グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
学園 図書館
「しかし・・・いつ見ても
広いな。」
ロウは本を探しに図書館へ来ていた。
「さて・・・・ん?
霧塚はいないのか。」
広すぎて何がどこにあるか
把握できてないしな・・・・。
「・・・?」
耳をすますと誰かが
話す声が聞こえる。
「どこだ?」
図書館の中を探し回る。
「・・・おっ。」
「・・・これ、東雲さんが書いたんだ・・・。
ホントに長い間生きてるんだぁ・・・。」
ロウは分厚い本を床に広げた
萌木を見つける。
「けどなんだか、書き方が軽いような・・・。
あ、いやいや大事なのは中身中身。」
「・・・。」
気づいてないな。
「ろ、ロウさんのお役に立てるように
もっと勉強しなくちゃいけないんだから・・・!」
「呼んだか?」
「ひゃあ!?」
かなり驚いた声を上げる。
「ろ、ろろロウさん! い、いつから
そこに・・・?」
「『長い間生きてるんだぁ・・・』ぐらいのところだ。」
「///う、うぅ・・・。」
恥ずかしさから顔を両手で隠す。
「てか、何読んでたんだ?」
本を拾い上げる。
「・・・『魔法の覚え書き マル秘テクニック』?」
どれどれ・・・。
「そ、その本、東雲さんが書いてて・・・。」
「あいつが? へぇ・・・。
『魔法は針の穴に糸を通すがごとし』?
かっこつけて書いたな?」
にしても結構詳しく書いて・・・・ん?
「あれ、これ閲覧禁止か。」
「あ・・・こ、これは、その、
な、何かの間違いで・・・・・あうぅ・・・。」
顔を下に向ける。
「ろ、ロウさん・・・確か、風紀委員の
お仕事されてましたよね・・・。」
「ん、まあな。」
「見逃して・・・っていうのは無理なお願いですよね。
・・・すみません、校則に違反しました。」
「そうか、じゃあ早くそれ戻せ。」
「はい、学園生失格で・・・・ふぇ?」
「? どうした、早く戻して来い。」
「え、な、なんでですか・・・?」
「俺は風紀委員の仕事はしたことはあるが
別に風紀委員に所属してるわけじゃないしな。
だから強制する義務はねえ。」
「ほ、本当ですか・・・?」
「何度も言わせるな。早く戻せ。」
萌木の顔が一気に明るくなる。
「は、はい! では他の人に見つからないうちに
戻してきますので・・・!」
「ああ、早く頼むぞ。」
「も、もしかして本を借りに?」
ロウは頷く。
「ちょっと待っててください!
すぐに戻ってきますから。」
<萌木、本を元に戻す。>
数分後
「はぁ・・・あ、お待たせいたしました。」
「よっ。」
「あの、さっきのこと、内緒にしてくださって
ありがとうございます・・・。」
ぺこりと頭を下げる。
「だが、なんでわざわざ閲覧禁止の
本を持ち出したんだ?」
「わ、わたし、あまり実技の成績がよくないんです・・・。
運動もからっきし・・・。だからせめて、魔法の
知識だけは負けたくなくて・・・。」
「なるほど。」
「だ、だからあんな行動に・・・・・。
見つかったのがロウさんでよかった・・・。」
「俺は風紀委員じゃないしな。」
「あ、いや、そういう意味じゃなくて・・・。」
「?」
「その、優しくされたのが嬉しくて・・・。」
「は?」
素っ頓狂な声を上げる。
「あ、あはは・・・何言ってるんでしょうかね
私。あはは・・・。・・・やっぱり、
近道はだめ、ですよね。」
「まあ、そうだな。」
「地道に、がんばります。・・・わたし、
王子様のお話が本当になればって
思ってるんです。」
「王子様?」
「はい! 白馬の王子様が現れて、わたしたちは
幸せに暮らしました。めでたしめでたし・・・
という・・・・。」
「・・・それはいわゆるウィンウィンって
ことか?」
「まあ、そういうことです。でも、魔物がいる
この世界では難しいです。だから、どうにかして
魔物を完全に退治して・・・そうすれば、
みんなめでたしめでたしになれます。」
「随分な夢だな。」
「ろ、ロウさんはどうなんですか?
夢とか、憧れ・・・・とか。」
「・・・・憧れ・・・。」
言葉を反芻する。
「・・・いないな。正確には
あこがれることをしなくなった。」
「しなくなった?」
・・・やべ、変なこと言ったか。
「忘れてくれ。大した話じゃない。」
「そ、そうですか・・・・・。
・・・それでも、私は諦めたくないんです。」
「・・・・・。」
「ロウさんのお役に立って、みんなの役に立って
・・・ハッピーエンドにしたいんです・・・。
そして王子様と、いつまでも幸せに暮らしたいんです。
・・・は、初めて夢を話してしまいました・・・えへへ。」
「それがお前の夢、か。」
「は、はい。でも、幼稚だと思われても
結構です。」
「それぐらいの気概があったほうがいい。」
「あ、ありがとうございます・・・・。
・・・・ロウさんが・・・・・
私の王子様なら・・・・」
「なんか言ったか?」
「え・・・あ、ななななんでもありません!」
一気に顔が赤くなる。
「そうか。・・・ところで、本を探すんだが。」
「あ、はい! 何をお探しでしょうか?」
「医学書。」
「え?」
「医学書が読みたい。難しさは問わん。」
「は、はい! ちょっと待っててください。」
本を探しに行く。
数分後
「お、お待たせ、しました。」
分厚い本を持ってきた。
「結構でかいな。」
「は、はい・・・。」
「じゃあ、これを貸してくれ。」
「わかりました! ・・・けど、
なんで医学書を?」
「たまに読むんだよ。ただそれだけだ。」
「そ、そうなんですか。で、では
手続きしますので。」
・・・にしても、想像以上にでかいな。
そしてロウは分厚い本を
フラフラしながら、部屋まで運んだ。