グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
県道707号
「ここがか・・・。」
ロウの前には
深い森が広がっていた。
「・・・・・アンタはここにいろ。」
「ああ?」
「あとはアタシがやるから。」
そう言って、焔は
森の中に入ろうとする。
「んで、どうするんだ?」
言葉を聞かず、ロウは後ろをついていく。
「来んなっつったろ!」
「なんで俺がお前の指図受けなきゃ
いけねえんだよ。」
「はぁ!? だいたい、ついてきて
何すんだよ! あんたが来たってどうしようも・・・!」
「ないってか? 少なくとも、死んだら
骨くらいは拾ってやる。それに、魔力の
補給が必要になるはずだしな。」
「・・・わ、わかったよ。けど・・・。」
「ん?」
「今日はアンタとアタシだけで敵はどれくらい
強いかもわからねえんだ。だから・・・・・
1人だけで行く。」
「別にいいでしょ。ツクたちも行くんだし。」
「・・・・・!?」
「守谷に、我妻。」
月詠と浅梨が2人に駆け寄る。
「なっ! なんで、テメーらが!」
「最初はこっそりついていこうって
言ったんですけど・・・。」
「めんどくさいの! そーゆーの! それに
ツクの頭脳は魔物との戦いのために取っておくんだから!」
「・・・テメーがるってことは・・・・
エレンたちも来てんのか。」
戦闘服のフードを少し深くかぶる。
「そりゃいるわよ。傷の魔物は精鋭部隊が倒すんだもん。」
「アタシはもう精鋭部隊じゃねえ。」
「エレンから聞いてるわ。だから、
精鋭部隊が倒すの。」
「・・・なんだと?」
「なるほど、もし来栖がやられて討ち漏らせば
周辺により深刻な被害が出る。ここで
絶対に倒すためって、わけか。」
「そうゆうこと!」
「・・・・くそ! 好きにしろよ!」
焔は森の中に入っていった。
「・・・どうだった?」
ロウと浅梨に尋ねる。
「さあて、どうなるかね。」
「私、来栖先輩にあんなこと怖くて言えません!」
「てか、ロウ! ボサッとしてないで。
置いてかれるわよ。」
「はあ、ったくめんどくせえ・・・。」
「一応、他の魔物にも警戒しときなさい。
・・・任せたからね。」
「危険が迫ったときは、すぐそばにいるので
連絡してくださいね!」
「アンタのデバイス、壊れて通信
できないでしょ・・・。」
大丈夫かよ、おい・・・。
「けど、返信機能は生きてるとはな。
運がいいな。」
「大声でも大丈夫です! 駆けつけますから!」
「我妻・・・。」
「ま、そーゆーこと。絶対助けるから。
アンタに言っとくわよ。」
「ああ、わかった。・・・・んじゃあ
行ってくる。」
焔の後に続き、ロウも
森の中に入っていく。
「・・・・・ったく、少しくらい
頼りなさいよ・・・。仲間じゃない・・・。」
<ロウ、焔、移動中>
「・・・・ここを通ると富士山に着く。」
ロウは周りをきょろきょろと見る。
「ここは樹海とかじゃないのか?」
「青木ヶ原樹海はもっと向こうだ。
この辺は全然違う。」
「なんだそうなのか。」
「迷っても知らねえぞ。・・・・・てか、
なんでついてきたんだ。冗談じゃなく
死ぬかもしれねえんだぞ。」
「それはお前にも言えたことじゃないのか?」
「・・・んだと?」
ロウを睨む。
「このまま1人で傷の魔物とやらに
ぶっ殺されたら、いろいろ面倒なんだよ。」
「・・・ホントに他人のことなんて
どうでもいいじゃねえか・・・。」
「まっ、理由はもう1つある。」
「?」
「お前がどういう末路になるか見たいんだよ。」
「・・・・・くそ、悪趣味だな。」
「なんとでも言え。」
ロウはにやりと笑う。
「にしても、その傷の魔物・・・だったか?
デバイスじゃ追跡できないんだな。」
デバイスを操作する。
「ああ、傷の魔物・・・スカーフェイスは
そうだ。用心深くてなかなか姿を見せないからな。
あいつが人を襲うのは無事に逃げられるって
確信できるとき。」
「よく知ってるな。」
「メアリーのレポートに書いてあった。」
「つまり、探すには痕跡を追うか、無防備に
見せかけるしかないってことか。」
「そう。少人数のクエストなのもそれが理由だ。
精鋭部隊とパーティが違うのも・・・・・。
ちっ、結局アイツらが仕組んだな・・・。」
地面を蹴る。
「情けねえ・・・そこまでお膳立て
されてるってのに・・・・。」
「・・・ったく・・・・ !!
待て。」
何かの気配を感じ取る。
なんだ・・・?
「・・・・!」
2人の前に傷のついた1体の魔物が現れる。
「スカーフェイス!!」
「あれが・・・・。なるほど、
たしかにスカーフェイスだな。」
「ロウ、下がってろ!」
手に炎を出現させる。
「その傷・・・・よく覚えてるぞ・・・・・。
テメェが・・・テメェがアタシの家族を・・・!!」
手の炎がどんどん大きくなる。
「灰にしてやる!!」
炎をスカーフェイスに浴びせる。
「・・・・・!」
しかし、なんともないかのように
立っていた。
「代わりに木が灰になったな。」
「うるせえ・・・! だめだ、一発程度じゃ
ビクともしねえ。おい、ロウ!
もっと離れてろ! 死にたくなかったらな!」
「『ROOM』!」
焔の言葉を無視し、青いドームを張る。
「おい!」
「何度も言わせるな。お前の命令を
素直に聞く義理はねえ。」
鞘から刀を抜く。
「行くぞ。『
突きを繰り出すが、スカーフェイスは
素早い動きでかわす。
「ちっ!」
すると、スカーフェイスがロウに
反撃を仕掛ける。
ロウはそれを刀で受け止める。
「くっ・・・・!」
「くらいやがれ!!」
再び、焔は炎を浴びせるが
スカーフェイスは飛んでよける。
「飛んだな・・・。『
刀を振る。
しかし、スカーフェイスは信じられないような
動きでロウの攻撃もかわす。
「くそ・・・・・。 !!」
しかし、そこに氷の攻撃が
スカーフェイスを襲った。
「はあ・・・はあ・・・くそ、
誰だ、今の・・・。」
「守谷や我妻じゃないな・・・・。」
たしか、近くに冬樹がいたはずだが・・・
あいつか?
「とにかく、俺ら2人じゃ厳しいな。
ここはいったん退くぞ。」
「! ロウ・・・余計な事を・・・!
まだだ! まだ動ける!!」
「焔! 待ちなさいよ!!」
「!? なっ・・・。」
月詠と浅梨が2人の前に出てくる。
「魔物らしくない・・・油断したようですね。」
「くっ!」
周りに炎を出現させる。
「ちょっと! 今までもアンタ苦戦してたくせに!
まだ1人でやるつもりなの!?」
「1人じゃねえ・・・2人だ。ロウの
魔力回復がある。・・・やれる!」
「・・・んもう! 意地っ張り!!」
そう言いながらも、スカーフェイスと
対峙した。