グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
学園
歓談部部室
この日、ロウはシャルロットに
呼ばれ、歓談部に来ていた。
「主よ、あなたの慈しみに感謝して
この食事をいただきます。用意されたものを
祝福し、わたくしどもの心と体を支える糧としてください。」
祈りながら話す
「・・・・・終わったか?」
「・・・ええ。」
ロウの言葉に少しいらっとしたようだ。
「・・・さあ、どうぞお召し上がりください。
温かいお茶とお煎餅です。」
「んじゃあ、遠慮なく。」
お茶を少し飲み、煎餅を1枚食べる。
「こちらは歓談部御用達の品ですから、きっと
おいしいはずですわ。では、わたくしも
失礼して・・・・・。」
シャルロットもお茶を少し飲む。
「はあ・・・こうした時間は心安らぐ
一時ですね。」
「まあ、否定はできないな。」
「場が和むことによってあなた様も
話しやすくなることでしょう。」
「んで、何の用で呼び出したんだ?」
「こうしたのは、ほかでもありません。
あなた様のお考えを聞くためですわ。」
「・・・あの話か。」
ため息をつく。
「その後、いかがでしょうか。」
そう言って、シャルロットは
ロウの手を握る。
「ロウ様も我らが主の教えに従い、
尊きこの道を進みましょう。」
「・・・・・・。」
「さあ、わたくしと共に・・・・。
・・・・はっ!」
急いでシャルロットはロウの手をはなす。
「どうした?」
「いえ、できれば、あなた様からの
言葉を聞きたいと思いまして・・・。」
「・・・じゃあ、言わせてもらう。」
「・・・はい。」
「・・・・・・・まっぴらごめんだ。」
「え?」
驚いた声を出す。
「俺はお前に最初に言ったはずだ。
俺は無神論者だ。」
「・・・なぜ、ですか? なぜそこまで・・・。」
「・・・・・みが。」
「?」
「・・・・・もし、神なんてのが
この世界にいるとするのなら、人々を
平等にしたっていいはずだ。」
「・・・ロウ、様・・・・・?」
「いいか、ディオール。神なんて存在しない。
断言してやる。」
「・・・・・そ、それは・・・。」
「俺は神なんてものに頼る気も祈る気もねえ。
次からこんな話は2度とするな。」
今までに見せたことない顔でにらむ。
「は、はあ・・・・。しかし、
ここまでの拒絶・・・。一体、何が
あったのですか?」
「・・・神なら、人々を平等にしたっていい。
そう言ったな?」
「はい。」
「俺は・・・・他の奴らにはあるものを
一切合切奪われた。」
「? ど、どういう・・・。」
「これ以上は言わん。知りたきゃ、お前が
調べろ。」
ロウは立ち上がる。
「お待ちください。」
「はあ・・・まだ何か用か?」
「・・・はい、あなた様だからこそ、
打ち明けられることが。」
「・・・なんだ。」
椅子に座りなおす。
「わたくしがここに派遣されたのは、
理由があるのです。」
「理由?」
「たった1人の少女のために。」
「・・・誰だ。」
「・・・来栖焔。」
「来栖だと? どういうことだ。」
「お話はできません。教司会から固く
止められているのです。ただし、これだけは
お伝えしたのです。」
「・・・・・。」
ロウは少し冷めたお茶を飲む。
「彼女の境遇は、家族が殺されたというような
それだけでは到底語りつくせないことだと。」
「・・・そこまで、なのか?」
「はい。・・・盛山研究所。おそらく、
宍戸さんも知らないはず。」
「・・・盛山、研究所。」
「このことはあまり他言されないように。
ロウ様だから、お伝えしました。」
「・・・そうか。」
「彼女にどうか、人らしい人生を・・・・・。」
手を合わせる。
・・・人、らしい?
「それと・・・。」
「ん?」
「あなた様の過去・・・・いつか、
お話してくださいますか?」
穏やかな笑みを浮かべる。
「・・・・・いつか、な。」
そう言って、ロウは
残りのお茶を飲み、歓談部の部室をでた。
<ロウ、移動中>
寮 ロウの部屋
「・・・うん、やっぱり
出てくるわけねえか。」
あの後、ロウは盛山研究所に
ついて調べたが、一切の情報が出てこなかった。
「しかし、ここまで出ないと
余計きな臭いな。」
デバイスを手に取り、
義人に電話をかける。
『ロウか、どうした?』
「おっさん、俺が今からいうことは
あまり人に言うなよ。」
『俺が漏らしたことあるかよ。
・・・んで、なんだ?』
「調べてほしいことがある。
警察にあるかどうかは微妙だが。」
『なんだ?』
「盛山研究所という場所を調べてほしい。」
『盛山研究所? ・・・聞いたことねえな。
そこに何かあるのか?』
「あるかどうかはわからねえが、
調べても一切の情報が手に入らなかった。
執行部のデータベースはガードが固くてな。」
『おいおい、ハッキングかよ?
まあ、いい。調べておくが、時間かかるぞ?』
「それでもいい。頼む。」
『ああ、わかった。じゃあな。』
通話を切る。
「・・・さて、どうなるか。」
ピピピピピ!
「ん? ・・・クエスト?
・・・来栖とか。」
デバイスにクエストの知らせが入る。
「・・・明日。ずいぶん急だな。
ひとまず、来栖に会うか。」
<ロウ、移動中>
訓練所
「ああ、いたいた。おい、来栖。」
訓練所の焔に声をかける。
「・・・アンタ、戻ってきてたのか。」
「少し前にな。」
「・・・・・あ、あと」
「ん?」
「これまでのこと、わ、悪かった。」
ぎこちなさそうに頭を下げる。
「今更だな。・・・んで、
あのクエスト、請けるのか?」
「・・・ああ、請けたよ。それに・・・
精鋭部隊やめた、ってかやめさせられた。」
「そうか。」
「・・・頼む。アンタも一応請けてくれ。
クエストは最低2人だからな。」
「俺が請けなきゃ、敵討ちが
できないからか?」
「・・・・・ああそうだよ。
デバイスで請けてくれれば出発点に
いればいい。そしたらアタシは勝手に
戦いに行く。それだけだ。」
「なるほど。・・・わかった。請けてやる。」
「!? ・・・いいのか?」
「今更何言ってやがる。」
「・・・悪いな。最後の最後まで
自分勝手で。・・・けど、1人で、やらせてくれ。」
そう言った焔の目には強い決意が
あらわれていた。