グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
数十分後
「はあ・・・・はあ・・・・。」
焔は大きく息切れしていた。
「ちくしょう・・・! タイコンデロガっつったって
限度があるだろ!」
「・・・もう、見てらんないわ。浅梨、
行くわよ。」
「はい! 来栖先輩、よろしくおねがいします!」
「な、なにを・・・・頼んでねえだろ!」
「そうよ、本当はアンタが助けてって言うまで
出ちゃいけなかったの! でも・・・
そんなのクソくらえだわ!」
「確かにな。この人数で戦った方が
ずっとましだ。まあ、安心しろ。とどめは
お前にやらせてやるよ。」
ドームをさらに広げる。
「来栖先輩! 私が盾になりますから!
攻撃に専念してください!」
「な、馬鹿野郎! あの攻撃力見てただろ!」
「お姉ちゃんの魔法の方が何倍も強力でした!
それにスタミナには自信があるんです。
任せてください!」
そう言って、浅梨は大きな障壁を張る。
「話は終わったか? とりあえず・・・・ん?」
ロウは焔の背中に
小さな黒い箱のようなものがついていることに
気が付いた。
『おい、来栖。助けが入って楽に
なっただろ。』
「! ウィリアムズ・・・・なるほど、
そういうことか。」
『だがそれで勝てると思うなよ。そいつは
タイコンデロガだが・・・強さは最上級だぞ。』
「・・・!? な、なんだ・・・?」
どこから声がするのかわからず
周りをきょろきょろと見る。
『最後にもう1度聞くぞ。テメーらで
そのスカーフェイスを倒せるか?』
「・・・・・くそ・・・・くそ、くそ!!」
『いつ答えてもいい。必要になったら呼べ。
いいか、必要になったらだ。死んだら地獄まで
追いかけてぶん殴ってやるからな。』
「・・・地獄行きは決定かよ!!」
「まあ、天国にはいけねえだろ。」
「うるせえ!」
2時間後
「うぅ・・・!」
浅梨は攻撃を耐えていた。
「! 我妻! くらいすぎだ! 下がってろ!」
「大丈夫です! どんどん攻撃してください!」
「浅梨・・・・・。」
月詠は時間を確認する。
「もう2時間・・・・焔・・・・。」
心配した顔で焔を見る。
「・・・・・・どけ!!」
「あっ!」
焔が浅梨を無理やり後ろにひかせる。
「ぐあぁ!!」
攻撃をくらい、焔は近くに
木にたたきつけられる。
「来栖! お前何やってる!」
「・・・ぐ・・・い、いてぇ・・・
我妻のやつ、こんなのを、何度も・・・。
・・・・・メアリー・・・エレン・・・・。」
『テメー、なにバカなことやってんだ。』
「・・・我妻に・・・守谷に・・・・
ロウに・・・迷惑かけちまった・・・。」
『テメーみてえなコミュ障に
関わる理由がわかったか?』
「・・・アタシのために、傷つく理由が
ねえから・・・。」
『テメーと精鋭部隊の連中はなんだ?』
「ただ・・・同じ部隊な・・・だけだ。」
『お前の望みはなんだ?』
「・・・アイツを・・・倒してぇ・・・!」
『・・・・・・・・。』
「・・・メアリー・・・・・。」
『・・・・・・・・。』
「・・・助・・・けて・・・。」
目を閉じ、助けを頼む。
「目ぇ開けろ。」
「・・・!」
焔の前にエレン、メアリーが立っていた。
「守谷! こいつに回復魔法かけとけ!」
「はぁ!? ツク、回復なんてほとんど
できないわよ!」
「魔力ぶん回せ! ある程度カバーできる!
おい、来栖。」
「あぁ・・・?」
「同じ部隊で魔物を倒したいと願ってる
やつがいる。その魔物は超強ぇ。1人じゃ無理だ。
だが全員でかかればいけるかもしれねえ。
それが理由だ。それにトドメはお前だ。アレやれ。」
「・・・・アレ?」
「武田虎千代のホワイトプラズマだ。」
「な・・・・できるわけ・・・!」
「なーに心配すんな。そん時はアタイがやつを殺す。」
「!」
焔がなんとか立ち上がる。
「我妻、平気か?」
「は、はい! まだ耐えられます!」
「すまないがもう少し頼む。ロウ。」
「なんだ?」
「今から守谷と来栖に魔力を分けてくれ。
大量にだ。それで決めるぞ。」
「・・・了解!」
目を閉じ、2人に魔力を与える。
「アメディック、あんたはどうするんだ?」
「これまでの情報から、スカーフェイスは不利に
なると逃走する。それを防ぐ。絶対にここから逃がさん。」
銃を構える。
「・・・・ホワイトプラズマ。大量の魔力を
放出してレーザーをぶち込む。自分を魔力が
通り抜ける筒だと考えて・・・・・」
つぶやきながら頭の中でシミュレーションする。
「・・・・・何のために訓練してきたんだ・・・!
やってやる!」
「シミュレーションはいいのか?」
「ああ・・・ロウ! ・・・力を、貸してくれ!」
「言われるまでもねえよ。・・・・!」
焔が構えたところで、
スカーフェイスが背を向ける。
「人数が増えて逃げ出す気だな!」
「『タクト』!!」
スカーフェイスの進路を
トゲ状に隆起させる。
「逃がすかよ。」
「行くぞ! 消し飛べ!!」
スカーフェイスを巨大な雷が襲った。
スカーフェイスは大きなうめき声をあげて
霧散し、その瞬間、焔は倒れた。
「・・・スカーフェイス、霧散を確認。」
「しっかし、なんて強さだよ・・・ったく。」
「検証は他に任せよう。しかし・・・・
タイコンデロガにしてもあの強さは・・・。」
「・・・・ぅ・・・・。」
焔の目が少しずつ開く。
「ほ、焔! やっと気がついた!」
「よかったぁ! あ、まだ動かないでください!」
「ど、どうなった!? アイツはどうなった!?」
スカーフェイスの存在を確かめる。
「安心しろ、お前がちゃんとトドメをさした。」
「・・・・・・・。」
呆けた顔をする。
「・・・・そ、そう、か・・・・。
ほ、本当だろうな・・・。」
「帰ったら戦闘データ見られるだろ。
まあ、霧散したときには気ぃ失ってたみたいだから
あまり実感はないだろうがな。」
「いや、わかる・・・・。ずっと、
6年・・・ずっとあったプレッシャーが・・・・ない。
・・・・・・うぅ・・・!」
突然、焔が涙を流し始める。
「わわ、く、来栖先輩!?」
「ちょ、ちょっと! どこか痛めてるんじゃ
ないでしょうね!」
「ちげぇよ・・・くそ・・・・
バカにしやがって・・・・。」
「・・・・・。」
ロウはその様子を静かに見ていた。
・・・そういえば、いつから
泣いたことなかったっけ・・・・?
「お前たち、そろそろ帰るぞ。」
エレン、メアリーが合流する。
「あーあ、泣いちまってるよ。
みっともねーな。」
「・・・う、うっせえ・・・。」
「けっ、自分で歩けるか?」
「歩けるよ!」
「Good! テメーら、撤収だ!」
「先、行ってるわよ。」
「何かあったら呼んでくださいね。」
浅梨はメアリーについて行った。
「さて、俺らも戻るぞ。来栖。」
「・・・・ろ、ロウ・・・。」
「ん?」
「・・・・わ、悪かったな。」
「んなことだと思った。」
「! さ、先行ったんじゃ・・・。」
「さっきの素直さはどこ行ったのよ。ありがとうって
言っときなさい。」
「な・・・!?」
「いいわね! ありがとうよ!」
そう言って、走っていく。
「・・・・・あ・・・・・
あり・・・・がと・・・・。」
途切れ途切れで言い、走り去った。
「・・・ありがとう、ねぇ・・・・。」
ピリリリ!
「?」
ロウのデバイスが鳴る。
「・・・おっさんか、どうした。」
『調べ終わったぞ。盛山研究所。
そっちは終わったか?』
「ああ、どうにかな。いつものところでいいか?」
『ああ。んじゃあな。』
「・・・・さて、帰るか。」
風飛市 廃ビル
「よっ。」
義人はコーヒーを投げ渡す。
「それで、どうだったんだ?」
「それがな・・・・・。」
「?」
「どういうわけか、警察内の
データベースに一切情報がなかった。」
「一切か?」
「ああ。」
「・・・・。」
どうなってる・・・・。
ディオールが嘘を言ったとは思えねえが・・・。
「・・・そういえば、おっさん。」
「ん、どうした?」
「・・・・俺、いつから泣いたことねえっけ・・・。」
「・・・・どうした、急に。」
「いや、さっきのクエストで
ふと思ってな。」」
「・・・・さあ、俺とお前の約10年ぶりの
再会でもお前、泣かなかったしな。」
「そこじゃ泣かねえだろ。」
「ああ?」
1年前
『放せぇ!!』
『いいから、黙って聞け!!』
義人はロウを床に押さえつける。
『あああぁぁ!!!』
『聞けええぇ!!』
『・・・く・・・・!』
『耳貸せ。』
『・・・・・・。』
『俺と・・・お前で、奴を引きずりおろす。』
『!!!』
「それと、俺から1個聞きたいことがある。」
「んん? なんだ?」
「お前、来栖焔って知ってるか?」
「知ってるも何も、そいつ関連で
盛山研究所を調べてくれっつったんだよ。
で、あいつがどうかしたのか?」
「・・・天羽の側近から連絡があってな。」
「!」
「そいつを・・・処分しろって。」
「!? なんだと!? どういうことだ!」
「知らねえよ・・・だから聞いたんだろ。」
「・・・俺が知るわけねえだろ。
・・・その命令はどこからだ?」
「・・・科研だ。」
「科研・・・調べてみる価値はあるな。」
「ああ。」
義人はタバコに火をつけた。
さぁて、どうするか・・・・・。