゆる闇を照らし出します。」
神ねえ・・・。
「まあ、その辺は頼りにしている。」
「ええ。わたくしが神と共にある限り、
そのわたくしがあなた様と共にある限り
・・・・・勝利は約束されています。」
「そうか。・・・・・・!!」
ロウは何かの気配を感じる。
「来たか・・・。」
「ええ・・・。」
2人は攻撃に備えて身構える。
「・・・・!」
どこかから黒いビームが発射され、
ロウは飛んでよける。
「なに!?」
飛んだロウに小型の魔物が突進する。
「ちっ・・・!」
すれすれでどうにかかわす。
「『ROOM』!」
「はぁ!!」
シャルロットは光の銃弾を放つ。
魔物数体を貫き、霧散させる。
しかし、また別の場所から
魔物が現れる。
「『
思い切り、刀を振り、一気に魔物を霧散させる。
「ったく、わらわらわきやがって・・・・。」
「ならば・・・・わたくしが
一気に消して見せましょう。」
「なに?」
「先ほどの戦闘ではご迷惑をおかけしましたので
それに報いるためです。ですが・・・・
魔力の補給のほうをお願いいただけますか?」
そう言うと、2丁の銃を空に向ける。
「ああ、わかった。これ全部倒すならな。」
ロウは目をつぶり、シャルロットに
魔力を送る。
「行きます・・・! これで、終わりなさい!!」
空に向けて、大量の光の弾を発射する。
弾はやがて、地上の魔物すべてを
貫く。残りの弾はすべて魔物のボスに向かい
ボスはうめき声をあげながら霧散する。
「すげ・・・・。」
思わず、ロウは声に出す。
「ふぅ・・・。」
若干、汗をかきその場に座り込む。
「やはり、疲れます。・・・ですが、これで
クエストは終わりです。・・・そうです!」
「なんだ急に?」
「実はクエストが終わったら、あなた様を
ご招待したいと思っていたのです。」
「招待? 勧誘の間違いだろ?」
「いえ、使徒でなくともともに戦った方を
慰撫するのは使徒の役目でございます。
教会が不安であれば、歓談部の部室でも
結構ですよ?」
「・・・はあ、わかった。勧誘じゃねえなら
行く。ただし、行くだけだ。」
「ああ・・・ありがとうございます。」
「んじゃあ、学園に戻るぞ。」
「・・・はい、戻りましょう。」
2人は報告のため、学園に戻った。